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第6章 史上最強の棋士
第111話 カラスが会長の選挙を知ったら(その1)
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「壬生先生が会長を勇退か…」
朝草将棋クラブでは、この話題で持ち切りだった。
「クラウドファンディングが盛り上がって、会館の建て替えもめどがついたしね」
クラブの席主である大升が言うと、常連でアマチュア強豪の佐倉が「うーん」と考え込む。
「でも、この数年は惜しいよなあ。将棋に集中していれば、タイトル100期も目指せたと思うんだけど」
「それはあるね」
馬場も同意。
大升もシブシブながらうなずく。
「何回か辻井さんに挑戦して、その内1回でも奪取できてたら、ひとつの伝説だろうなあ」
「あるある」
馬場も再び同意。
今度は大升も大きくうなずいた。
「でも、まだ可能性はあるだろ」
「えーっと、確か最年長タイトル奪取も大岩十五世名人の56歳だよね」
「ああ、でもってタイトル挑戦の最高齢は大岩十五世名人の66歳だ」
3人がハァーッとため息をつく。
「まさに化け物だよなあ」
「うん、私達アマチュアから見れば、辻井先生も壬生先生も化け物だけど、大岩先生も輪をかけて…なんだよな」
この3人をめぐる「誰が最強の棋士か」は、将棋ファンの間で盛り上がる話題のひとつ。
「もっとも、単純な棋力で言えば、現代の辻井先生が最強だろうけど…」
「しかし、大岩先生や米原先生、壬生先生が現代の将棋AIで勉強したら…」
「それを言い出したら、幕末の棋聖と呼ばれた天野宗歩や大橋宗桂、宗英とかもありそうだし」
こうなるととりとめもなく話が続いていく。
ここで大升が話題を戻す。
「まあ、それはそれとして、次の会長は誰なんだろうな」
「うーん、基本的には理事の互選だからなあ」
「バシバシさんは何か言ってた?」
バシバシさんと言うのは棋士の橋田勝吾五段のこと。
アマチュアから編入試験をへてプロ棋士になったうちのひとりで、同じアマチュア強豪である佐倉とは旧知の仲。
それに加えて、クロが棋士や女流棋士と対戦した橋渡しとなったことで、ひんぱんに連絡をとっている。
「いやあ、さすがにそんな情報はもれてこないよ」
「そうだなあ」
「でも会長になるのは実績が重要でしょ。やっぱりタイトルのひとつも取っていないと」
「でも、その考えが時代遅れかも」
「この際、実績は横に置いて、実務に長けた棋士でもいいと思うんだ」
「まあなあ。将棋界の先行きも決して明るくないし…」
佐倉が「個人的には…」とつぶやく。
「そろそろ女流棋士が会長って線もあると思うんだ」
「ああ、そうか」
「なるほどなあ」
佐倉がスマートフォンで調べる。
「今、女流棋士で理事なのは代々木市香女流七段だな」
大升と馬場も「へえ」と返す。
「常務理事だし、女流としての実績は十分だし、可能性は十分にあるね」
「代々木先生が会長になったら、何か変わるかなあ」
「まあ、初の女性会長だし、ある程度の注目は集めるだろ」
「だね」
「そこから、どうつなげるかが見ものだな」
3人が大きくうなずいた。
朝草将棋クラブでは、この話題で持ち切りだった。
「クラウドファンディングが盛り上がって、会館の建て替えもめどがついたしね」
クラブの席主である大升が言うと、常連でアマチュア強豪の佐倉が「うーん」と考え込む。
「でも、この数年は惜しいよなあ。将棋に集中していれば、タイトル100期も目指せたと思うんだけど」
「それはあるね」
馬場も同意。
大升もシブシブながらうなずく。
「何回か辻井さんに挑戦して、その内1回でも奪取できてたら、ひとつの伝説だろうなあ」
「あるある」
馬場も再び同意。
今度は大升も大きくうなずいた。
「でも、まだ可能性はあるだろ」
「えーっと、確か最年長タイトル奪取も大岩十五世名人の56歳だよね」
「ああ、でもってタイトル挑戦の最高齢は大岩十五世名人の66歳だ」
3人がハァーッとため息をつく。
「まさに化け物だよなあ」
「うん、私達アマチュアから見れば、辻井先生も壬生先生も化け物だけど、大岩先生も輪をかけて…なんだよな」
この3人をめぐる「誰が最強の棋士か」は、将棋ファンの間で盛り上がる話題のひとつ。
「もっとも、単純な棋力で言えば、現代の辻井先生が最強だろうけど…」
「しかし、大岩先生や米原先生、壬生先生が現代の将棋AIで勉強したら…」
「それを言い出したら、幕末の棋聖と呼ばれた天野宗歩や大橋宗桂、宗英とかもありそうだし」
こうなるととりとめもなく話が続いていく。
ここで大升が話題を戻す。
「まあ、それはそれとして、次の会長は誰なんだろうな」
「うーん、基本的には理事の互選だからなあ」
「バシバシさんは何か言ってた?」
バシバシさんと言うのは棋士の橋田勝吾五段のこと。
アマチュアから編入試験をへてプロ棋士になったうちのひとりで、同じアマチュア強豪である佐倉とは旧知の仲。
それに加えて、クロが棋士や女流棋士と対戦した橋渡しとなったことで、ひんぱんに連絡をとっている。
「いやあ、さすがにそんな情報はもれてこないよ」
「そうだなあ」
「でも会長になるのは実績が重要でしょ。やっぱりタイトルのひとつも取っていないと」
「でも、その考えが時代遅れかも」
「この際、実績は横に置いて、実務に長けた棋士でもいいと思うんだ」
「まあなあ。将棋界の先行きも決して明るくないし…」
佐倉が「個人的には…」とつぶやく。
「そろそろ女流棋士が会長って線もあると思うんだ」
「ああ、そうか」
「なるほどなあ」
佐倉がスマートフォンで調べる。
「今、女流棋士で理事なのは代々木市香女流七段だな」
大升と馬場も「へえ」と返す。
「常務理事だし、女流としての実績は十分だし、可能性は十分にあるね」
「代々木先生が会長になったら、何か変わるかなあ」
「まあ、初の女性会長だし、ある程度の注目は集めるだろ」
「だね」
「そこから、どうつなげるかが見ものだな」
3人が大きくうなずいた。
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