3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

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2章⭐︎それぞれの役割編⭐︎

初戦闘の話

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-side リアム-



「(ルーカス。な、なんでレオンが俺に戦闘経験あること知っているの!?)」
『知らねーよ。こいつ怖い。あと、この念話こいつにも聞こえてるからな!』
「(あ……)」
『……ったくお前は』
「(ははっ。どっちにしろ俺に隠せることじゃねえから大丈夫だ。なんで分かったかって言うと、さっきギルマスとリアムと一緒に魔物を倒したことがないって言う話をしていた時、リアムの瞳孔が開いたのが見えたからな。もしかしたらと思っただけだ)」
「(あの一瞬で瞳孔が開いたところが、見えるなんて。そんな人間、聞いたことがないんだけど)」
「(ああ?あー。それくらいできなければ、Sランクにはなれねえよ)」
「(……!!異世界の化け物レベルが違いすぎるだろ)」
『ば、ばか……お前それは』
「(異世界?なんのことだ?)」
「(えっ……?う、うわーー!やらかしたーー!)」


 魔力を込めていれば、思っていることが全て伝わる念話。教えてもらってから、今までで何回やらかしただろう。気づいてしまった。俺、絶対この魔法使うのに向いてない。


「(お、落ち着け。リアム。大丈夫だ)」


 レオンが背中をさすりながら言う。
 落ち着けない原因の大半がレオンのせいだから、大丈夫だと言われても説得力がないのが、酔っ払いに続く残念ポイントだろう。


「(その……。異世界ってのが、なんのことを指しているかは分からねえけど、今は別に話さなくてもいい。それよりも、俺が今知りたいのは、お前がどんな戦闘経験があるかだけだ)」
「(戦闘経験。といっても、ご飯を食べている最中に襲ってきたオークと戦っただけだよ。
 苦戦もせず、包丁で倒せたから、自分でいうのもなんだけど、そこそこ強いとは思う)」
「(剣ではなくて包丁でか。お前……、やっぱ変わってんな)」
「(その発言。レオンにだけは、言われたくない)」
「(ははっ。違いねえ。まあ、なんでお前がその歳でオークを狩れる実力があるのかは、今日のところは聞かないでおいてやる。
 俺はもう疲れたしな)」


 そう言って、家の中に入るレオン。
 それに対し、((こっちの方が疲れたわ!))と思った俺とルーカスだった。


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 家の中に入ると、二日酔いもマシになったようで、みんなが夕飯の準備をしていた。
 そういえば……、俺たちは今、おそらくみんなの貯金を切り崩しながら、生活費を捻出して暮らしている。もっとも、レオンは既に一生分稼ぎ終えているっぽい雰囲気だし、他の冒険者はここでも仕事を見つけられるから当分大丈夫だろう。


 とはいえ、俺の世話係に関していうと、俺が給料を払えていないから、あまり状況は良くないと思う。
 早いところ食事だけでも、スキルでサクッと生み出してみんなに提供した方がいい。
 そう考えた俺はさっそく部屋に戻り、食材を補給することにした。
 そうは言っても、ドライ王国の市場にはまだ行ったことがないので、昨日パーティで見たトリュフやミノタウロスのチーズ、アボカド、キヌアなどである。
 調味料類やパスタやじゃがいもなど、この世界で主食となる食べ物も大量に用意した。


 主食といえばだが、この世界に来てから米は見たことがない。
 これまで生活してきたアインス王国とドライ王国では、じゃがいもが主食である。
 じゃがいもは前世でもイギリスなどの国が主食に採用していた。
 戦時中の日本でもじゃがいもを育てていたように、大体どこでも育つ強い植物であり、かつフライドポテトやポテトチップス、ポテトサラダなど、調理の汎用性も高いのが特徴である。肉や魚など他の食材を邪魔しにくいというのも、主食になり得る所以だろうと思う。


 そんなことを考えながらも、じゃがいもを増産していく。


『相変わらず、お前のスキル変態だな』
「ちょっ……。言い方ってものがあるだろ?」
『だってよお。どう見ても自然界の定理に反してるだろ。それ』
「ここは、不思議な世界だからこういうことが起こってもおかしくはないと思う」
『ただなあ。この前のオークの討伐に使ったスキルといい、お前の貰ったスキルはどれも、変態チックなんだよな。持ち主に似て』


 そう、俺がオークを狩れた理由。
 オークを観察していたら、何故か食材として見てしまい美味しそうだなと思っていると、体が勝手に動いてしまったからだ。
 [食の大賢者]のスキルによる衝動だと思うけど、側から見ればただの変態だろう。


「な……。それを言ったら、一番の変態はノートだろ。このスキル作ったのノートだし」
『ノ…ノート様が?(汗)や、やっぱ、そのスキル素晴らしいと思うぜ!流石ノート様」


 ジトーっとルーカスのことを見る。
 流石に親のことは変態と思いたくないんだろう。手のひら返しが早かった。
 ……ん?待てよ?


「ねえ。ノートがもし変態だった場合、眷属であるルーカスもへんた……」
『俺は変態ではない。まともだ』


 そのセリフ。下着泥棒が犯行現場を取り押さえられた時に言いそうなセリフNO.1だな。


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 何はともあれ、食材を生産し終え、箱の中に食材を入れ終えた俺は、みんなに配りにいくことにした。どうせ、マジックバッグに入れてアインス王国から持ってきたとかいえば誤魔化せるだろう。


 それにしては少し作った量が多すぎて無理あるか?まあ、今日も誤魔化せばなんとかなる精神で行きたいと思います。


「これ、じゃがいもとかが入っているからよろしく」と言ってリサに頼むと驚いてお礼を言ってきた。「(お前、まだまだ何か隠してそうだな)」とレオンが念話で伝えてきたけれど、秘伝の必殺技笑って誤魔化すを発動し、やり過ごすことにした。
 きっと、レオンはカチンときただろう。しーらない!


 ♢  ♢  ♢  ♢  ♢


 結局そのあと今日の晩御飯に食べたラルの料理の味は、レオンのせいであまり味がしなかった。後で、絶対にやり返そう。
 何か、反撃の手札となる弱みはないだろうかと考え、ふと思い至る。


(そうだ、があった)


 その夜、とある屋敷の一室で怪奇な悲鳴があったという。
 まるで、悪魔に人が取り憑かれたように。
 翌日、レオンは羞恥でベッドから起き上がれなかったそうだ。


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