3年F組クラス転移 帝国VS28人のユニークスキル~召喚された高校生は人類の危機に団結チートで国を相手に無双する~

代々木夜々一

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16-2話 小暮元太 「ゴーレムとの決闘」

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「ゴーレム?」
「土で作った人形に、命を吹き込んだ物」

 横にいた遠藤さんが、ぼくに聞くので答えた。

「これなら、魔法は消せぬぞ。異世界の子らよ。さて、どう戦う?」

 ローブの老人は自信満々だ。

 ゴーレムは荷台から降りた。こっちにゆっくり歩いてくる。高さは三メートルはあるかも。

 こっちの五人はゆっくり下がった。

「お茶目な落書き!」

 ゲスオくんが遠藤さんにタッチした。

『プリンス! 大丈夫?』

 姫野さんの声だ。遠藤さんの通話スキルを全員に拡張したのか。

「どうだろうな、やってみないと」
「動き鈍そうや、いけるで」

『コウ、無理すんなよ!』

 この声は、コウくんと仲がいいタクくんの声か。

『ちょっとみんな、話すの控えて! プリンスのほうの状況だけ、誰か伝えて』
「オッケー。あたしにまかせて」

 遠藤さんが答えた。ぼくはしゃべらないほうがいいだろう。

 プリンスとコウが剣を抜いた。

 コウが早い動きで背後を取る。剣で斬るが「キン」と硬い音がした。

 次にプリンスが正面に間合いを詰める。

 詰めたと思ったら、横に動き、飛び上がって頭に剣を刺した! 「パキッ」と音が鳴る。プリンスの剣が折れた!

 呪文を唱え続ける老人が、にやっと笑ったのが見えた。

「ヒメ! プリンスの剣が折れた! このバケモノ、剣が効かないみたい!」
『ももちゃん、無理せず逃げてよ! その敵だったら、相性いいのはゲンタくんぐらいしかいない』

 ええっ? ぼく?

「姫野さん、ぼく?」
『そう、剣がダメな相手は、ぶったたくとかしかないの。でも、無理しないでいいから!』

 そうか。姫野さんは、ぼくのスキルを知っている。ぼくのスキルは単純に力を強くする。それだけの単純なスキルだ。

『逃げるのって、いつでもできるぜ。せっかくなら、一発かましてみれば?』

 横から入ったのは、キングの声だ。

『ちょっと! 無責任に言わないでよ!』
『だって姫野、プリンスとコウ、ゲスオもいるんだ。危なくなったら、なんとするさ』 

 逃げるのはいつでもできる、か。キングくんは、いつも青臭い。

 相撲部は三名しかいないので、だいたいの大会には人数が足りなかったりする。

 あきらめていたのに、学校中から臨時の部員を集めてくれたのは、キングだ。

「やってから考えようぜ」

 と、あの時もキングくんは言ってたなぁ。ただ、キングくん、臨時で入ったのに、けっこう勝っちゃうから恐ろしい。

 やってから考えるか。よし!

「ぶちかましてみます!」
『おお! そういや、ゲンタって相撲部だった。ぶちかませ!』

 男子から「オー!」という声援も入った。

「ヒメ、ゲンタがシャツ脱いだよ」
『ええっ! そこ脱ぐ必要なくない?』

 顔に張り手をして、気合を入れる。

 スキルの発動はスキル名だ。

 息を思いっきり吸って叫ぶ。

「元気ですかー!」

『そっち!』

 耳から大勢の人のツッコム声が聞こえた。元気があればなんでもできる。

「全国7万5千人のプロレスファンのかた、お待たせいたしました。プロレス中継の時間です」

「中継かい!」

「今日の実況は、わたくし遠藤もも。ゲスト解説にゲスオさん、プリンスさん、コウさんに来ていただきました。よろしくお願いします」

「お願いします」
「……」
「プリンス、無言やん!」

「さて、ゲスオさん、今日の時間無制限一本勝負。ずばり見どころは」
「やはり体格差でしょうか。ゲンタ選手もヘビー級ですが、相手はさらに上。正面からは行かないでしょうね」

「遠藤はプ女子だったんかい!」

「おおっと! こちらの予想に反し、がっぷり手四つ。ゴーレム選手が上から体重をかける」
「いけませんね。力勝負をしては」

「これにはゲンタ選手も膝を……おおっと!ヘッドバットで奇襲だ!」
「相手の目でしょうか。目の位置に埋め込んでいる石に頭が当たりましたね。思わずゴーレム選手も腕を放しました」
「目は反則ですが、レフェリーは止めません」

「レフェリーおらんて! っつうか、わいは、あれか? ツッコミ役なん?」

「おや? ゲンタ選手、相手に背を向け走って距離を取った!」
「何か、狙ってますね」
「そこから助走しての……ドロップキック! ドロップキックー! これにはゴーレム選手も後ろに倒れる! いかかでしょう? 今の技、ゲスト解説のプリンスさん」
「……両足がきれいに揃い、当たる瞬間にバネのようにぶつけました。見事です」

「プリンス乗るんかい! んで、なにげに知っとるやん!」

「さあ、ゴーレム選手が起き上がり……おや? ゲンタ選手を見失ったようです」
「うしろですね」
「ああっと! ゲンタ選手、うしろからゴーレム選手に腕を回した!」
「バックドロップの体勢です」
「ぬけるか! ぬけるのか!」

 想像以上に思い。気合を入れるぞ!

「行くぞー!」
「ゲンタ選手ほえたー!」
「1・2・3!」
「ダー!」
「ぶっこぬいたー! そしてがっちりホールド! これは3カウント入るか?」

「うん? わい? わいの役目なん? ニンニン!」

「レフェリーが素早く駆け寄る。ワン・ツー・スリー! 決まったー! ベルトを手にしたのは、挑戦者のゲンタ選手だー!」

 胴を持った手を放し、ブリッジした体勢から立ち上がった。ゴーレムの頭は地面に打った衝撃で、体にめり込んでいた。

 ピクリとも動かない。良かった。倒せたようだ。

「放送席ー放送席ー、それではゲンタ選手に、勝利の一言をいただきたいと思います。勝った感想を一言」

「ごっつぁんです!」

「最後だけ相撲かい!」
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