Dual Life

某勇者

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003.初日と命日

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分からない。
剣で切り付けたし、魔法も使った。
それっぽい動きをして、全て失敗した。
体力ギリギリまであえて削ったり、
そこから回復薬と魔法で回復した。
魔物を狩りまくってレベルもお互いに1から14と大きく伸びて、熟練度もまあまあ上がった。
朝の10時半くらいから1時間、自分にできる事を全てやったはずだ。
なのにいまだに、自分の『スキル』は不明。
色々やって解明すると決めたは決めたが、
キル「ここまでわからないと精神的に来るな…」
リーア「確かにね…でも、スキル無しなのによく戦えてると思うよ。」
キル「そりゃスキルが何でも戦えるように特訓したからな。それに、多少は戦えているとはいえ、お前の『氷結の力』の圧倒的火力に助けられてる部分も大きいし。」
リーア「ありがと。私、この能力すごい気に入った。」
キル「俺も似合うと思う。冷静に的を狙って魔物を凍らせる様はほんとにカッコよく見えたし。」
リーア「………嬉しい。」
リーアが照れる姿を見て、つい可愛いと思ってしまったが、多分全員同じ反応をするはず。
リーアは俺と同じクールで冷静って周りから言われる。
だから照れている姿を見たことがない。
よっぽど嬉しかったんだろうな。
なんて、のんびり考えていたら、
ピピピピピ ピピピピピ
キル「ん?」
リーア「あ、コネクトの通知かな?」
キル「ああ、これコネクトの通知音なのか。」
そういやコネクトを確認するのを忘れてたな。
対象を登録したらいつでもどこでも繋がれるマジックアイテムという超便利な物なのに、貰った時に細かい説明聞いてなかったな…
とりあえず、俺はコネクトの通話相手を確認した。
相手はジェフか、一体何だろうな?
キル「キルだ、どうした?」
?「脅しにきた。」
キル「!?」
声が、違う。
村の誰でもない声だ。
それに最初の一言が『脅しにきた。』だ。
明らかに怪しい者だ。
リーア「あなたは誰?なんで赤の他人がジェフのコネクトを使っているの?」
?「ほう、俺様が誰か、か。それは村に来ればわかる。なんせ、俺1人で村を制圧してやったからな。」
キル「村を制圧した!?」
リーア「村人たちはどうしたの!?」
?「安心しろ、殺してはねぇ。ただ、もしお前らが他の誰かを連れてきたら、爆弾で村人ごと村を破壊してやる。」
キル「………」
?「さあ、どうする?自らの命を危険に晒してでも、村人たちを助けるか?それとも、村を見捨てて逃げるか?」
リーア「そんなの決まってるわ。村人たちを助けないでどうするのよ。」
?「ほう、逃げないのか。」
キル「当たり前だ。」
?「いいだろう…ならば村に来い。そこで俺を殺せば、解放してやる。もっとも、お前らみたいな冒険者になりたての奴らが、俺に勝てるはずがない。助けるつもりなら、今日がお前らの命日だ。さあ、15分以内に来い。来なければこいつらを殺す。」
そこで通信は途切れた。
リーア「………キル、」
キル「わかってる、早く行くぞ!」
リーア「ええ!」
俺とリーアは全力で村に向かった。
そこまで離れていなかったので、3分程で着いた。
?「来たか、雑魚。」
キル「雑魚って…本当にお前は凶悪だな、フルブレイカー。」
FB「ほう、俺の正体を知っているのか。」
リーア「フルブレイカー、通称FB。5日前にきわみ隔離収容所を脱走、現在行方不明の凶悪犯。5日前なのに、どうしてここまで?」
FB「簡単な話だ。実際に脱獄してから気づかれるまでに3日の間があったからだ。」
キル「3日!?」
FB「あいつら、少し攻撃的なそぶりを見せただけでビビりやがって、とんでもねぇ愚策をしたんだ。」
リーア「脱獄に気づくのが3日も遅れるその愚策って何よ?そうそうそんな事無いわよ?」
FB「単純だ。奴らは俺の特別監禁室に入らなくなり、俺を餓死させようとしたんだ。ならその隙をつけば簡単に脱獄できる。」
キル「対策が裏目に出たのか…」
FB「と言っても、途中盗みをして食糧を補給しねぇと、流石の俺でも生きていけねぇ。だから、ここから奪ってやった。ついでに村も制圧して、生活拠点にしようとしたわけだ。」
リーア「酷い…」
FB「勝手に言え。それはそうと…ここに来たということは、死ぬ準備はできているようだな。」
キル「死ぬのはお前だ。」
リーア「絶対に負けない!」
FB「どれだけ言っても無駄だ!俺の手で、全てをぶっ壊してやる!」
FBはそう言うなり、俺にハンマーを叩きつけようとする。
キル「甘い!」
俺はその攻撃を余裕を持って回避し、その隙に攻撃を叩き込む。
FB「チッ、小賢しい!」
リーア「小賢しくて結構よ!」
リーアは遠距離から氷柱をいくつも飛ばして攻撃している。
遠距離攻撃なのに火力が高い。
しっかり魔法使いの素質があるようで何よりだ。
FB「少しはやるな…ならこれはどうだ!」
FBはハンマーを構えると、リーアが飛ばした氷柱をいとも容易く打ち返した!
リーア「ッ!痛いっ!」
FB「デッドボール上等だ!」
リーア「これじゃ迂闊に攻撃できない…」
キル「とりあえずコレを!」
すぐに使えるように予め用意していた回復薬をリーアに投げ渡す。
リーア「ありがとう、残りは?」
キル「ないけど、回復魔法3回分はある。」
リーア「それじゃ、慎重に動きましょう。」
相手の間合いに気をつけつつ、俺は距離を詰める。
FB「ったく、戦い甲斐の無い奴らだ。それじゃそろそろ、戦士くんから潰そうか…な!」
一気に距離を詰めてきた。俺は防御体制に入ったが、
FB「恐怖を味わえ!」
FBが何かを投げると同時に足元からものすごい煙が噴き出し、あっという間に視界不良になった。
なるほど、視界不良からの奇襲か。
だが、それならこうするまでだ。
キル・リーア「「ウィンド!」」
俺とリーアの詠唱が重なり、その風で簡単に煙は吹き飛ばされた。
コレはいい誤算だ。
元々は少しでも視界を広くするためだったが、まさかにも重なるとはな。
でも…今までもよく重なってたな。
確か『考えが似てる』って言われてたっけ?
ま、それがいい方向に転んだってことだ。
FB「死ねぇ!」
FBは前から勢いよく迫ってくる。
コレはチャンスだ。
あいつの体力は6割弱。
ここでカウンターを決めれば、一気にダメージを与えられる!
俺は右からくるであろう攻撃に対し、左に回避した。
しかし、そこで俺は気づいた。
攻撃のタイミングがあまりにも遅いことに。
リーアとFBの位置からしてリーアも狙ってない。
FBの向いてる方向の先にも特に何も無い。
奴は一体何を…そう思った瞬間だった。
目の前にいたFBが、消えた。
リーア「後ろ!」
俺は咄嗟にガードしながら振り向こうとしたが、もう手遅れだった。
FB「オラァ!」
キル「ぐっ!?」
FBが振り上げたハンマーに、俺は空高く飛ばされ…
キル「グハッ…」
容赦なく、地面に叩きつけられた。
リーア「キル!」
FB「フン、俺の瞬間移動魔法に驚いたか?」
キル「なっ…でも、詠唱してないはず…」
FB「煙幕巻いてる間に唱えたんだよ…時間差発動させる俺のスキルを加えてな。あとは簡単だ、お前を狙った位置に誘導し、油断させるだけ。」
キル「くそっ…グッ…」
FB「クリーンヒットしたんだ、体力尽きて当たり前だ。」
リーア「そんな…キル…」
くそっ…油断した、油断した、油断した!
相手は凶悪脱獄犯なんだ、こっちの想像を軽々超える一手があってもおかしく無いはずだ!
完全に失念していた…
リーア「キル…キル…キル!」
FB「フハハハハハ!たまらねぇ、やっぱりたまらねぇぜこの快感!さてと…次はお前か。と言っても、もう戦闘意欲も無くなってるか…安心しろ。お前も天国に送って、あいつに合わせてやる。俺からの慈悲だ、ありがたく受け取れ。」
リーア「………」
だめだ、リーア。
その誘いに乗るな、今すぐ皆で逃げて助けを呼べ!
じゃないとお前も皆もやられる!
そう言いたいのに、やられた衝撃で言葉にできない。
俺は死に抗えない。
抗おうとしても、その力さえ失われてく。
そして少しずつ意識が遠のいていく…

………
………………
…………………………
………………………………………
………………………………………………………




~Character~
・キル
16歳の人間。
スキル『???』
クールで冷静沈着。
親に捨てられた。
戦う姿に影響され、戦える人になろうとする。
簡単な武器と防具の扱いに慣れた、いわゆるオールラウンダー型である。

・リーア
16歳の猫型獣人。
補足:猫型獣人は人間に猫耳と尻尾が生えた感じ。
人間よりも身体性能が高い。
猫らしく?魚が好きでマタタビの匂いで酔う。
スキル『氷結の力』
クールで冷静沈着。
キルの幼馴染。
魔法の力に憧れ、魔法使いになろうとする。
魔法の扱いに格段に長けている。

・ジェフ
38歳の人間。
スキル『鍛治』
優しくて情に厚い。
キルに対して兄貴のように振る舞う。
『鍛治』の力を得たことをきっかけに鍛冶屋を始める。
扱うのは無理だが、作るなら何でも。

・マーズ
274歳のエルフ。
補足:エルフは長寿で、大体1500~1600年生きると言われているが、実際はわからない。
正しいのなら彼女は人間に例えると17歳半くらい。
スキル『縫い物』
優しい。メチャクチャ優しい。
この村の古参。
『縫い物』のスキルを見て即縫い物に没頭した。
何かしらめでたいことがあると、すぐにプレゼントを送る。本人曰く、「そうしないと気が済まない」とのこと。

・フルブレイカー
通称FB。
34歳の人間。
無慈悲で残酷だが、少しだけ慈悲もある。
過去に342件ほどの犯罪を犯した。
スキル『時間差魔法』
このスキルを利用して逃げたり、反撃したりされ、国の兵士を大量に送り込んでも捕まえられなかったことも30回ほどある。
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