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34.本物の聖女 (杏奈視点)
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里咲さんが生きていると知り、食事もとれるようになり回復していった。
面会の話は街へ出てしまった里咲さんの邪魔は出来ないと諦める。
3年前王子に何がったのか気になるけれど、私には私のすべきことがある。
聖女として里咲さんに恥じないように頑張らないと。
元気になった私の様子にクリストファー様は喜んでくれる。
衰弱していく私の傍で支えてくれたのは間違いなく彼だった。
今まで通りの生活に戻って行く中、頑張らなきゃと思っても、一度芽吹いた感情はなかなかコントロールできない。
王子が優しい笑みで笑いかけてくれる姿が愛おしくて、その度に胸がドキドキしてしまう。
そんなある日、城での生活は退屈だろうと王子は馬車を用意すると、街を案内してくれた。
里咲さんの居る酒場を見ておきたいと思ったけれど、街の外れにはいかないようだ。
行ってほしいとは言えないし……。
街の中心街にある高級なレストランやブティック、ジュエリー店。
前の世界では縁がなかっただろう場所に、自分がまるでシンデレラになったようなそんな気がした。
隣に並ぶのはこの国の王子様。
そっと隣を見上げると、彼の声に彼の仕草一つ一つが気になって、上手く話せない。
だけどそんな私の様子を笑いながら頭を撫でてくれる大きな手が心地よかった。
この世界へ来てもうすぐ半年となる頃。
いつもと同じように王子が部屋へやってきたのが、今日は一人ではない。
彼の隣にはブラウンの髪にグレーの瞳をした優し気な男性が佇んでいる。
私の姿を見ると、目をパッと開き嬉しそうに笑って見せた。
「本物の聖女様にお会いできるなんて感激だぁ~」
目を輝かせる男の姿に、王子はバシッと男の頭を叩くと後ろへ下がらせる。
「聖女様、彼はこの城の学者で名はネイサン。突然ですまないが、異世界について彼の質問に答えてもらえないだろうか?」
ネイサンは慌てた様子で頭を下げると、胸元からノートとペンを取り出した。
「はい、わかりましたわ」
返事を返し椅子へ座ると、ネイサンが勢いよくこちらへ向かってくる。
「聖女様、いやぁ~本物なんですね!早速なんですが、ここへ来るとき鐘の音を聞いたんですよね?どんな感じで聞こえるんですか?聞こえてからどうやってここへ来たんですか?どんな感じだったんですか?向こうの世界はこことは全く異なっているんですよね?聖女様は向こうで何をされてたんですか?前回来られた聖女様は確か調理師だとおっしゃっておりました」
まくしたてるような質問攻めに思わず体を仰け反らせると、王子が呆れた様子で彼の頭をまた叩いた。
「バカ、落ち着け、聖女様が驚いているだろう」
「あーすみません。いやー嬉しくて!」
申し訳ないとネイサンは頭を下げると、服を整えながらそっと前の椅子へ腰かける。
「えーとでは、一つ一つ聞いていますね。早速ですが、異世界の文字を教えて頂けませんか?」
先ほどの質問とは全く違う言葉に一瞬戸惑う中、彼はノートとペンを差し出すと、私の前に並べ始める。
気を取り直しペンを手に取り、ひらがなと書こうとするが、なぜかノートに浮かび上がるのは見たこともない言葉。
首を傾げ文字を見つめていると、それがこちらの言葉で"ひらがな”なのだとなぜか理解できてしまった。
どういうことかしら……こんな文字なんて知らないはずなのに……。
次は漢字でと再度試してみるが、ノートに浮かび上がる別の言葉。
書こうとペンを紙に滑らせた瞬間、ペンが勝手に動いてしまうそんな感覚だった。
「あれ……どうしてかしら……ごめんなさい」
「あーいいんです、いいんです。やはり異世界の言葉は書けないのですね。文献に異世界の文字や言葉が一つも残っていないのはこういう理由があったのですね……。ほうほう、ちなみに言葉はどうですか?今僕が話している言葉はどう聞こえておりますか?」
「えっ、あっ、異世界の言葉で聞こえております。私が話している言葉も同じで……」
「自動翻訳は本当だったんだ……。どういう原理なんだろ……。あっ、鐘の音はいつ聞こえたんですか?聞こえてすぐにここへ来たんですか?」
鐘の音……聞いていない……。
里咲さんはどんな風に聞こえたのかしら、その辺りもちゃんと聞いておくべきだった……。
なんと答えればいいのか、言葉を詰まらせていると、ネイサンは慌てた様子で頭を下げる。
「あーすみません、質問しすぎでしたね。僕の悪い癖なんです。気になるとつい止まらなくて……」
「いえ、私は口下手なので質問して頂いたり、話を聞く方が楽しいです。うまく答えられなくてごめんなさい」
「いえいえ、そう言ってもらえると有難いです」
彼は人懐っこい笑みを浮かべると、また質問を始めたのだった。
面会の話は街へ出てしまった里咲さんの邪魔は出来ないと諦める。
3年前王子に何がったのか気になるけれど、私には私のすべきことがある。
聖女として里咲さんに恥じないように頑張らないと。
元気になった私の様子にクリストファー様は喜んでくれる。
衰弱していく私の傍で支えてくれたのは間違いなく彼だった。
今まで通りの生活に戻って行く中、頑張らなきゃと思っても、一度芽吹いた感情はなかなかコントロールできない。
王子が優しい笑みで笑いかけてくれる姿が愛おしくて、その度に胸がドキドキしてしまう。
そんなある日、城での生活は退屈だろうと王子は馬車を用意すると、街を案内してくれた。
里咲さんの居る酒場を見ておきたいと思ったけれど、街の外れにはいかないようだ。
行ってほしいとは言えないし……。
街の中心街にある高級なレストランやブティック、ジュエリー店。
前の世界では縁がなかっただろう場所に、自分がまるでシンデレラになったようなそんな気がした。
隣に並ぶのはこの国の王子様。
そっと隣を見上げると、彼の声に彼の仕草一つ一つが気になって、上手く話せない。
だけどそんな私の様子を笑いながら頭を撫でてくれる大きな手が心地よかった。
この世界へ来てもうすぐ半年となる頃。
いつもと同じように王子が部屋へやってきたのが、今日は一人ではない。
彼の隣にはブラウンの髪にグレーの瞳をした優し気な男性が佇んでいる。
私の姿を見ると、目をパッと開き嬉しそうに笑って見せた。
「本物の聖女様にお会いできるなんて感激だぁ~」
目を輝かせる男の姿に、王子はバシッと男の頭を叩くと後ろへ下がらせる。
「聖女様、彼はこの城の学者で名はネイサン。突然ですまないが、異世界について彼の質問に答えてもらえないだろうか?」
ネイサンは慌てた様子で頭を下げると、胸元からノートとペンを取り出した。
「はい、わかりましたわ」
返事を返し椅子へ座ると、ネイサンが勢いよくこちらへ向かってくる。
「聖女様、いやぁ~本物なんですね!早速なんですが、ここへ来るとき鐘の音を聞いたんですよね?どんな感じで聞こえるんですか?聞こえてからどうやってここへ来たんですか?どんな感じだったんですか?向こうの世界はこことは全く異なっているんですよね?聖女様は向こうで何をされてたんですか?前回来られた聖女様は確か調理師だとおっしゃっておりました」
まくしたてるような質問攻めに思わず体を仰け反らせると、王子が呆れた様子で彼の頭をまた叩いた。
「バカ、落ち着け、聖女様が驚いているだろう」
「あーすみません。いやー嬉しくて!」
申し訳ないとネイサンは頭を下げると、服を整えながらそっと前の椅子へ腰かける。
「えーとでは、一つ一つ聞いていますね。早速ですが、異世界の文字を教えて頂けませんか?」
先ほどの質問とは全く違う言葉に一瞬戸惑う中、彼はノートとペンを差し出すと、私の前に並べ始める。
気を取り直しペンを手に取り、ひらがなと書こうとするが、なぜかノートに浮かび上がるのは見たこともない言葉。
首を傾げ文字を見つめていると、それがこちらの言葉で"ひらがな”なのだとなぜか理解できてしまった。
どういうことかしら……こんな文字なんて知らないはずなのに……。
次は漢字でと再度試してみるが、ノートに浮かび上がる別の言葉。
書こうとペンを紙に滑らせた瞬間、ペンが勝手に動いてしまうそんな感覚だった。
「あれ……どうしてかしら……ごめんなさい」
「あーいいんです、いいんです。やはり異世界の言葉は書けないのですね。文献に異世界の文字や言葉が一つも残っていないのはこういう理由があったのですね……。ほうほう、ちなみに言葉はどうですか?今僕が話している言葉はどう聞こえておりますか?」
「えっ、あっ、異世界の言葉で聞こえております。私が話している言葉も同じで……」
「自動翻訳は本当だったんだ……。どういう原理なんだろ……。あっ、鐘の音はいつ聞こえたんですか?聞こえてすぐにここへ来たんですか?」
鐘の音……聞いていない……。
里咲さんはどんな風に聞こえたのかしら、その辺りもちゃんと聞いておくべきだった……。
なんと答えればいいのか、言葉を詰まらせていると、ネイサンは慌てた様子で頭を下げる。
「あーすみません、質問しすぎでしたね。僕の悪い癖なんです。気になるとつい止まらなくて……」
「いえ、私は口下手なので質問して頂いたり、話を聞く方が楽しいです。うまく答えられなくてごめんなさい」
「いえいえ、そう言ってもらえると有難いです」
彼は人懐っこい笑みを浮かべると、また質問を始めたのだった。
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