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恋人編
54 パートナーがモテすぎるときにはどうしたらいいんでしょうか
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なんだって?!
私が当主様と結婚することが決まっていたの?ということは今まで婚約できる年じゃなかっただけで、相手はいたということだ。
完全に私の浮気行為だしレイは被害者だ。
「あ、あの!……すみません。知らなかったというのは言い訳になりませんね。…………でもレイ………レイモンド様は悪くないんです。これがきっかけで何か良くないことが起きたりは…………?」
「そうだねぇ。本来なら自分の婚約者をたぶらかしたとかで責任追求をしたいところだけど、相手がほんの子供じゃあね。…………でも君の心がけ次第では考えてあげてもいいよ。僕の言う通りにすること、それが条件だ。」
なんとも胡散臭い話だ。
当主様が話している間に少し頭が冷えてきて、冷静になれた。
大体本当に私と当主様の間に婚約のような関係があったのかな?
だってもしそうならお父様が私に言わないのは不自然だ。…………悲しいことに完全に忘れていたという可能性もお父様なら否定できないけど。
もし本当は婚約がなかったとしても自分の家が属する公爵家に打診された婚約を誰が断れるだろう。
恐らく無理だからどっちにしろ今の状況では当主様の命に従うのが得策だと思う。
「わかりました。とりあえず今日のところは当主様の言う通りにすることをお約束いたします。」
「じゃあそうしてね。僕、あんまり気が長くないんだ。それと当主様なんて他人行儀な呼び方じゃなくて名前で呼んでよ。したの名前がいいな。」
これも命令なのかなぁ。とりあえず逆らわないと決めたから従わないと。
「承知しました、カイズ様。」
「うんうん。やっぱり名前で呼ばれると嬉しいね!あっと、もうすぐ王宮へ着くみたいだ。会場ではわかっていると思うけど、ちゃんと想い合っている恋人みたいな雰囲気を出すんだよ?」
レイ以外とそんなことしたくない!!
考えただけで心が軋むように痛くなる。
けど、ここでこの人に従わないと確実に家族には迷惑がかかる。
この人は何を考えているんだろうと思わずじっと見つめると、やはり読めない笑みを浮かべたままだった。
「きゃあっ!カイズ様、お久しぶりでございます!相変わらずお綺麗ね…………あらっ、隣の方は?見慣れない顔だし随分とお若いみたいだけれど…………。」
「ああ、こちらはね僕の家の親戚でアイリーン・シュタイナー伯爵令嬢だよ。僕の大切な人だ。そうだよね?」
えっ!私に話を振らないでよ。それになんだか話しかけてきた女の人、私のこと睨んでるし。第一私と貴方はさっき会ったばかりでしょうが!
親戚とかうまいこと言っているけど、貴族なんて大体親戚みたいなものだし…………。
「あの、大切と言うのは親戚だからであってそんなに深い意味はないのでっ……いたっ!」
隣で私の腕を掴んでいたカイズ様に腕をつねられた。それも思いっきり。
そして物凄く冷たい顔で睨んでくる。
な、なんでそんなに怒っているの?
私を妻にしたいとか言っていたのも恐らく愛人を作るのに丁度良い隠れ蓑を置きたいからだと私は思っている。
だってそれ以外考えられないしっ!こうしている間にも続々と女性が集まってきている。
やっぱり遊び人の名はバカにならないようだ。
急に睨んできたカイズ様に驚いているとスッとカイズ様が顔を近づけてきた。
「さっきの約束を忘れたの?君はね、僕の言うことをきいていればいいんだよ。ね、さっき恋人のように振る舞ってって言ったよね。」
「はい………。申し訳ございません。以後気を付けます。」
「じゃあ今からちゃんと実行してね。じゃあ手始めにキスしてみようか。」
「えっ?!キス…………ってあのキスですか?無理です、こんな大勢の前で。」
何より私にはレイがいるし。
いやもうそんなこと言う権利ないのかもしれないけど、レイの居るこの会場でそんな裏切りしたくない。
「何を躊躇っているの?あ、もしかしてやり方が分からない?いいよ、僕からしてあげるから。」
「ちょっと待って、カイ……ふっあっ!」
何か柔らかいものが唇に触れている気が…………って、ちょっと待って!
今、私カイズ様にキスされている?
レイともしたことがないのに?
とにかく気持ち悪くて仕方ない。
カイズ様がどんなに美しい方でもレイじゃないなら誰でも一緒だ。
あまりの出来事に私は気づくと涙を流していた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
………もう少しお付き合い下さい!!
私が当主様と結婚することが決まっていたの?ということは今まで婚約できる年じゃなかっただけで、相手はいたということだ。
完全に私の浮気行為だしレイは被害者だ。
「あ、あの!……すみません。知らなかったというのは言い訳になりませんね。…………でもレイ………レイモンド様は悪くないんです。これがきっかけで何か良くないことが起きたりは…………?」
「そうだねぇ。本来なら自分の婚約者をたぶらかしたとかで責任追求をしたいところだけど、相手がほんの子供じゃあね。…………でも君の心がけ次第では考えてあげてもいいよ。僕の言う通りにすること、それが条件だ。」
なんとも胡散臭い話だ。
当主様が話している間に少し頭が冷えてきて、冷静になれた。
大体本当に私と当主様の間に婚約のような関係があったのかな?
だってもしそうならお父様が私に言わないのは不自然だ。…………悲しいことに完全に忘れていたという可能性もお父様なら否定できないけど。
もし本当は婚約がなかったとしても自分の家が属する公爵家に打診された婚約を誰が断れるだろう。
恐らく無理だからどっちにしろ今の状況では当主様の命に従うのが得策だと思う。
「わかりました。とりあえず今日のところは当主様の言う通りにすることをお約束いたします。」
「じゃあそうしてね。僕、あんまり気が長くないんだ。それと当主様なんて他人行儀な呼び方じゃなくて名前で呼んでよ。したの名前がいいな。」
これも命令なのかなぁ。とりあえず逆らわないと決めたから従わないと。
「承知しました、カイズ様。」
「うんうん。やっぱり名前で呼ばれると嬉しいね!あっと、もうすぐ王宮へ着くみたいだ。会場ではわかっていると思うけど、ちゃんと想い合っている恋人みたいな雰囲気を出すんだよ?」
レイ以外とそんなことしたくない!!
考えただけで心が軋むように痛くなる。
けど、ここでこの人に従わないと確実に家族には迷惑がかかる。
この人は何を考えているんだろうと思わずじっと見つめると、やはり読めない笑みを浮かべたままだった。
「きゃあっ!カイズ様、お久しぶりでございます!相変わらずお綺麗ね…………あらっ、隣の方は?見慣れない顔だし随分とお若いみたいだけれど…………。」
「ああ、こちらはね僕の家の親戚でアイリーン・シュタイナー伯爵令嬢だよ。僕の大切な人だ。そうだよね?」
えっ!私に話を振らないでよ。それになんだか話しかけてきた女の人、私のこと睨んでるし。第一私と貴方はさっき会ったばかりでしょうが!
親戚とかうまいこと言っているけど、貴族なんて大体親戚みたいなものだし…………。
「あの、大切と言うのは親戚だからであってそんなに深い意味はないのでっ……いたっ!」
隣で私の腕を掴んでいたカイズ様に腕をつねられた。それも思いっきり。
そして物凄く冷たい顔で睨んでくる。
な、なんでそんなに怒っているの?
私を妻にしたいとか言っていたのも恐らく愛人を作るのに丁度良い隠れ蓑を置きたいからだと私は思っている。
だってそれ以外考えられないしっ!こうしている間にも続々と女性が集まってきている。
やっぱり遊び人の名はバカにならないようだ。
急に睨んできたカイズ様に驚いているとスッとカイズ様が顔を近づけてきた。
「さっきの約束を忘れたの?君はね、僕の言うことをきいていればいいんだよ。ね、さっき恋人のように振る舞ってって言ったよね。」
「はい………。申し訳ございません。以後気を付けます。」
「じゃあ今からちゃんと実行してね。じゃあ手始めにキスしてみようか。」
「えっ?!キス…………ってあのキスですか?無理です、こんな大勢の前で。」
何より私にはレイがいるし。
いやもうそんなこと言う権利ないのかもしれないけど、レイの居るこの会場でそんな裏切りしたくない。
「何を躊躇っているの?あ、もしかしてやり方が分からない?いいよ、僕からしてあげるから。」
「ちょっと待って、カイ……ふっあっ!」
何か柔らかいものが唇に触れている気が…………って、ちょっと待って!
今、私カイズ様にキスされている?
レイともしたことがないのに?
とにかく気持ち悪くて仕方ない。
カイズ様がどんなに美しい方でもレイじゃないなら誰でも一緒だ。
あまりの出来事に私は気づくと涙を流していた。
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………もう少しお付き合い下さい!!
応援ありがとうございます!
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