異世界ハーレム漫遊記

けんもも

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第五章 魔物の森の変革期編

エルフ王国冒険者ギルド

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そんな話になっているとは知らない俺が、エルフの一件をすでに忘れかけた頃、久しぶりの王都に行った時に、至急で連絡をして欲しいという、セバスからの伝言を受け取ったのだ。
国王がまた俺を探してるのかなぁとも思ったけど、行ってみるかと思い久しぶりにミトラス家を訪ねた。この日は、貴族街の門を馬車で超えるとややこしいかもって思って、俺だけ転移して行くことにした。マリア達には、セシリアを連れて、王都を観光して貰った。

「御無沙汰してます。」

俺が、ミトレス氏の家を訪ねると、今日は、アンパパとアンが王都に帰ってきていた。

「おー、リュウ殿。これは長らくご無沙汰してますな。ご壮健で何より。」

「はい、この前はわざわざの御忠告も頂いて、ありがとうございました。」

「いやいや、私が心配性であったようで国王からもその後何もありませんからな。余計なことをしました。ただこの度、奇妙な話を聞きましてな。こうしてまたお節介をしております。」

「なんの話でしょう。」

「実は、私のところにいるエルフ族の者のから話を聞いて、ギルドの方にも確認したのですが、エルフ国のギルド本部より、黒目黒髪の少年、少女人族の討伐依頼がでているようなのです。黒目黒髪と言えば、リュウ殿、綾殿のことが思い出されましてな。心配になりました。」

「ほう、黒目黒髪の人族ですか?名前はわからないのですか?」

「それが、大変奇妙な話なんだが、討伐依頼と言う割には、名前の情報がない。なんでも、エルフ国の国宝の「世界樹の杖」を盗み出そうとした盗賊だそうです。」

「世界樹の杖?」

「御存じないですか?世界樹の杖は、いわば、エルフ族にとっての神器なのです。」

「そんなものを盗み出そうとした、盗賊が、黒目、黒髪、人族と解った理由はなんですか?」

「そうなのです、リュウ様。わたしも、お父様に申し上げたんですが、これは大変奇妙な話だと思うんです。盗賊の姿をそこまで詳細に見ているのに、その盗難の様子は全く伝わっていないのです。エルフ族の一大事ですから、エルフ族全てに話が伝わっているはずなのに杖を盗まれたかけたと言う話はどのエルフ族にも伝わっておりません。この話は冒険者ギルドにのみ伝わっているのです。」

「その通りです。しかし、そのような依頼が冒険者ギルドに出ているのは事実で、まともな冒険者なら相手にしないでしょうが、中には欲に目のくらんだ輩がでないとも限りません。特にリュウ殿は諸国を巡っておられるし、注意された方がよろしいかと思ったのです。」

俺はその話を聞きながら、マリア達に至急家に帰り、森の中に転移するように指示した。
何がどうなってるんだ?エルフって言えば、この前の奴か?やっぱり皇太子って称号は本物だったか。

「そうでしたか。黒目黒髪であるのは、確かに、俺もあちこち行ってますが、俺達しか見たことないですね。エルフ国というと自由都市連邦の中の国でしたっけ?あの国には行ったことないですが、あっちにも私と同じような身なりの者がいるのかもしれません。全く、困った事態ですね。仮にそう言う輩が襲ってきた場合、帰り打ちにするとどうなるんでしょう?王国としては、どちらの主張を受け入れるんでしょうか?」

「今回は、冒険者ギルドの中でのことですから、国として特に何もしないと思います。ただ、王国内でそのようなことがあれば、一応は取り調べを受けることになるでしょう。」

「そうですか、何だかやってられない気もしますが、不埒な輩はどこにでもしますからね。帰り打ちにするのは容易いですが、その度にいちいち時間を取られるのがやってられないですね。」

「しかし、なんなのでしょうね。なぜ、エルフ国の冒険者ギルドがそのような依頼を出したのか。王国内では大丈夫でしょうが、不埒なエルフが勘違いして、通報しないとも限りませんしね。私も部下のエルフ族から話を聞いた時には、びっくりしましたからな。リュウ殿の人柄を知らなかったとは言え、リュウ殿のことをエルフ族の大敵のように言ってきましたからなぁ。エルフ族にとって、「世界樹の杖」は、我々人族にとっての「王祖の竜剣」と同じぐらい、種の尊厳に関わる物ですからなぁ。」

「いずれにしろ、ありがとうございました。私など、冒険者ギルドとかにも縁がないですし、この国の情報に疎いですから、知らないうちに大事に巻き込まれるところでした。」

そう言って、お土産のソーセージ各種の詰め合わせとチョコシュークリームを渡して、アンの家を辞した。
すぐに森の家に飛んで、マリア達に詳細を告げた後、今後の対応を話し合った。

「まず今回の発端は、この前マザータランチュアの洞窟の前で殺したエルフの一団のことだと思う。ただそれなら俺達をあの事件の首謀者として、殺人か何かの罪で国として依頼をすればいいのに、エルフの魂と言う様な神器を盗み出そうとしたと言う濡れ衣を被せて、国ではなく、冒険者ギルドが討伐依頼を出している意味がわからない。」

「確かに変やなぁ。なんでそんな回りくどいこと、してんのか。」

「リュウ兄、世界樹の杖は、エルフ族にとって、一番大切なもの。それに手を出すのは、エルフを全部敵に回すってこと。とっても大変なことだよ。簡単に口にできないこと。」

「だよなー、ニーナ。そんなこと罪をでっちあげることが出来る奴って、世界樹の杖を今持っているやつしか、仕組めないよな。つまりエルフ国王が関与してるかだよな。国王なら自分の所の兵を使えばいいのに・・・」

「えっとね、王様より、長老の方が偉いよ。」

「そうなのか?王様が国を治めているんじゃないのか?」

「よくわかんないけど、王様は、長老会が決めるって。長老会の決定は、絶対だよ。」

「となると、長老会が裏で糸を引いてる?にしては、お粗末と言うか、雑だよなぁ。
俺だったら、大っぴらにせず、極秘裏に暗殺するか、捕まえた後で大々的に宣伝すると思うけどな、復讐したいんだったら。
まあ、よくわかんないけど、ちょっと探ってくる。まずはそのエルフ国の冒険者ギルドを調べてみるよ。
変なことに巻き込んでしまってごめん。」

「そんなことない。リュウは、私たちの為に怒ってくれた。だから、みんなの問題だよ。」

「「「「そうだよ。」」」」

「ありがとうな。まっ、ともかく行ってくるな。」

そう言い残して、まずはマザータランチュアの洞窟に転移し、そこから、隠蔽、気配遮断したまま、上空に飛んで、エルフ王国と思われる方へ飛んだ。
エルフ国内では、俺の姿を見られたら、即、戦闘になる可能性があるので、誰かに聞いて情報を集める訳にはいかないので、ちょっと時間がかかってしまった。
それでも、夕方には、エルフ国の王都と思われる場所を見つけ、ギルド本部の内部に侵入。1階は半分がラウンジみたいになっていて、数組の冒険者たちが、雑談をしていた。軽食程度の飲食ができるようになっているようだ。フロアーの半分はカウンターみたいなものがあり、そこに受付嬢が座って冒険者の対応をしていた。壁側にはクエストの依頼の張り紙が、結構張ってあった。その中に確かに、黒目黒髪の人族の少年、少女の盗賊団の討伐依頼が出ていた。情報の通り、王宮の宝物庫から世界樹の杖の窃盗容疑になっていた。
ギルド会館の2階は、武器防具の販売所や、ポーションなどのアイテムなどの販売所があり、会議室みたいな場所もあった。3階に上がる階段に簡単な結界が張ってあったが、問題なく通過できた。いくつか部屋が並んでいたが、神覚をつかって、一番最奥の部屋に、ギルドマスターと思われる人物がいることを感知していた。そのまま、神息で転移し、部屋の中の様子を伺った。
神眼で、職業が、ギルドマスターになっていることを確認し、声を掛けた。

「いいか、余計なことは喋るな。余計なことはするな。」

神眷族スキルの能力、神威を発動し、軽くプレッシャーをかけた。勿論、ドアと窓に封印し、遮音結界を張ってある。

突然のプレッシャーと俺からの脅しに何とか耐え、言葉を発した、流石、組織の長といったところか。

「だ、誰だ?」

俺は、ギルドマスターの目の前に姿を現した。

「お、お前は、依頼の、・・・」

「黙れ、余計なことを喋るなと言った。この部屋は、遮音結界を張り、ドアは封印している。余計なことはするな。俺の質問に答えろ。」

「なっ、人族ごときが・・・」

「何度も言わせるな、時間がたてば、おまえの能力は全て枯渇するぞ。自慢の風魔法を使ってみろ。発動できまい。お前の生命力を徐々に奪っているぞ。時間がたてば助からないぞ。時間を無駄にするな。」

ギルドマスターは自分の異変に気付き、青ざめた。

「まず俺の顔を見て反応したと言うことは、黒目黒髪の人族の討伐依頼をこのギルドは出したのは間違いないな。誰からの依頼だ、答えろ。」

「依頼者の秘密は、・・・・。」

「お前、この依頼が変だとは思わなかったのか?それとも知っていて依頼したのか?俺が国宝を盗みに入ったのなら、なんでこの国の兵は動かない?全エルフの魂なのだろう?そんなものに手を出されて、なんでエルフの各部族が動かない。お前らの長老会というのは、そんなに腰ぬけなのか?自分達の魂に手を出されて、黙っているほどの者なのか?今お前が言った、人族ごときという発言が、おまえらの種族の気質を表しているんじゃないか?」

「・・・・・」

「誰からの依頼などお前が語らなくてもいい。こんな依頼が出ているのに世界樹の杖を管理している王宮が黙っていることこそ、その出所を現わしている。」

「確かに、不可思議な点はあったが、国王直々の依頼だ。疑いようがない。」

「馬鹿か。たかが一国の国王が言ったからと言って、独立した組織である冒険者ギルドの権力を使うんじゃねぇ。お前、自分のやったことの意味解ってるのか?この国滅ぼすぞ。」

「たかが、人族のガキ一人に何が出来る。我らエルフ族こそ、この世界の統治者だぞ。」

「基本、あの馬鹿、皇太子と同じ穴の狢か。お前らが自分達の中だけで、何をやっても問題ないが、俺や、俺の身内にそれを向けるな。」

俺は、もう用はないと思って、一瞬、ギルドマスターから目を反らした。
ギルドマスターが、エルフとしては、かなり素早い動きで、ナイフで俺に襲いかかってきた。回避することもできたけど、スキルは全部奪っているので、子供の遊びみたいなものだ。それに、今の俺は、普通の服を着ているようで、実はマリア特製の完全装備状態だし。ナイフを俺の腹で受けて、

「で、満足したか?相手を殺そうとすれば、自分も殺される可能性があることを、今さら言う必要はないよな。」

そう言って、ナイフを手でつぶし、デコピンで最後のHPを削り取った。
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