異世界転生だと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢でした。

水無月 あざみ

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第一章 乙女ゲームの世界に生まれて

10 デートいえ買い物です

 昨日の約束通り今日はドワーフのおっさんがやってる小さい店に連れてきてもらった。

 シュヴァは姿を自在にグニョングニョン変えられるらしく、俺の影の中に潜む事も可能らしいので、ルイの要望で、俺達二人でドワーフのお店に来たのである。本当に闇の者って感じな能力だ。

 ちなみに、ドワーフは人間のためになるから許可書さえあればOKなんだと。
 ドワーフは町中に堂々とOKで、人間の俺がフード着用必須とは…。

 店をぐるりと見渡すと、小さいながらも品揃えが良く、剣や杖、それだけではなく、防具もそろっているよつだった。

 本音を言えば騎士や魔法使いに憧れているので剣か杖が欲しいのだが、接近戦は教えてもらえなさそうだし、魔法は使えないので仕方なく、弓を選ぶ。

 「どれにしようかな…」

 最初に目に入ったのは、艶があり、光っている黒い弓だった。あれいいな。よし…ってあれ?持ち上がらない。

「ぐっぬぬぬ、重いー」

横でルイがクスクスと笑っている。

「ヴァイスに戦闘は無理そうだね。甘いものでも食べて帰ろ? 最近は魔王がヴァイス目当てで貢物持ってくるから稼ぎがいいんだよ」

 昨日素直だったのはそのせいか…。現地で諦めさせるためか。どうにかして持ってやるっと意思を固めた所に、奥の方へ行っていたドワーフのおっさんが近くに来た。

「がはは。それは子供にはちと早い重いタイプじゃ。ほれ! お子様にはこれで十分じゃろ」

ドワーフのおっさんは木で出来た弓を俺に投げた。

「軽い…けどなんか…即席って感じがするんだが…」

「そりゃそうじゃ、今作ったんじゃからの」

しれっと言われたからそうかっと返事をしそうになったが、

「え、本当に即席なのかよ。売るなよそんなもん」

「はて? 売るといったかの?
 それはあげるようじゃ。わしの店の弓で子供用は無いのじゃ。使えもしないやつに売るのはわしの子がかわいそうじゃからの。」

 俺に売る物はないと言うように手をひらひらさせた後、バツ印をつくる。

「せめて、それで的に10本中8本当たるぐらいでないとの」

「言ったなドワーフのおっさん…今すぐ当ててやる。的はどこだ。」

 俺がニヤリと笑って見せると、深くかぶったフードから口元は見えたのであろう。ドワーフのおっさんも、ニヤリっと広角をあげる。

「ほう! 勇ましいの」

 ドワーフのおっさんは木でできた盾に小さい丸を10個書いて目の前に置いた。

「ほれ! 無理だと思うがの。
 もし当てれたらわしの名前を教えてやるからの。がんばるのじゃ」

「おっさんの名前なんて…ドワーフのじじいでドワじいで十分だろ」

 ドワじいから矢を10本中もらい、矢を放つ。

──結果から言うと矢は丸の中に入らなかった。10本中1本すら。

人生はそう甘くないらしい。ラウンド犬の鳴き声でのアーチエリーはなんだったのだろう。

「がははは。あそこまで啖呵切って0とは…お主面白いやつじゃの。気に入った!
 お主がもし、10本中10本中当てれるようになったら専用の弓をつくってやるぞ」

「ドワじい!!」

ドワじい、良い奴じゃん。

「もちろん、料金は頂くがの。割高で」

「ドワじぃ…」

出そうだった涙が一瞬で渇ききった。

 1週間に1回はくるのじゃぞっと言われながら店を出ると、ルイの頬が膨らんでいる。

「ルイ?」

「デートにするためにシュヴァにルイの影に入ってもらったのに、僕よりおじさんと盛り上がるんだもんな~。全く」

 ドワじいと勝手に勝負を初めてルイを除け者にしたことを怒っているのか?

「ルイを除け者にしちゃってごめんな?」

 友達が別の人と盛り上がると疎外感すごいもんな。二人だととくに。わかるわかる。ルイの頭を撫でようとして届かず、手を伸ばしたまま背伸びをすると、ルイが屈んでくれた。そのまま、よしよしとシュヴァにするようになでる。

 がばぁっと抱きつかれたかと思うとそのまま抱えられた。

「お、おい」

ルイの機嫌は治ったようで、

「そのままなでてね?皆へのお見上げかってこよう」

と、抱えたままあるきだした。
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