【R18】おのぼりさんが帝都の貴族屋敷で奉公することになりました【完結】

県田 星

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第13章 ある日の湯船

第35話 千寿のある日の湯船(少しH描写あり)

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「おじゃまするよ」

このところ千寿が一人で入ることの多かったしまい湯に、女中頭の幸が入って来た。

「どうぞー、幸さんは、まだだったのですね」
「ああ、今日はいろいろとあってさ」

体を流した千寿が湯船に入ると、幸が体を洗い始める。

幸の体を見るともなく見てしまう千寿。
特に豊かな胸と股間の陰りが気になってしまう。

垂水《たるみ》子爵家に奉公に来て以来、大きく変わったのが食生活。

田舎にいた頃は食べものの質どころか量ですら十分ではなかった。

しかし垂水家では違う。量は十分にあるのはもちろん、質も段違い。
洋食には随分となじんできたし、菓子や甘味もしっかり堪能できている。

その結果、千寿の肉付きは格段に良くなった。
乳房も腰回りもしっかりと肉が付いており、上京してから付けるようになった乳バンドの寸法は、ここにきて3回も測り直している。

そこまで膨らんできた乳房も、幸に比べれば『まだまだだなあ』と思ってしまう。

また「薄目」と評された陰毛に関しては、まったく変化がなかった。
もっとも、こちらの毛が増えるように望んでも、これから叶うのはなかなかに難しいだろうが。

「いいかい?」

体を洗い終えた幸が湯船に足を入れる。
千寿がちょっとずれると、幸も肩まで湯に浸かった。

「あーあ、疲れがとれるねえ」
「はい」

2人とも黙って湯に浸かる中で、幸の手が千寿の乳房に伸びた。

「きゃっ!」

とっさに胸を隠す千寿。

「千寿ちゃんもそこそこ大きくなってきたね」
「もう!」
「いい人でもできたのかい?」

そう聞かれて千寿の頭に浮かぶのは伸佑だ。
と言って口に出せる訳もない。

「いいえ、特に…」
「そうなの?いい人に揉まれて膨らんできたと思ったのに」
「そんな人…別に、いません」
「ふーん」

幸はニヤリと笑った後、千寿の頭に手を当てる。

「胸もだけど、背も伸びたんじゃないか?」
「はい、少しだけ…」
「ちょっと立ってみてよ」

幸に促されて湯船で立ち上がる千寿。幸もすぐそばで立って、千寿と背比べをした。

「ここに来たばかりの時は私よりも小さかったくらいなのに、同じか、ううん、私よりも大きいんじゃないかい?」
「はい」
「まだまだ大きくなりそうだねえ」
「かもしれません」

千寿が腰を降ろそうとしたところで、幸がサッと股間に触れる。
陰毛をつまみつつ、股間を撫でた。

「こっちの毛が少ないのは相変わらずだねえ」

触れられたことに加えて、自分の考えを見透かされた気がした千寿は、慌てて湯船に身を沈める。

「幸さん!」

幸は「ごめん、ごめん」と明るく謝って湯船の端に腰かける。
やはり豊かな乳房が目立つ。

「いい人はいなくても、気になる人はいるんでしょ」
「いません!」
「そう?」

千寿は「はい」と言い切ったが、幸に「伸佑坊ちゃんは?」と聞かれると、千寿は顔を伏せた。

「当たったでしょ」
「…分かりますか?」

幸は「うーん」と湯殿の天井を見上げる。

「気づいてるのは、あたしと静さんくらいのものだろうね。旦那様や奥様は仲の良い兄妹みたいに思っていそうだし」

千寿はホッとしつつも、もう1人の反応が気になった。言うまでもなく伸佑本人。

「ただねえ。坊ちゃんも、千寿ちゃんのことが好きだと思うんだけどねえ」

千寿の思いを見透かしたように幸が話しを続ける。

「まあ、こればっかりは好き合っていれば上手く行くってものでもないしねえ」

幸の言葉を聞いて、千寿の顔が明るくなったり暗くなったりする。

「例えばさ…」

幸が千寿に向き直る。

「坊ちゃんから『駆け落ちしよう』って言われたらどうする?」
「ええっ!」

千寿は答えに迷う。

一緒に駆け落ちしたい気もするが、そうそう上手く行くとは思えない。
むしろ伸佑の将来を考えれば説得するべきだろう。
ただし説得を聞き入れた場合には、2人一緒の未来は…ない。

思い悩む千寿を見て幸が大きく首を振る。

「まあ、伸佑坊ちゃんも優柔不断だしねえ。駆け落ちなんて言い出す度胸も無さそうだし、仮に駆け落ちしたところで生活力は無さそうだし、普段は千寿ちゃんのお尻ばーっかり見ているし…」

「違います!」

千寿は湯船で立ち上がった。
揺れる乳房も薄い陰毛も隠さない。

「帝大合格を目指して毎日お勉強に励んでいますし、私にいろんな学問を教えてくれますし、少し前に危険なところを助けてくれたこともありますし、私のお尻くらいならどんなに見ても…」

そこまで言って、幸がニンヤリと笑っていることも気が付いた。

「そんなにのろけられてもねえ…」

幸が千寿の乳房にお湯をかけた。
千寿は慌てて湯船に沈む。

「ねえ、千寿ちゃん、何かいい機会があったら、絶対に逃しちゃいけないよ。できるだけ応援するからさ」
「…はい」

言うだけ言って、幸は湯殿を出て行った。

湯船に残された千寿は口まで湯に浸かる。
少しずつ息を吐くと、小さな泡が口から湯面に飛び出してくる。

「お坊ちゃまも私を…」

普段の触れ合いから嫌われていないだろうし、それなりに好かれているのも実感はある。
と言って、恋人の関係ではないだろうし、仕える家の跡取り息子と奉公人と表現するのが妥当だろう。

そこで気になるのは“ご褒美”だ。
帝大に行っても勉強はするだろうが、今までのような確たる目標はないかもしれない。

「いつまで、この生活が続くのでしょうか…」

毎日が充実しているだけに、先行きの不安はぬぐいようがなかった。
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