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第18話 貧乏伯爵
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「ねえ、タルバン・クリスパ伯爵って、どんな人なの?」
アラーナについてまとめた資料を読んでいたテレシア・リフォリア子爵令嬢が話しかけた。
カルトメリと執事のフレードが顔を向ける。
「そこに書いてある通りだが…」
「言うなれば、かなりの苦労人でしょうな」
「そうじゃなくって、考え方とか好みとか…いろいろ」
カルトメリが「フッ」と笑う。
「ほほう、気になるのか?」
テレシアは「フフン」と笑みを返す。
「そういう意味が全くないわけじゃないけど、アラーナ様が公爵夫人になればタルバン様も遠縁になるのよね」
「そうだな」
「社交界にも出てきていないし、アラーナ様と同じで実質的に結婚が兄妹のお披露目でしょ」
「だろうなあ」
「クリスパ領には援助するとして、タルバン様個人にはどうするの?」
カルトメリとフレードが顔を見合わせる。
「うーむ、そこまでは考えていなかったな」
「さようですな。ただし、タルバン様がどこまで望むかにもよるでしょう」
「これを読む限りでは、真面目で頑張り屋のびんぼ…んんっ、経済的に厳しい伯爵様って感じなんですけどね」
「素直に貧乏伯爵と言えば良いのに」
口を尖らせたテレシアは「言ってないってば」とそっぽを向いた。
「アラーナ嬢と双子で顔立ちも良く似ているそうだ。テレシアの好みだと良いな」
「そうじゃないったら!」
テレシアは顔を赤らめつつ持っていた資料をフレードに押し付けた。
「なら、どんな男が好みなんだ?」
「…少なくとも私だけを愛してくれる人が良いな。誰かさんと違って」
カルトメリはわずかに眉をひそめる。
「それこそタルバン・クリスパ伯爵が適任に思えるが…」
「もう!」
テレシアは部屋を出ていった。
「ご主人様、本当にそうお考えですか?」
「冗談だ。いや、1割…2割くらいは本気かな」
「タルバン様ですが、アラーナ様同様に領民からの評判は良いようです」
フレードは資料をめくる。
アラーナほどではないものの、タルバンの経歴なども詳しく調べてある。
ただし、テレシアが望むような趣味趣向までは少なめだ。
「まあ、そうでなければ、20歳そこそこで貧乏伯爵領を維持できないだろう」
「失礼を承知で言わせていただきますと…」
「うん?」
「もしかすると掘り出し物かもしれません」
「…そうか?」
カルトメリはフレードから渡された資料を見直した。
アラーナについてまとめた資料を読んでいたテレシア・リフォリア子爵令嬢が話しかけた。
カルトメリと執事のフレードが顔を向ける。
「そこに書いてある通りだが…」
「言うなれば、かなりの苦労人でしょうな」
「そうじゃなくって、考え方とか好みとか…いろいろ」
カルトメリが「フッ」と笑う。
「ほほう、気になるのか?」
テレシアは「フフン」と笑みを返す。
「そういう意味が全くないわけじゃないけど、アラーナ様が公爵夫人になればタルバン様も遠縁になるのよね」
「そうだな」
「社交界にも出てきていないし、アラーナ様と同じで実質的に結婚が兄妹のお披露目でしょ」
「だろうなあ」
「クリスパ領には援助するとして、タルバン様個人にはどうするの?」
カルトメリとフレードが顔を見合わせる。
「うーむ、そこまでは考えていなかったな」
「さようですな。ただし、タルバン様がどこまで望むかにもよるでしょう」
「これを読む限りでは、真面目で頑張り屋のびんぼ…んんっ、経済的に厳しい伯爵様って感じなんですけどね」
「素直に貧乏伯爵と言えば良いのに」
口を尖らせたテレシアは「言ってないってば」とそっぽを向いた。
「アラーナ嬢と双子で顔立ちも良く似ているそうだ。テレシアの好みだと良いな」
「そうじゃないったら!」
テレシアは顔を赤らめつつ持っていた資料をフレードに押し付けた。
「なら、どんな男が好みなんだ?」
「…少なくとも私だけを愛してくれる人が良いな。誰かさんと違って」
カルトメリはわずかに眉をひそめる。
「それこそタルバン・クリスパ伯爵が適任に思えるが…」
「もう!」
テレシアは部屋を出ていった。
「ご主人様、本当にそうお考えですか?」
「冗談だ。いや、1割…2割くらいは本気かな」
「タルバン様ですが、アラーナ様同様に領民からの評判は良いようです」
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アラーナほどではないものの、タルバンの経歴なども詳しく調べてある。
ただし、テレシアが望むような趣味趣向までは少なめだ。
「まあ、そうでなければ、20歳そこそこで貧乏伯爵領を維持できないだろう」
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