月、100万円で買われたみたいです。

月、100万円で買われました。

月、100万。

1年で、1200万。

期限なし。

彼は私をその値段で買った。

いや厳密には購入代金はまた別に払ってくれたらしい。

気づいたら知らないところにいて、気づいたら奴隷になってて、気づいたら買われてた。

きっと異世界転生ていうやつなんだと思う。

3人に1人が派手なピンク髪の世界なんて知らないし。

一つ安心した点は言葉が通じること。

それでご主人様となった方ともすんなりお話が出来ている。

奴隷商館を出たあとはご主人様と同じ馬車に乗って、豪邸にたどり着いた。

ここで私は一生過ごすらしい。

100万円をもらったけど、鳥かごの中の小鳥の気分。自分では飛べない。ひとりぼっち。

そして外出許可はおりなかった。逃げ出すことを恐れているらしい。

じゃあ100万は何に使ったらいいの？

あ、ご主人様黙っちゃった。

ご主人様とお出かけなら許されるのかな。うんうん、それはいいらしい。

私のお世話をする侍女までつけられて。奴隷ってなんだろう。

私はここで何をさせられるんだろう。

それを聞くとご主人様は、ごめんね、と言って少しだけ笑った。

その日の夜、ご主人様の部屋に呼ばれた。

また一つごめん、と呟いてご主人様は私を抱いた。

謝ることなんて何もないのに。ご主人様は優しくて顔もかっこいい。それにお金持ち。

でもごめんの返事は求められていない気がしたから、一つキスをしてみた。

ご主人様は目をまん丸くして固まっちゃった。

君は。そこで言葉を区切るとあとは特に何も喋らなかった。

ことが済んでそのままベッドで一緒に寝た。

朝起きるとありがとうという紙と共に10万円分の金貨が置かれていた。

これはなんだろう。

そもそも私にはお金の使い道もなければ、もらった100万もある。

とりあえずそのまま金貨は置いておいて支度をする。ご主人様はもう仕事に行ったみたい。私は何をしようか。

そうだ、掃除をしよう。

侍女に断られた。

じゃあ洗濯。

それも断られた。

諦めて本でも読むことにする。100万円の使い道、探すんだ。