【R18】入れ替わり農民の殿様ハーレム物語

県田 星

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第1章 瓜二つ

第9話 立ち小便

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「善吉、頼むぞ」

黒峰善久くろみね よしひさは、馬に乗って岡岳の屋敷を出ていく善吉をこっそり見送った。

それから二刻(4時間)ほど後…

「善久様のお戻りー」

岡岳の屋敷に家人の声が響く。
善吉が戻ってきたためだ。

「殿、こちらへ」
「うむ」

岡岳家の家人達がかしこまる中、馬から降りた善吉は岡岳権兵衛おかたけ ごんべえについて屋敷の中に入っていく。

奥座敷に入ると、衣服までそっくりな善久が待っていた。
善吉の方が汗をかいているくらいで、見た目は全く変わらない。

「ご苦労であった」
「ははっ」

善吉が座って頭を下げる。

「どうだ?久しぶりに出回ってみて、いかがであった?」
「いやあ、何とか、こなすことができました」

善久は権兵衛に視線を向ける。
権兵衛はしっかりとうなずいた。

「いえいえ、何とかどころか、善吉は十分に大役を果たしましたぞ」
「そうか!」

善久の顔が明るくなった。

馬に乗って散策に出た義久は、その途中で岡岳の屋敷に寄る。まあ、これは今までにも良くあること。
しかし大きく異なるのは、屋敷の中で善吉と入れ替わった点だ。

つまり善久と入れ替わった善吉の初披露となる。

これまで連日にわたって、黒峰藩の実情や人間関係を頭に入れてきたのもこのため。
もっとも普段から距離が近い家臣達と、いきなり言葉を交わすのは壁が高い。
しかし馬に乗っての散策であれば、問題は少ないだろうとの判断だ。

「いえ、岡岳様がいろいろ気を配ってくださいましたので」
「そうか、権兵衛もご苦労であったな」
「ははっ」

善吉も屋敷を出た当初は緊張が勝っていたが、馬に乗ること自体は楽しかった。
そして時折、権兵衛が声をかける。

「ほれ、手を振って下され」
「笑顔を忘れずに」
「ここは鷹揚おうようにうなずくのじゃ」

権兵衛の言う通りに善吉が動く。

「おおっ、殿様がお手を振っておられる」
「善久様が笑ってくだすったぞ」
「まあ、こちらの声が届いたらしいわ」

家臣や領民らがよろこんでいるのが、善吉にも手に取るように分かった。

『まあ、嫌われていない限り、殿様に手を振ってもらえたら、誰だってうれしいだろうなあ』

次第に感触をつかんだ善吉は、自分でも工夫して動けるようになっていく。

例えば出先で水を望んだ時だ。

「かしこまりました」

近隣の領民が井戸から汲んできた水を桶に入れて運んでくる。
その桶を家臣がひしゃくとともにささげ持つ。

「まずは念のため、毒見を」
「そうか」

家臣がひと口試し飲みをした後、善吉もひしゃくで水をすくってひと口飲む。

「うむ」

そのまま一気に飲み干した。さらに一杯飲んでひしゃくを返す。

「うまいな。大儀たいぎじゃ」

領民も家臣も「ははーっ」とかしこまった。
権兵衛がいくらかの銭を渡そうとしたが、「この程度のことで」と領民は受け取らない。

しかし…

「あの井戸を善久様の井戸と名付けよう」
「このひしゃくと桶は家宝じゃ」

そう領民がささやく声が善吉の耳に入った。
まさか少し前まで同じ農民だった男が、威儀を正して飲んでいるとは思わないだろう。

「それに傑作なことがございましてな」
「ほう、何だ?」
「帰る途中のこと…ぶはははっ」

話しかけた権兵衛が噴き出してしまう。

善久は不思議そうな顔をして善吉を見た。
権兵衛のように噴き出してこそいないものの、善吉の顔も笑っている。

「善吉、何があったのだ?」
「はっ、帰る途中のことでございました」
「うむ」

善久(善吉)が馬に乗りつつあちこちを見回していた時だ。
突然、家臣の1人が尿意を催したようで、道を外れたところで小便をし始めた。

それを見た善久(善吉)が、その家臣に声をかける。

「これ!」

口調が強かった訳ではないが、声をかけられた家臣は驚いた。

「も、申し訳ございません!」

家臣は善久(善吉)から叱られたと思って謝る。しかし小便はよほど溜まっていたようで、当然ながらジャバジャバと流れるままで止まらない。

馬から降りた善久(善吉)は家臣の側に近寄ると…

「どれ、余も付き合おう」

そう言ってはかまの片方をたくし上げると、ふんどしをずらして小便をし始めた。
肉棒の先から飛び出した小便が勢いよく弧を描いて草むらの中に消えていく。

「と、殿!」
「うん?気持ち良いぞ。“ものれものところきらわず”と言うしな。その方らも、どうだ?」
「…ははーっ」

尿意の有無にかかわらず、他の家臣達も一列に並んで肉棒を取り出した。
大量の小便を出すもの、ほとんど出ないもの、何とかしぼり出そうと苦心するもの。

「いやあ、ぶははっ、見ていて愉快でございました。ぐはははっ」

唯一それを眺めていた権兵衛がそんな光景を思い出して大笑いする。

「あっはははっ!」

善久も大笑いする。

「家臣達と並んで立ち小便か。さすがにそれは余には無理だな。第一肝心のものが付いておらん。あはははっ」

ひとしきり笑ったところで、善久は善吉をねぎらう。

「まあ、とにもかくにもご苦労だった」
「ははっ」
「これから少しずつ入れ替わる時や場を増やしていくぞ。心して当たってくれ」
「はっ」
「もっとも、家臣らとともに小便をする度胸があれば十分か」
「いや、どうも…」

善吉が赤面し、権兵衛がまた大笑いした。

善吉を下がらせた善久は権兵衛を近くに招き寄せる。

「ところでな、あの件はどうなった?」
「はっ、岡岳の遠縁の娘、との形で整えることができました。側室に入るのも問題ございません」
「そうか、いろいろと助かる」

先程までとは一転して笑顔の消えた権兵衛が深刻な顔をする。

「しかし善久様、本当によろしいのですか?」
「何を言うのだ?権兵衛も余が出家するのは反対であっただろう」
「確かに二十歳はたちにもならぬ身での出家は反対でございました」

善久がうなずく。

以前に善久が入れ替わった後に出家すると話したところ、権兵衛は猛烈に怒り出した。

「まさか!善久様は何を考えておいでです!」
「黒峰の家のことを考えれば、余が静かに身を引くのが一番だろう」
「しかし出家とは…なりませぬぞ!」

その時の権兵衛の怒り顔を思い出して善久は苦笑する。

「あの時の顔は怖かったな。それまでどんないたずらをした時よりも」

権兵衛が汗を拭く。

「当たり前でござろう。しかし殿が側室とは…」
「と言って、今更この身で町娘や村娘になることもできぬだろう」
「それは、まあ、そうでしょうが…」
「武家の娘として生きるのであれば、黒峰の娘のままでありたい」
「…はあ」
「それにだ…」

善久はニヤリと笑う。

「善吉と子をなせば、その子が黒峰の家を継ぐやもしれぬからな」
「うう、確かに、それもありましょうが…」
「許せよ権兵衛、もう余は決めたのだ」

善久の決心した顔を見て、権兵衛は諦めたような顔になる。
女の身で藩主の座を継ぐと決めた時と変わらぬ真剣な顔だった。

「かしこまりました。ところで善吉には、いつ告げるおつもりでございますか?」
「それだな…」

善久は考え込む。

「もう福と恵は知っておるしな、まあ、頃合いをみて余から教えてやろう」
「はあ」

そこまで言って善久は「そうだ!」と手を叩く。

「どうなされました?」

善久は権兵衛を手招きすると、小声で耳打ちした。

「善吉の寝所に忍び込んでみようか?」
「殿!」

権兵衛は立ち上がって叱りつけようとするが、善久は意に介さない。

「まあ、冗談だ」
「それならよろしいが…」

渋い顔をする権兵衛とは対照的に、善久の顔から笑みが消えなかった。
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次回は善吉と福のムニャムニャになります。
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