【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

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第105話 二度目の出立

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「それでは皆様、ごきげんよう」

今回も集まった大勢の領民に声をかけると、やはり何度も「アラーナ様!」と声があがる。
前回同様にアラーナ本人ではなく、アラーナの格好をしたタルバンが歓声に応えた。
中には「ご結婚おめでとうございます」と気の早い言葉もかけられる。
それにもアラーナ(タルバン)は笑顔で手を振って応じた。

アラーナ(タルバン)が乗った馬車にはパルマとアリィ(アラーナ)が同乗。
ホルストとラマナイト夫妻、そしてデュランは今回も見送りだ。

ラマナイトが笑って見送っているのは同じながら、今回はホルストとデュランの表情にも余裕がある。

「公爵様がお味方で良かった」
「全くだ」

オルギュールの「出発!」の合図で馬車と騎士達が動き出す。
領民達の歓声が続く中で王都に向けて出発した。

しばらく馬車が進み、領民達の声がすっかり聞こえなくなったところで、パルマが馬車の窓から様子を伺う。

「そろそろですか?」
「はい、見えてきました」

領民達の目が完全になくなった場所に、乗っている馬車と同じものが2台、そして3頭の馬が用意されていた。

馬車から降りたアラーナ(タルバン)、アリィ(アラーナ)、パルマの様相は一変していた。
馬にまたがるのに適した服に着替え、容易に顔を見られないようフードのあるマントを羽織っている。

オルギュールが手を貸そうとするが、アラーナ(タルバン)は彼の手を借りることなく馬にまたがる。

「いかがですか?」
「問題ありません。馬車に乗っているより気軽です」
「そうでしたか」
「子供の頃から野原を駆け回っていたり、木登りしていたりしたくらいですから」

アラーナ(タルバン)が笑顔を見せた。
アリィ(アラーナ)もうなずいて馬に乗る。
パルマも難なく馬にまたがった。

「パルマさんも?」
「アラーナ様に木登りの指南をしたのは、何を隠そうこの私です」
「…なるほど」

3人が降りて空になった馬車と待たせていた2台の馬車は、それぞれ数名の騎士を付けて別々の進路に進ませる。
そちらの馬車は、言うまでもなく行く先で訪問者の目をくらませるためのおとり。
その一方でアラーナ(タルバン)ら3人にオルギュールと4名の騎士がついて最短の旅程を駆け抜ける。
これが今回の作戦。

オルギュールら騎士も目立たない服装に着替える。
それを確認したアラーナ(タルバン)が「それでは行きましょうか」と声をかける。

「出発!」

オルギュールの合図で皆が馬を走らせる。
最初はゆっくり、次第に早く。

「できるだけのことはやってみました。あとは運を天に任せましょう」

アラーナ(タルバン)の言葉に、オルギュールが「はっ」とうなずいた。
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