乙女ゲームの世界は大変です。

あみにあ

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乙女ゲームの世界

三度目の呼び出しは

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二度目のドライブも無事に終わり、秋が過ぎ去って行く中、北風が吹き本格的な冬が訪れを告げる。
黄金色だった木々は葉が落ち、寒々しい枝は街を灰色に染めていた。
しかしクリスマスシーズンが到来してくると、色とりどりの飾りに街が華やかさを取り戻していく。
大きなツリーが飾られ、ネオンがあちらこちらで光、鮮やかなイルミネーションに彩られていった。

そんな中、私は香澄ちゃんと近くの商店街へとやってきていた。
何でも最近有名なカフェがオープンし、とても人気があるのだとか。
最近色々と悩みの種が多く、遊ぶ暇などなかったけれど、こうやって香澄ちゃんが誘ってくれてとても有難い。
現状どれだけ考えても何も解決しない事ばかりだもんね。
この機会に少し頭の中をリフレッシュしよう。

そう思いながらに、隣へ並ぶうきうきとした香澄へ目を向けると、その視線に気が付いたのか……ニコッと可愛らしい笑みを浮かべながらこちらへ顔を向けた。

「ねぇお姉さま~、クリスマスイブとクリスマスはどうされるの?」

「クリスマスイブ?そうねぇ、どちらも特に予定はないけれど……」

そう答えると、香澄は不機嫌な様子で眉を寄せた。

「もうッ、お兄様まだ誘っていないのね……本当にヘタレなんだから……ッッ……」

「へぇっ、あー、二条はたぶん予定があるんじゃないかな。確かクリスマスイブに有名な起業家や大手取締役を集めたパーティーが催されるらしいわ。私のお兄様も参加するの。きっと二条も参加するんじゃないかなぁ」

私の言葉を聞いているのか聞いてないのか……香澄はブツブツと何かを呟いている。
そんな彼女を横目に私は彩られたイルミネーションを眺めていると、ふと一年前のクリスマスが頭を過った。
去年のクリスマスは雪が降ってたよね。
二条と眺めた美しい夜景が蘇る中、彼からもらったブレスレット。
綺麗すぎてそれに何だかもったいなくて、いつでも着けていない。
今も実家のジュエリーボックスへ入れ大事に保管したままだ。
あれ、そういえば二条にお返ししていないな。

あの後引っ越しの準備や新生活で頭がいっぱいだったからなぁ。
クリスマスに渡せるかどうかはわからないけれど……ちゃんとお返しはしないとね。
でも何が良いんだろう……う~ん。
目的のカフェが見えてくると、そこには多くの女性客の列が並んでいる。
最後尾までやってくると、香澄はガラス越しに映る色とりどりのケーキを楽しそうに眺めていた。

「ねぇ香澄ちゃん、二条にクリスマスプレゼントを用意したいんだけど、おすすめはあるかしら?」

そう問いかけてみると、香澄は目を輝かせながらに振り返った。

「お兄様に?ふふっ、そんなの決まっているじゃない!お姉様をラッピングしてお兄様に渡せば十分よ!」

香澄の言葉にピクピクッと頬を引きつらせる中、私は小さく息を吐き出すと、そっと視線を逸らせた。
ダメだ、香澄ちゃんの意見は参考にならないかな。
う~ん……ネクタイとか……いやでも好みがあるよね。
ならネクタイピンとかがいいのかな。
どんな服装でもあうシンプルな物。
色々なパーティーへ参加しているみたいだし、これなら実用的かな。
帰りにでもメンズ店へ寄ってみよう。

そんな事を考えながらに歩いていると、突然に着信音が響いた。
私は慌ててスマホを取り出すと、画面には非通知との文字が表示されている。

「ごめんなさい、電話してくるね」

「はぁ~い、ここで待ってるわ」

私は人気のない場所へ移動すると、そっとスマホを耳にあてた。

「よぉ、彩華。今週の日曜日いつもと同じ時間にショッピングモールまで来い」

「今週……って明日じゃない。ちょっ、はぁ……また急なッッ」

「宜しくな、ガチャッ、ツーツーツー」

毎度同じように一方的に電話が切られ、ため息が漏れると、軽い頭痛がしてくる。
明日は確か……お兄様はいないはず。
運が良いことに、いつも彼が誘ってくる日付は兄が居ない日ばかり。
……お兄様とはまだギクシャクしたまま。
本当の事を話せない……だけどうまい嘘も思いつかない。
なら避ける以外どうする事も出来ない。
でも約束の期限まで一ヶ月を切っているわ。
もう少しの辛抱……だけど解放されない可能性もあるわよね。
その時は……。
私はギュッと強くスマホを握りしめると、無造作にカバンの奥底へと押し込む。
そうして香澄の元へ戻ると、彼女の笑顔に雨雲がかかった気持ちが少し和らいだ気がした。
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