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第三章
閑話:王子の悩み7 (マーティン視点)
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学園へ入学してひと月以上たつが、チャーリーの学生服姿……最高だ。
ずっと見ていても飽きない。
けれどあまり近すぎると、どうしても真っすぐに彼女を見られない。
時折香る彼女からの甘い香り、フワッと揺れる長い髪。
隣に彼女が座っていると自覚するだけで、歯止めが利かなくなって、おかしくなりそうだ……。
前まで話をするだけで精一杯だったのだが、一度触れてしまったからだろうか。
だからこうやって、少し離れた場所で眺めているのが、一番落ち着くなぁ。
渡り廊下を令嬢たちと歩いていく姿を、窓からじっと眺める。
今日は中庭で昼食をとるのか、よし俺も……。
そう思いクルリと体を反転させると、突然目の前にカイザックの姿が飛び込んできた。
何だ、と思い睨みつけてみると、憐れむような目で俺を見る。
「はぁ……マーティ。そろそろストーカー行為はやめたほうがいいですよ」
呆れているのだろう、棒読み言葉に俺は慌てて口を開くと、首を横へ振った。
「アイク、人聞きの悪い事を言うな!ストーカーじゃねぇ。彼女に何かあった時すぐに駆け付けられるようにだなぁ」
「いやいや、こんなところからじっと見つめられてるなんて知られたら、嫌われますよ。キモイですし」
カイザックは強引に俺を窓から引き剥がすと、深いため息をついた。
「キッ、キモイ……ッッ、ちょっ、お前なぁ、はっきり言いすぎだ!てかキモくねぇし!この間だって彼女が転びそうになったとき、こうやって見ていたから助けられたんだ」
持たれた腕を振り払い必死で言い返すと、強くカイザックを睨みつける。
「はぁ、もう婚約して何年たつんですか?最近雰囲気もいいじゃないですか。……まぁ最初に比べればですけどね……。そのツンツンした態度は一種の病気です。いやぁ、本当シャーロット様はすごいなぁ~」
「うるさい、これでもだなぁ……ッッ」
大分マシになったんだ。
正直こんな俺の傍に居てくれる事事態不思議だ……。
最初は目を見ることも、挨拶することも出来ず空回りばかり。
けど今は目を見て挨拶できるようになった。
それに……会話も続くようになったし……まぁ剣術のことばかりだが……。
だがこうやって改めて考えると、人として当然のことばかり。
「はいはい、わかってますよ。それよりも王子、何だか少し距離が縮まった感じがしましたけど、何か進展あったんですか?」
カイザックの言葉に、つい先日彼女を抱きしめた温もりを思い出した。
柔らかくて、熱くて、甘い香りがした。
見上げるように視線を上げ、愁いを帯びたあの瞳。
俺とは違う華奢な体に、腕に、少し力を入れただけで壊れてしまいそうだった。
「進展……ッッ、いや、あれは、その、違う、……弾みというか……ッッ」
咄嗟にそう答えると、カイザックはニヤリと楽しそうに口角を上げる。
「おぉ、珍しいですねその反応。やっとチューしちゃいました?」
「バカッ、お前なぁ!そんなことするわけないだろう!」
「えぇ!?婚約して数年お互いいい年になったのに、まだキスすらしてないなんて……。王子よく我慢できますねぇ。俺なら無理だなぁ~。あんな綺麗で優しい婚約者なら、すぐに抱いちゃいますね」
「お前!シャーロットを汚すな!」
なんてことを言い出すんだ。
キスなんて無理だろう、やっと愛称で呼び合うようになったばかり。
手だって繋いだことはもい。
だがもし俺が彼女を求めれば……それに応えてくれるのだろうか……?
想像するだけで脳が爆発しそうになる。
今の状態ではどうにもこうにも、そんな状況まで進むのは到底不可能だろう。
「どうしたんですか、百面相して。まぁ二人は二人のペースがありますしね。まぁ~頑張って下さい」
「うぅっ、いや、とりあえず俺の気持ちを伝えるところからだ……」
「はぁ!?まだ伝えてなかったんですか……」
カイザックは呆れた様子を見せると、お手上げといわんばかりに両手を広げた。
「いや、タイミングがだな……」
「またそれですかー?あんまり躊躇していると、他の令息にとられちゃいますよ。例えば……あの執事とか」
執事との言葉に顔を上げると、カイザックは見透かすような視線で俺を見ていた。
「ケルヴィンのことか。あいつは只の執事だろう。それに俺は王族で彼女の婚約者だ。奪われるはずなんてない」
そう、そのはずなんだと何度も言い聞かせる。
だが愛称で執事を呼ぶ彼女の姿が何度も脳裏によみがえった。
ケルヴィンの名を呟いた彼女はとても親し気で優し気な表情をしていた。
俺の前では見せたことないような……。
いや、大丈夫だ、俺は王族で……彼女の婚約者なんだから。
必死に脳裏に浮かぶ彼女の姿を消すと、俺はカイザックを押しのけ、中庭へと向かって行った。
ずっと見ていても飽きない。
けれどあまり近すぎると、どうしても真っすぐに彼女を見られない。
時折香る彼女からの甘い香り、フワッと揺れる長い髪。
隣に彼女が座っていると自覚するだけで、歯止めが利かなくなって、おかしくなりそうだ……。
前まで話をするだけで精一杯だったのだが、一度触れてしまったからだろうか。
だからこうやって、少し離れた場所で眺めているのが、一番落ち着くなぁ。
渡り廊下を令嬢たちと歩いていく姿を、窓からじっと眺める。
今日は中庭で昼食をとるのか、よし俺も……。
そう思いクルリと体を反転させると、突然目の前にカイザックの姿が飛び込んできた。
何だ、と思い睨みつけてみると、憐れむような目で俺を見る。
「はぁ……マーティ。そろそろストーカー行為はやめたほうがいいですよ」
呆れているのだろう、棒読み言葉に俺は慌てて口を開くと、首を横へ振った。
「アイク、人聞きの悪い事を言うな!ストーカーじゃねぇ。彼女に何かあった時すぐに駆け付けられるようにだなぁ」
「いやいや、こんなところからじっと見つめられてるなんて知られたら、嫌われますよ。キモイですし」
カイザックは強引に俺を窓から引き剥がすと、深いため息をついた。
「キッ、キモイ……ッッ、ちょっ、お前なぁ、はっきり言いすぎだ!てかキモくねぇし!この間だって彼女が転びそうになったとき、こうやって見ていたから助けられたんだ」
持たれた腕を振り払い必死で言い返すと、強くカイザックを睨みつける。
「はぁ、もう婚約して何年たつんですか?最近雰囲気もいいじゃないですか。……まぁ最初に比べればですけどね……。そのツンツンした態度は一種の病気です。いやぁ、本当シャーロット様はすごいなぁ~」
「うるさい、これでもだなぁ……ッッ」
大分マシになったんだ。
正直こんな俺の傍に居てくれる事事態不思議だ……。
最初は目を見ることも、挨拶することも出来ず空回りばかり。
けど今は目を見て挨拶できるようになった。
それに……会話も続くようになったし……まぁ剣術のことばかりだが……。
だがこうやって改めて考えると、人として当然のことばかり。
「はいはい、わかってますよ。それよりも王子、何だか少し距離が縮まった感じがしましたけど、何か進展あったんですか?」
カイザックの言葉に、つい先日彼女を抱きしめた温もりを思い出した。
柔らかくて、熱くて、甘い香りがした。
見上げるように視線を上げ、愁いを帯びたあの瞳。
俺とは違う華奢な体に、腕に、少し力を入れただけで壊れてしまいそうだった。
「進展……ッッ、いや、あれは、その、違う、……弾みというか……ッッ」
咄嗟にそう答えると、カイザックはニヤリと楽しそうに口角を上げる。
「おぉ、珍しいですねその反応。やっとチューしちゃいました?」
「バカッ、お前なぁ!そんなことするわけないだろう!」
「えぇ!?婚約して数年お互いいい年になったのに、まだキスすらしてないなんて……。王子よく我慢できますねぇ。俺なら無理だなぁ~。あんな綺麗で優しい婚約者なら、すぐに抱いちゃいますね」
「お前!シャーロットを汚すな!」
なんてことを言い出すんだ。
キスなんて無理だろう、やっと愛称で呼び合うようになったばかり。
手だって繋いだことはもい。
だがもし俺が彼女を求めれば……それに応えてくれるのだろうか……?
想像するだけで脳が爆発しそうになる。
今の状態ではどうにもこうにも、そんな状況まで進むのは到底不可能だろう。
「どうしたんですか、百面相して。まぁ二人は二人のペースがありますしね。まぁ~頑張って下さい」
「うぅっ、いや、とりあえず俺の気持ちを伝えるところからだ……」
「はぁ!?まだ伝えてなかったんですか……」
カイザックは呆れた様子を見せると、お手上げといわんばかりに両手を広げた。
「いや、タイミングがだな……」
「またそれですかー?あんまり躊躇していると、他の令息にとられちゃいますよ。例えば……あの執事とか」
執事との言葉に顔を上げると、カイザックは見透かすような視線で俺を見ていた。
「ケルヴィンのことか。あいつは只の執事だろう。それに俺は王族で彼女の婚約者だ。奪われるはずなんてない」
そう、そのはずなんだと何度も言い聞かせる。
だが愛称で執事を呼ぶ彼女の姿が何度も脳裏によみがえった。
ケルヴィンの名を呟いた彼女はとても親し気で優し気な表情をしていた。
俺の前では見せたことないような……。
いや、大丈夫だ、俺は王族で……彼女の婚約者なんだから。
必死に脳裏に浮かぶ彼女の姿を消すと、俺はカイザックを押しのけ、中庭へと向かって行った。
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