【R18】おのぼりさんが帝都の貴族屋敷で奉公することになりました【完結】

県田 星

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第3章 お坊ちゃま(千寿編)

第9話 新たなお願い

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「あー、千寿、ちょっと良いかな」

翌日の夜も伸佑が千寿を訪ねて来た。

「ちょっと算術で聞きたくって…」
「……はい」

いつものように伸佑の部屋に向かう千寿。

「さあ、どうぞ」
「失礼いたします」

昨夜、ここで行われた痴態は気配すら残っていない。
そして、ここであったことについて2人とも何も言わない。

「えっと、ここなんだけど…」
「あ、はい、これでしたら…」

伸佑は算術で分からないとする部分を見せる。
千寿は努めて冷静に応対した。

「ああ、なるほど!さすが千寿だなあ!」

わざとらしく伸佑が褒めるものの、千寿は表情を変えずに「ありがとうございます」と述べるのみ。

「じゃあ、いつもみたいに英語を教えるよ」

伸佑は“いつもみたいに”の部分に力を込めるが、千寿は「今夜は結構です」と断る。

「そうなの?」
「はい、早めに休みたいので」

素っ気なく立ち上がる。

「あっ、やっ、ちょっと待って!」

部屋を出ようとしたところで、伸佑が千寿の前に回って土下座する。

「ごめんなさいっ!」
「え…」

一旦顔を上げた伸佑だったが、再び土下座をして「本当にごめんなさい」と床に額を付けた。

「…いえ、もう…良いです」
「じゃあ、許してくれる?」

千寿は大きく首を振って、強情な目を向ける。

「許すわけではありませんが、もう過ぎたことですし、忘れることにします」
「…そうか、本当にすまなかった」
「ですから、お坊ちゃまも、あんなことはなさらないでください」
「うん、分かった。絶対にあんなことはしない。約束する」

伸佑は土下座を続けたが、「もう良いですから」と千寿が手を引いて立ち上がらせた。

「じゃあ、と言うわけでもないんだが、千寿に頼みたいことがあって…」

千寿が厳しい目を見せる。

「また…こすって欲しい、とかではありませんよね」
「いや、実はそうなんだけど…」

あっけらかんと苦笑いする伸佑を千寿は無言で睨んだ。

「あはは、だめかな」
「お坊ちゃま、お小遣いはあるのでしょうから、お金を出してそうした場所に行かれてはいかがですか?」

伸佑はブンブンと首を振る。

「千寿、自分の言ったことを忘れたの?」
「えっ?」
「僕の言動は垂水家にも関わるとか、重々注意しろとか」
「覚えてはいますけど、そうした意味ではございませんし…」
「だとしても、垂水子爵家の跡取りが、軽々にそんな所には行けないだろ」
「まあ、それはそうかもしれませんが…」

風向きが変わったのか、伸佑が詰め寄ってくる。

「ほんっっっとうに気持ち良かったんだ」
「…」
「千寿だからこそ、僕のまらをこすって欲しいんだ」

大真面目な顔をする伸佑の口から「まら」の言葉が出て、千寿はプッと吹き出した。

「笑うなよ」
「ふふっ、も、申し訳ありません。うふふ…」

千寿が我慢しきれずに笑い続けるのを、伸佑はどうしたものかと思いつつ見ている。
しばらく笑ったところで、千寿は息を落ち着けた。

「えーっと、やっぱりだめ?」

千寿が呆れ気味で伸佑を見る。

「私が垂水家に奉公している女中だから、お坊ちゃまの言うことを聞くと思ったのですか?」
「いや…」

伸佑は否定する。

「そんなんじゃない!それこそ垂水家を貶める言葉になるだろ」
「…さようでございますね」

千寿は微笑んでうなずいた。

「何度も言うけど、千寿がしてくれたとき、とんでもなく気持ち良かったんだ」
「私が…ですか?すると、いつもは…ご自分で?」

伸佑はためらっていたが、ようやく「自分でしてた」と告白した。

「では、これからもそうなさって…」

千寿が言いかけると、伸佑は「千寿にして欲しいんだって!」と言い張る。
またもその場で土下座を再開する。

「お願いだ!」
「時々で良いから」
「この通りです」
「気が向いた時で」
「神様!仏様!千寿様!」

子爵家の跡取り息子が自分に土下座を続けるのを面白そうに千寿は見下ろしている。
それでも伸佑の頼みごとを聞き入れる気は無かったものの、千寿の気持ちを変えた言葉があった。

「勉強のご褒美で!」

伸佑が帝大を目指して勉強を頑張っているのは千寿も知っていた。
垂水伸太郎たるみ しんたろう子爵や綾香あやか夫人が期待をかけているのも知っている。

「まあ、ご褒美ということでしたら…」

一転して受け入れてくれそうな言葉に、伸佑が明るい顔を見せる。

「うん!勉強を頑張るから!」

立ち上がった伸佑は、早速とばかりにズボンを脱ぎ始める。

「ちょっと待って下さい!」
「え、何で?」
「昨日、しましたよね」
「でも今日も勉強したよ」
「そうでしょうけど、毎日ご褒美をあげる訳ではありません!」
「じゃあ、1日置き?2日置き?」

問いかける伸佑に千寿は首を振る。

「そうそう決まった日にするのではご褒美になりません!」
「そんなあ」
「私が頑張ってるなと思う時に、ご褒美として、その…、あの…」

うつむいた千寿は小声で「お坊ちゃまの…を、こすって差し上げます」と言った。

「よっしゃあ!」

伸佑は力強く立ち上がると、その場でズボンが半脱ぎになったまま万歳する。

「千寿!」
「は、はい」
「勉強を頑張るよ」
「…はい」

伸佑は机に向かうと、漢文と算術と英文の教本を開いた。
言うまでもなく、ズボンが半脱ぎになったまま。

そんな伸佑を尻目に千寿は部屋をそっと出ていく。

伸佑の部屋の扉を閉めたところで、胸に手を当てると大きく深呼吸した。

足音を立てないように自分の部屋に戻った千寿はベッドに横たわる。
手を握ったり開いたりして、昨晩の感触を思い出した。

その後、伸佑の頼みを受け入れる格好で2、3日に1度の割合で“ご褒美”が施された。

「もう1回!」
「あと1回だけ!」
「お願いだから!」

ご褒美の事後に伸佑が肉棒をさらしながら、そう土下座することもあった。

「だ・め・で・す。また、いずれ」

それでも、ご褒美として千寿が伸佑の肉棒をこするのは、1度につき1回きりだった。
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