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L'istnsso tempo

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 【照明 FO】

    暗転中に

藍 『伝えなきゃ! 届けなきゃ!
   まだ間に合うよね。
   アイツは必ずあそこにいる! 
   バカだけど、不器用なアイツだけど、
   気づくといつもそばにいて
   支えてくれた。
   こんな終わり方・・・っ!』

​    〇公園 

​    登  上手から登場

登 「これでよかったかな」

    ​登  座る 

登 「上手くといいな。
   ・・・また曇りか、はあ」

​    登  身震い 

    藍  上手から登場

藍 「やっぱりここにいた」

登 「なんで」

藍 「なんではこっちのセリフ!
   あんたはこんなところで
   何してるの?」

登 「何って」

藍 「あんたのサークルに対する想いって
   その程度だったんだ」

登 「もしそうだったら
   MVのこと琴音たちに話すか
   眞白を音楽室に呼び出すか?」

藍 「だから何?
   偉そうに言わないでよ
   あんたは何も出来てない
   肝心なこと何ひとつ」

登 「お前、俺がどんな気持ちで
   やったと思って」

藍 「そのセリフはもう聞き飽きた
   あんたは私と同じなの」

登 「お前と?」

藍 「相手の心気遣って、優しいふりして
   本当は自分が傷つきたくないだけ!
   あんたはね
   人の想いとも
   自分の想いとも
   正面から向き合えない
   臆病者なんだよ!!」

登 「いい加減に」

藍 「今度が図星突かれて逆ギレ?
   自分の想いを口にすることも
   相手の想いを受け止めることも
   一歩踏み出す勇気もない。
   言葉にしなきゃ伝わらない。
   思ってたって分からない。
   だって、謝りにきたのに
   ごめんなさいの一言すら
   言えないんだよ?」

登 「藍・・・」

藍 「私ずっと怖かったんだ。
   ピアニストの世界を知って
   過酷だって痛感して
   無理かもしれないって。
   でも、私にはピアノを辞めたら
   私には何も残らない」

登 「・・・・・・」

藍 「どうしたいのか分からなくなって・・・私」

登 「悩んでたのは知ってる。
   けど、何も言われなくて
   1人で悩んでんのがムカついた。
   頼ればいいのに、傍にいるのにさ」

藍 「登・・・」

登 「でも、本当は頼られない自分が
   嫌だっただけで。
   必要とされてないことが
   悔しかったんだ」

藍 「ごめん、登」

登 「いや、いいんだ。
   俺の身勝手な感情だから。
   それでお前に当たった俺が悪い」

藍 「そんなことない。登はいつも
   気にかけてくれていたのに」

登 「焦っちゃったんだよ」

藍 「焦った?」

登 「ああ。答えを」

藍 「あ・・・そうかも知れない」

登 「本当に、ごめんな、藍」

藍 「届いたんだね」

登 「何が?」

​    藍  くしゃみ

登 「まったく」

    登  上着を藍に掛ける

登 「俺がもっと早く
   素直に言えていたらこんな遠回りは
   しなくて済んだのかな?」

藍 「ねえ、登。合唱サークル入らない?」

登 「前にも聞いたな、そのセリフ。
   俺で良ければ喜んで」

藍 「やっぱバカ。あんたがいなかったら
   眞白の『夢』叶わないじゃない」

登 「あ、そうか」

藍 「さて、いくよ。
   あんたの音痴直しに!」

登 「今から?」

藍 「もちろん! あと3日だよ?」

登 「あーあ、こんな時に冬の蛍がいれば
   俺の音痴も一発に直るのに」

藍 「冬の蛍?」

登 「見た人の願いが叶うんだと」

藍 「ふーん。じゃあ
   もっと前に出会えてたら
   みんなすれ違わずに
   済んだんだね・・・」

登 「・・・・やめだやめだ。
   願ったって仕方ない
   出来ることやるぞ!」

藍 「火が付くと登はいつもこうだ」

登 「ん?」

藍 「ほら、いくよ!」

​    藍  登の背中を叩く

​    登  バランスを崩す 

登 「うげ。あ」

​    藍  登につられて空を見る

登 「いつも間に」

藍 「綺麗だね、空」

登 「ああ。久しぶりに見た」

​ 【照明 FO】 

登 「藍色の空」

 ​【暗転】 
 
 
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