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第108.2話 カルトメリの相談
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「ここはお酒を飲む場所です」
ミュルガリルはグラスを手に乗せた。
「そして、その先はお客様次第でございます」
「ふむ」
「女の子と気が合うようなら別室で…となります」
「なるほど、気が乗らないようであれば…」
「お酒だけ楽しんでも問題ありません」
カルトメリは「逆はどうだ?」と聞いた。
ミュルガリルはうなずく。
「女の子も選べます。気の進まない相手には席を立っても構いません」
「無理強いはなし、か。金を積んでも?」
「そんなお客様はこの店ではお断り。まあ、同レベルのお店は似たようなものですよ」
「そうか」
「もっとも…」
「もっとも?」
ミュルガリルはカルトメリの膝をやさしくつねる。
「カルトメリ様なら、皆お断りしないと思います」
「ほう」
カルトメリは首を伸ばして周囲を見る。
カウンターの前に座る女達だけでなく、他の席に着いた女の多くも笑顔や視線を送ってくる。
「あれはどうなんだ?」
「フフッ、彼女はさすがに無理ですね」
カルトメリとミュルガリルの視線の先には、隣に座った男の腕をしっかりと抱えた女がいた。
他にも男の肩に頭を乗せた女や、男の膝に腰かけたままカルトメリの方を見向きもしない女がいる。
「横取りするのも無粋か」
「おっしゃる通り」
ミュルガリルが提案する。
「希望を伝える方法もございます」
「希望?」
「話し上手な子、聞き上手な子、陽気な子、物静かな子…」
カルトメリの耳元でささやく。
「ベッドで積極的な子、反対に受け身な子、なんてのも」
「なるほどな」
カルトメリは改めて女達を眺めた。
「希望と言うか、相談がある」
「相談?どうぞ」
「私は女を知らない。だから初めての相手になってもらいたい」
店中に「初めて」の言葉が広まった。
「初めてが『甘い口づけ』かよ」
そんな風に軽口を叩く客もいた。
ただしあざける雰囲気が半分、うらやむ心情が半分。
同時に女達の目の色が変わった。
ワーレンバーグ公爵家の嫡男が初めて抱く相手となれば、ある種の勲章になるだろう。
「それはそれは…」
ミュルガリルも内心の動揺を抑えつつ、カルトメリの言葉を受け止めた。
来店した際に『もしかしたら童貞?』と思いつつ、『まさかそれで店には来ないだろう』とも考えた。
しかし初めての相手を選ぶのに自分の店に来てくれたのは、主人としても誇らしい気分になる。
「そうした事情であれば、どの子も十分にお相手できると思いますよ」
「そうか」
「ただ女の子によって違いもあります」
「うむ」
「何人か一緒にお相手したり、1人ずつ何人かと遊んでいただいても良いかもしれませんね」
「ああ、そんな方法もあるのか」
改めてカルトメリは周囲を見回す。
「初めて」の言葉が効いたのか、女達からの誘惑が大胆になっている。
その中にはスカートをたくし上げてあからさまに足を組み替える女もいた。
「では、ゆっくりお選びください」
カルトメリの膝をポンと叩いて立ち上がったミュルガリルに、カルトメリは「いや」と言葉をかける。
「もう決まった」
「えっ?」
またしても店中が静まり返る。
カルトメリが選ぶ最初の女に、皆が興味津々だった。
カルトメリは右手をゆっくりと上げた。
ミュルガリルはグラスを手に乗せた。
「そして、その先はお客様次第でございます」
「ふむ」
「女の子と気が合うようなら別室で…となります」
「なるほど、気が乗らないようであれば…」
「お酒だけ楽しんでも問題ありません」
カルトメリは「逆はどうだ?」と聞いた。
ミュルガリルはうなずく。
「女の子も選べます。気の進まない相手には席を立っても構いません」
「無理強いはなし、か。金を積んでも?」
「そんなお客様はこの店ではお断り。まあ、同レベルのお店は似たようなものですよ」
「そうか」
「もっとも…」
「もっとも?」
ミュルガリルはカルトメリの膝をやさしくつねる。
「カルトメリ様なら、皆お断りしないと思います」
「ほう」
カルトメリは首を伸ばして周囲を見る。
カウンターの前に座る女達だけでなく、他の席に着いた女の多くも笑顔や視線を送ってくる。
「あれはどうなんだ?」
「フフッ、彼女はさすがに無理ですね」
カルトメリとミュルガリルの視線の先には、隣に座った男の腕をしっかりと抱えた女がいた。
他にも男の肩に頭を乗せた女や、男の膝に腰かけたままカルトメリの方を見向きもしない女がいる。
「横取りするのも無粋か」
「おっしゃる通り」
ミュルガリルが提案する。
「希望を伝える方法もございます」
「希望?」
「話し上手な子、聞き上手な子、陽気な子、物静かな子…」
カルトメリの耳元でささやく。
「ベッドで積極的な子、反対に受け身な子、なんてのも」
「なるほどな」
カルトメリは改めて女達を眺めた。
「希望と言うか、相談がある」
「相談?どうぞ」
「私は女を知らない。だから初めての相手になってもらいたい」
店中に「初めて」の言葉が広まった。
「初めてが『甘い口づけ』かよ」
そんな風に軽口を叩く客もいた。
ただしあざける雰囲気が半分、うらやむ心情が半分。
同時に女達の目の色が変わった。
ワーレンバーグ公爵家の嫡男が初めて抱く相手となれば、ある種の勲章になるだろう。
「それはそれは…」
ミュルガリルも内心の動揺を抑えつつ、カルトメリの言葉を受け止めた。
来店した際に『もしかしたら童貞?』と思いつつ、『まさかそれで店には来ないだろう』とも考えた。
しかし初めての相手を選ぶのに自分の店に来てくれたのは、主人としても誇らしい気分になる。
「そうした事情であれば、どの子も十分にお相手できると思いますよ」
「そうか」
「ただ女の子によって違いもあります」
「うむ」
「何人か一緒にお相手したり、1人ずつ何人かと遊んでいただいても良いかもしれませんね」
「ああ、そんな方法もあるのか」
改めてカルトメリは周囲を見回す。
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その中にはスカートをたくし上げてあからさまに足を組み替える女もいた。
「では、ゆっくりお選びください」
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「もう決まった」
「えっ?」
またしても店中が静まり返る。
カルトメリが選ぶ最初の女に、皆が興味津々だった。
カルトメリは右手をゆっくりと上げた。
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