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5 蟻食荘
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「蟻食荘」と言うのは、難波の北、淀川の向こう地にある「十三」の飲み屋街、通称「卍楼」から少し北に上がったところにある文化住宅の事です。
この住宅は大阪大空襲を逃れた木造の「小林文化住宅」と言うのが本当の名前です。
しかし空襲の戦火を逃れたとはいえ、建物は酷い状況で、焼け焦げた跡は残り、住宅としていえるとすれば、幸い屋根がしっかり残って雨に耐えることができる、と言う具合でした。
その住宅にいつのころか、戦後、中国から夫婦と子供ひとりの引き揚げ家族が住み始めました。
彼等家族はこの難波の地に縁もゆかりもありません。ですので戦後の事ですから物資も乏しく、正に家族の生活は貧の極み、つまり貧窮極まれりの様な家族でした。
そんな状況なれば、日々の食にも一番困ります。
ですので家族は飢えない様、色んなところを日雇いで働いた様ですが、しかし中々長く続くいい仕事は無く、次第に困窮してゆきました。
そして遂に飢えてきたのか、最初は淀川沿いいの草花を食べてましたが、やがてそれもなくなってきたのか…、とうとう部屋に上がりこむ「蟻」を食べ、飢えをしのぎはじめました。
ですが、やがて家族は体力を無くし、夏の暑い夜、漂う腐臭を不審に思った近所の通報で警察官が駆けつけると、其処には遺体となった母親の乳首を吸う子供の遺体に無数の蟻が這っていました。
そこで、以後、この周辺に住まう人々はここを「蟻食荘」と呼んだのでした。
そして、傀儡駱駝はもう今では取り壊されてしまった「蟻食荘」の最後の住人だったのです。
この住宅は大阪大空襲を逃れた木造の「小林文化住宅」と言うのが本当の名前です。
しかし空襲の戦火を逃れたとはいえ、建物は酷い状況で、焼け焦げた跡は残り、住宅としていえるとすれば、幸い屋根がしっかり残って雨に耐えることができる、と言う具合でした。
その住宅にいつのころか、戦後、中国から夫婦と子供ひとりの引き揚げ家族が住み始めました。
彼等家族はこの難波の地に縁もゆかりもありません。ですので戦後の事ですから物資も乏しく、正に家族の生活は貧の極み、つまり貧窮極まれりの様な家族でした。
そんな状況なれば、日々の食にも一番困ります。
ですので家族は飢えない様、色んなところを日雇いで働いた様ですが、しかし中々長く続くいい仕事は無く、次第に困窮してゆきました。
そして遂に飢えてきたのか、最初は淀川沿いいの草花を食べてましたが、やがてそれもなくなってきたのか…、とうとう部屋に上がりこむ「蟻」を食べ、飢えをしのぎはじめました。
ですが、やがて家族は体力を無くし、夏の暑い夜、漂う腐臭を不審に思った近所の通報で警察官が駆けつけると、其処には遺体となった母親の乳首を吸う子供の遺体に無数の蟻が這っていました。
そこで、以後、この周辺に住まう人々はここを「蟻食荘」と呼んだのでした。
そして、傀儡駱駝はもう今では取り壊されてしまった「蟻食荘」の最後の住人だったのです。
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