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がるふ

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現実世界の病み

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「相変わらずあのクソ上司共舐めやがって!」

上司しかやってはいけない仕事を勤務年数が長いからってやらせるわ。上司しか行ってはいけない最終確認を俺にやらせるわ。ミスしたらクビ間際に立たされることやらされた上でサービス残業させるわでブラック過ぎるだろ!中途半端に責任乗せるからやりづらいったらありゃしない。

「このっ!」

怒りの矛先を道端の小石にぶつけてしまうことが日課になった帰り道。いつも通りだ。蹴った小石は自宅のあるアパートの門へ飛んでいき門の格子にカララランと音を立てて夜の静寂を破る。あとから来るのは虚無感。

「あーこんな生活耐えられないよ……」

脱力したまま自宅の玄関たどり着いた時にメッセージアプリの通知音が鳴った。あー酒を楽しく飲んでこの気持ちをどこかに追いやりたい

「誰だよ。こんな時間に」

液晶の上に表示されている数字に目をやれば深夜1時を回っていた。

「あれ?今日の飲み会こないの?今直樹と盛り上がってるぜ!」

親友のたくみからだった。そのメッセージの後にワイワイやってるショートムービーを着信する。小学校から社会人なりたてまでずっと仲良くしてたイツメンが楽しく乾杯していた。そしてムービーの終わり間際…

「これ誰に送るんだ?」
「そりゃ直樹なおきも知ってるイツメンの#龍星_りゅうせい_#だよ!」
「はぁ?龍星りゅうせい?そういえば誘うの忘れてたわ」
直樹なおき !誘ってなかったのか!?それはひどいだろ!」
「俺あいつあんまりすきじゃねぇんだよなぁ。誰にでもいい顔するの気に食わないし。」
「おい!やめろよっ!あっしまっ……」

ムービーはここで終わった。

あぁ……俺、ハブられたんだ。だけど仕方ないのかな。嫌われないように周りにいい顔をしてたのは事実。直樹みたいなことを思われないように注意はしてたけど駄目だったんだな。八方美人は嫌われるっていうしな……。そういう振る舞いしてきたのは自分だから何も言えない。もっと気をつけないと…。

ベッドに倒れこみ枕に顔を埋めた。涙が溢れてきた。もう生きてるのが辛い。俺の脳内はもうそれだけだった。

早く……楽に……なろう……。
そう思いながら俺は意識を手放した。

翌朝

いつも以上に陰鬱な気持ちで目が覚めた。

「誰にも迷惑を極力かけないようにこの世からきえよう」

終活を決意した一日だった.

3ヶ月後

アパートの自宅は解約した。残債は無し。
俺の貯金も少ないけど、明日実家に通帳とハンコが遺書と一緒に到着するよう調整をしっかりした。会社は今までの鬱憤を晴らす勢いでやめてきてやった。なんか怪しかったけど死んだら保険金が実家の母さんに入るように手続きもした。

うん。多分これが最善。後は調べて見つけた人気のない場所で見つかるのに時間がかかるような死に方ができれば大丈夫だ。

俺はパーカーのフードを深く被り見当をつけた場所へ向かう。選んだのは海沿いの鬱蒼と茂った森の崖。

周りの人目を避けながら目的地へ向かう。ふと道なりに見つけた朽ちかけた神社を見つけた。

「すごく年季が入ってる社だな。きっと忘れ去られたんだろうな」

朽ちかけた柱へ優しく手を添えて自分の境遇と似ているように思えた。社をぐるっと周っていると弱った狼のような犬を見つけた。

「お前こんなところでどうしたんだ?迷子か?」

近づいて撫でようとするがグルルルと威嚇されてしまう。

「怖くないぞ?ほら!」

ゆっくりと手を近づけて匂いを嗅がせた。狼?はきゅうぅんと鳴き甘えてきた。

「よしよし。寂しかったんだな。そうだこれ食べるか?」

最後に食べようと思って作ってきた大好物の自家製サラダチキンを少しちぎり狼?の口へ近づけると匂いを嗅いで食べ物と判断した獣はバクバクと食べ始めた。

俺は手を伸ばし、狼のような野良犬に近づくと、最初は恐る恐るの様子で俺を観察していた。
少しするとその犬が自分の匂いを数分スンスン嗅がれた後、犬はおとなしくなり、舌を出して喜ぶ。俺はその行動に笑みを浮かべ、犬を構う。狼のようなこの犬も、楽しそうに跳び跳ね、尾を振って俺に甘えたり、じゃれついたりしてくれた。時間はゆっくりと過ぎ、気づくと夕陽が俺と犬の周りを柔らかな光で包みそれは、小さな生き物と新たな友情が始まったことを感じさせるだ。

俺はミネラルウォーターを手近の葉で作った器に入れ狼?の元を名残惜しくも静かに去った。
あの犬がこの世界で少しでも幸せに生きることを祈る。

少し歩くと磯の香りが風に乗ってきて目的地まで後に少しであることを感じた。

「後少しだ。」

森が切れている場所を見つけ、下をみると目的地に到着した確証を得た。気づけば周りは夕日に包まれており、時間の調整もうまくできたことに嬉しくなる。

「さあ、準備だ。」

用意したハーケンを手に丁度いい高さの岩肌まで移動すると辺りはマジックアワーの明るさになっていた。用意していた縄を然るべき場所に身につけ、重りを足に巻きつけ睡眠薬を飲み始めた。

これで終われる

支えていたハーケンが外れ、首が絞まる感覚が俺の最後の記憶だった。
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