異世界転生だと思ったら乙女ゲームの悪役令嬢でした。

水無月 あざみ

文字の大きさ
13 / 69
第一章 乙女ゲームの世界に生まれて

11 花束と

「ヴァイス!花買って帰ろうよ~」

 ルイが花屋の前で止まり指を指した。

「花?」

確かに、色とりどりの花はきれいだが…花なんて買うようなタイプだったか?

「名無しとかお前とかで呼ばれてたって言うから…花の名前をつけるようにしてるんだ。ほら、あの子達花のように可愛いいでしょ?」

ルイがニコッと笑った。

 ルイが育てているのは現在3人、ツバキ、フィラ、マリの3人だ。ツバキは女の子だし可愛いいで合ってるけど…フィラとマリは男の子なんだよなぁ…。見た目年齢年上に可愛いいとは言いにくい。

 というか…

「ツバキはわかるけど…フィラとマリも花の名前なのか?」

ツバキはわかるがフィラとマリが?聞いたことない。

「そうだよ~。フィラがネモフィラでマリはオオデマリから取ったんだ~ちなみにツバキもオトメツバキから取ってるんだよ~」

 全部聞いたことないな。ツバキもただのツバキじゃなかったのか。

「聞いたことない」

「ん~ほら!あの水色がネモフィラ!そしてこれがオオデマリ!」

 ルイが指差す方をそれぞれ見ると、澄んだ青空のような花と見てるだけで引き締まりそうな薄緑の可愛らしい花かある。

「あった!そしてこれがオトメツバキ!」

 オトメツバキは鮮やかな桃色に、何重にもなった花びらの綺麗というか、可愛らしい花だった。ツバキのふわふわした桃色の髪の毛や雰囲気にそっくりで…

「なるほどな…髪の毛の色がそっくりだな」

「でしょ?」

 この世界の髪の毛は基本濃い。だから俺らは差別される…が、あいつら魔力少ないおかけで花のように鮮やかなものを手に入れている。普通ならマイナスだけど…この花見ると長所のような気がするな。
 髪の毛が鮮やかなツバキ達が羨ましくなってくる。
ん?そういえば…

「ルイ…俺は花じゃないんだけど…」

「あ…店員さーん。このオトメツバキとネモフィラとオオデマリで花束作ってくれますかー?」

 あからさまに目をそらされた。

「なんでだ」

ごまかされないからなっと付け加えると気まずそうに…

「んーあまりにも綺麗な白で輝いてたから…かな」

と、答えてくれた。まぁ、別に仲間はずれになったとか思ってないし。寂しいとかも思ってないからな。統一しといてくれよ。

「はいよ!花束!13エトワだよ!そういやあんちゃん旅人かい?フードなんかかぶって」

「そのようなものです」

 旅人ではないのだが、ルイがしれっと答えながら13エトワを払う。エトワとは日本で言う円のようなもので、1エトワ=100円となっている。

 しかも持ち運びもギルドカードや、貴族カードの様な身分証明書とくっついているので楽である。受け渡しもカードとカードをくっつけながら払いたい人と貰いたい人がそれぞれ思い浮かべて一致すればいいのだとか…なんとも便利である。盗まれたら終わりだけど。

 ちなみに、子供はカードをまだ持っていない。ギルドと同じく12歳から1人前とされるため、12歳以下は持っていないのである。だから、俺が服売ったやつとか、髪売ったやつはルイに預けてある。いくらになっかも知らないけど、世話になってるから別に問題はない。

「そうかい。じゃぁ知らないだろうが、最近領主様の娘がいなくなったんだと、領主様が必死になって探してるんだよ」

父が…俺を探している?

「おと──領主様が?その話詳しく聞かせてくれ」
俺の返事にルイが首をかしげている。

「どうしたの? ヴァイス」

「ちょっと…な」

「詳しくと言われても…あ! そうそう!
 娘さんは白い髪をしているんだそうだよ。それが本当なら領主様の娘でも、気味悪いさねぇ。誰も探したくなかったんだけど、先日見つけた者に10,000エトワ出すって言ってるもんだからみんな必死よ。旅人さんも見かけたら教えておくれね」

 白い髪と聞いたルイからえっ…と戸惑っている声がした。父よ。探すにしても大々的すぎる。反省してるなら戻ってもいいとは思っていたが。

 …しかし、10,000エトワって…日本円で100万!?
たっか! 自分で行って金貰おうかな。あ、身分証持ってないやほんっと子供に不便すぎる。コインも出そうと思ったらフリスクみたいにして出るらしいけど…たくさんあると邪魔だしな。

「ありがとう!もし見つけたらおばちゃんに教えるよ」

そう答えてルイの裾を引っ張る

「ありがとうね~まってるからね~」

「ルイ! 帰ろう!」

「う、うん…」

 帰り道のルイの表情は曇っていた。

 おばちゃんの言ったことを考えているのだろう。ルイは俺を売る気なのだろうか?…やっぱりお金は大切だもんな。しかも俺は捨てられたわけではなく、自分からだし…俺の足が止まった。

「ヴァイス?」

 ルイが覗き込むようにして俺を見る。沈みかけの夕日にあたってキラキラしていた。

「俺の事…気づいたよな?…俺を引き渡す?」

ルイはまぶたを閉じるとゆっくりと首を──
感想 3

あなたにおすすめの小説

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。 お嬢様の悩みは…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴッドハンドで世界を変えますよ? ********************** 転生侍女シリーズ第三弾。 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!

ど天然で超ドジなドアマットヒロインが斜め上の行動をしまくった結果

宝月 蓮
ファンタジー
アリスはルシヨン伯爵家の長女で両親から愛されて育った。しかし両親が事故で亡くなり叔父一家がルシヨン伯爵家にやって来た。叔父デュドネ、義叔母ジスレーヌ、義妹ユゲットから使用人のように扱われるようになったアリス。しかし彼女は何かと斜め上の行動をするので、逆に叔父達の方が疲れ切ってしまうのである。そしてその結果は……? 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。 表紙に素敵なFAいただきました! ありがとうございます!

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜

As-me.com
恋愛
 事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。  金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。 「きっと、辛い生活が待っているわ」  これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。 義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」 義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」 義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」  なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。 「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」  実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!  ────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?