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しおりを挟む「おい!今日の謁見はまだあるのか!妾はもう疲れたぞ!」
「申し訳ありません、女王陛下。次が最後でございます。新しく宰相となった者を紹介いたします。………ラフォン、入室せよ」
王の玉座にふんぞり返って座り、堪え性のないこの人のために可能な限り人数を絞り、時間を短くした謁見にも絶えられなくなったわがままな女王陛下が文句をこぼす。
周りの側近達がなんとか女王をいさめて、本日最後(といってもたかだか四人目なのだが)の謁見者を部屋に通した。
「失礼いたします、女王陛下。お初にお目にかかります。私、この度宰相位に新しくつかせて頂くことになりましたジルベール・ラフォンでございます」
流れるような動作で女王の前にかしづき、頭を下げた。
上質で触り心地の良さそうな青い髪がはらりと落ちる。
姿態に恵まれているようで、他の側近達と比べて頭一つ分くらいは背が高く、何より、ずいぶんと年齢が若かった。
25,6歳といったところか。
前の宰相は、前国王が存命であった時からの者であったため最近までその老体にむち打ってその位についていたのでそれを見ていたから若いと思うこともあるのかもしれないが。
とにかく、女王はその異色な人物に気まぐれにも少し興味がわいた。
そして、それが普段は言わないようなことをいうきっかけになったのだった。
「おもてを上げよ。ふん、お前みたいな若造に務まるのか見物だな。まあ、これから宰相としてせいぜい精進するといい」
なんとも上からな言葉がけであるが、女王が謁見者に対してこのような態度を取ることは珍しかった。
いつもだったら、短い事務的な返事で相手を見ることもなくすぐに返してしまうのだから。
「有り難きお言葉でございます。心より精進して参ります。ときに女王陛下、一つお耳にお入れしたいことがあるのですが、発言をお許しいただけますか?」
宰相が女王とまっすぐに向き合って話を続けた。
頭を上げたジルベールの瞳は髪と同じように青色で、その透き通った色は何にも表現しがたいほど綺麗だった。
言うなれば海の洞穴で少しの隙間から差し込んだ光を受けて、きらきらと反射する海面の奥にある吸い込まれるような魅力があった。
女王はその瞳に見せられて半ば無意識的に返事をしていた。
「うむ、話してみよ」
女王のその発言に周囲は少しざわついた。
一刻も早くこの謁見室から出たいと日々試行錯誤している女王が、わざわざ自らその時間を伸ばすようなことなど予想していなかったからだ。
しかし、ジルベールはその動揺に気を止めることなく許可された発言を淡々とした。
まるでそうなることが分かっていたかのように。
「恐れ多くも女王陛下、その玉座はあなた様には合い相応しくないと考えます」
そして優雅な笑みを浮かべながら、誰しもが思いもよらなかった爆弾を落としたのであった。
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