hammer happy

platypus

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残像

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部活終わりの手の匂いが嫌いだ。
防具に身を包み、竹で出来た竹刀で打ち合う。
いわゆる剣道。

部活自体は嫌いではないのだが、ただあの小手の匂いが嫌いだ。
生ぬるい皮の匂いになんとも言えない酸っぱい香り。

早く帰って風呂に入って洗いたい。

息が白くなりかじかむ季節に自転車を早足でこぎ家路に着く。

玄関をあける。

ただいまなんて言わない。

こっちは思春期真っ盛りの高校1年生。
別に親が嫌いなわけではないけれど、ただいまー!
と、明るく帰る気力も気持ちもないのである。

そのまま、玄関前の階段を上がりすぐ横の自分の部屋へ。
カバンを置きタンスから着替えをとり風呂へ直行する。

ちらっとリビングを見ると夕飯の支度をしている母とソファーに座り静かに酒を飲む父の横顔が見えた。
母の明るいおかえりなさいの声を無視して脱衣所に入った。
僕をこれから苦しめる残像の瞬間。

制服を脱ぎ捨てて風呂場へ。
他の皆がどこから洗うのかはしらないが、僕はまず手だ。
一刻も早くこの手についた小手の匂いをとりたいのだ。

念入りに洗った後、すべてを洗って湯船に浸かった。

今日の飯は何かな-。
数分浸かった後風呂を出た。
風呂は短い方だ。
長くても20分といったとこだろう。

坊主頭なので髪を乾かす必要などないので体を拭きスウェットの上下に着替えてリビングへ。

そこは音のない世界だった。

いつもなら、たわいない事を聞きながら夕飯の準備をする母の声も姿もない。
物静かにつまみを食べながら酒を飲む父の夕刊をめくる音も姿もない。







近所で火事でもあって見に行ったのか??

でも、消防車のサイレンなどきこえない。

どこへ行った?

まさか50歳を前にした2人が揃って隠れてサプライズか?!

あの寡黙な父が?

いや、ない。

まじ、どこ行ったんだよ。

イライラしてきだした。

食卓の上には、まだ出しかけであろう食事が並びキッチンでは味噌汁に火がかけてある。
ったく、あぶねーな。
コンロの火を消す。

カウンターキッチンの中からリビングを見渡す。

あれ?

ふと気がついた。
父が座っていた場所に何か置いてある。
白いソファーに異彩を放っているその物。

銃である。

くわしくはわからないが、昔の映画でカウボーイが使っていたあの形状の銃である。

父親の趣味か?

父はよく昔の西部劇の映画なんかを見ていたので感化され買ったのか?

などと考えた。

今思うと不思議だが、その銃を見つけたとき。
僕の中で両親がいない事など頭から消えそうになっていた。

そのくらい僕は銃に見とれていた。

なんなんだよ!
ため息交じりにその銃を手に取ってみた。

ズシリと重いその冷たく異彩を放つ銃を眺めていると。

ドクン!

心臓が高鳴り視界が真っ暗になった。

なんなんだこれは、、、、、。

僕は気を失った。





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