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3章⭐︎新しい家族から学ぶ帝王学編⭐︎
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-side リアム-
「それで。長老の迷子探し用の魔法を使えば、いよいよ、ヨルムンガルドが見つかるわけですね。」
「うむ。理論上は見つけられるはずじゃ。……もっとも、可能性の段階だから実際にやってみなきゃ分からないのじゃ。だから、失敗する可能性も十分あることはご了承くだされ。」
「それは、もちろん。こちらもダメ元で頼んでますから。」
「うむ。では、始めますのじゃ!」
俺たちの旅の目的であるヨルムンガルは、思ったよりも早く見つかるのかもしれない。
長老が呪文を唱えると、世界樹が幻想的に、光だした。長老はそこまで、難しくは無いと言っていたが、これを見る限り、結構な大魔法ではないのだろうか。
それに、この魔法を扱うには、繊細な魔力操作を必要だろう。確かに、エルフの瞑想訓練を絶えずに行わないと出来ないようだ。
「おっ!見つけたのじゃ!」
「本当ですか!?どこですか!?」
「あちらの方角じゃ!場所は、ここから400km程。」
『あちらと言うと北かのう。おそらく、霧に覆われた山の中か。』
「そこまで、わかるんだ。」
『うむ。探査魔法を伸ばせば、このくらいはな。』
「へっ!?探索魔法?400kmの探査魔法?……って、待て待て。最初からそれ使えば良かったのでは?それもはや、長老の魔法必要無かったのでは?」
『あくまでも地形が分かる程度の簡易的な探査魔法だからな。そこにヨルムンガルドいるかなど詳細なことはわからんのう。だから、正確に測れる魔法があって、助かった。』
「へー。」
どうやら、ざっくり出来るようにシルバーが独自に改良したらしい。魔法も使い方次第で色々できそうだ。
「ふむ……、湿度が高くて、奴が好みそうな場所だのう。となると……、囚われている可能性はあまりない。』
「よかった。」
『だとしたら尚更、疑問が残るぜ!なぜ、あいつの毒が闇市に出回ったのか!』
「確かに。」
現在、シルバーの要請を受けて、ドライ王国では、闇市の毒を全力で調査してもらっている。
王都に残ってくれている、ノアが鑑定魔法を使えるため、判定は任せておけば、大丈夫だとは思うが、こちらはこちらで、冒険の途中で。何故毒が出回ったのかを、王国とは別の方法で調べる事になっている。
「ルーカス。転移魔法で一発で着いたりしない?」
『行けるとは思うぜ……!だけど、相手はヨルムンガルド、勝手に縄張りに入って、怒らせたら、めんどいかもしれないな。』
『交渉なら任せてほしい。兄弟の我が行くのが一番よかろう。』
「そうか。だったら、近くの山まで行って、そこから先は、シルバーに任せるのが良いかもな。」
『それがいいと思うぜ!』
『任せておけ。あいつとは、きっちり話をしてくる。』
「頼んだ。」
そう言って、ルーカスは転移魔法を発動する。行き先は、ヨルムンガルドがいる山の近く。鬼が出るか蛇が出るか……、大蛇《ヨルムンガルド》だけに。
『なんか、今背筋が凍った気がするんだが?』
「気のせいでは?」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「シルバー。任せた。」
『任された。』
山の近くに転移した俺たちは、目の前に広がる霧に包まれた広場に立っていた。
山々がこの霧の中に隠れており、道が見当たらない。ここはシルバーに任せるしかないようだ。
「それで、待ってる間、俺たちはどうする、ルーカス?この霧の中でどうやって進むのか、この場で待っていた方が良いのか。」
『この霧の中を歩いて、進むには、地形が分からないと危険だぜ!進むにしても、上空から見渡すしかないだろうな。』
「そっかー。」
ただ……、とルーカスは、いつの間に、魔法で可視化した、ここら辺の地図を見ながら続ける。
『いくら、霧が濃いといえど、このくらいの距離だったら、シルバーと俺はお互いの位置が100%分かっている。ヨルムンガルドの位置もな。』
「へー。えっ……!?……って事は、ヨルムンガルドに俺たちがきた事バレているってこと。」
『ああ。安心しろ。雑魚には興味ないから。』
「雑魚……。」
「俺たちが雑魚……ククク……。」
「ククク……!面白え!」
「あっ、父上、レオン絶対に喧嘩売る事はやめてね。どうなっても、知らないから。」
「「うっ……!」」
「バレバレだよ。」
全く、油断も隙もあったもんじゃないな。2人ともバトルジャンキーなんだから。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「なんだかんだ、ルーカスと離れなければ大丈夫そうか。だったら、暇な時間使って、この山の、魔物の素材とかが欲しいかな。」
「おっ……!良いねえ。この霧だと、人の手が入ってなさそうだから、変わった魔物がいそうだ。」
確かに、珍しい魔物の素材を国に提示できれば、今回の冒険も正当化出来るだろう。
それに、良い素材で出来た武器は、生存率も高める事ができる。
そしてなにより……。
「ふふふ……!飯!飯!」
『美味い飯!』
「美食三昧!」
「美味い飯!」
『お主ら、言ってる事全部同じだのう。』
頭の中は、飯のことでいっぱい。
俺たちは、美味い飯を求めて、霧の中を進みながら、山に向かって歩き始めた。
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「それで。長老の迷子探し用の魔法を使えば、いよいよ、ヨルムンガルドが見つかるわけですね。」
「うむ。理論上は見つけられるはずじゃ。……もっとも、可能性の段階だから実際にやってみなきゃ分からないのじゃ。だから、失敗する可能性も十分あることはご了承くだされ。」
「それは、もちろん。こちらもダメ元で頼んでますから。」
「うむ。では、始めますのじゃ!」
俺たちの旅の目的であるヨルムンガルは、思ったよりも早く見つかるのかもしれない。
長老が呪文を唱えると、世界樹が幻想的に、光だした。長老はそこまで、難しくは無いと言っていたが、これを見る限り、結構な大魔法ではないのだろうか。
それに、この魔法を扱うには、繊細な魔力操作を必要だろう。確かに、エルフの瞑想訓練を絶えずに行わないと出来ないようだ。
「おっ!見つけたのじゃ!」
「本当ですか!?どこですか!?」
「あちらの方角じゃ!場所は、ここから400km程。」
『あちらと言うと北かのう。おそらく、霧に覆われた山の中か。』
「そこまで、わかるんだ。」
『うむ。探査魔法を伸ばせば、このくらいはな。』
「へっ!?探索魔法?400kmの探査魔法?……って、待て待て。最初からそれ使えば良かったのでは?それもはや、長老の魔法必要無かったのでは?」
『あくまでも地形が分かる程度の簡易的な探査魔法だからな。そこにヨルムンガルドいるかなど詳細なことはわからんのう。だから、正確に測れる魔法があって、助かった。』
「へー。」
どうやら、ざっくり出来るようにシルバーが独自に改良したらしい。魔法も使い方次第で色々できそうだ。
「ふむ……、湿度が高くて、奴が好みそうな場所だのう。となると……、囚われている可能性はあまりない。』
「よかった。」
『だとしたら尚更、疑問が残るぜ!なぜ、あいつの毒が闇市に出回ったのか!』
「確かに。」
現在、シルバーの要請を受けて、ドライ王国では、闇市の毒を全力で調査してもらっている。
王都に残ってくれている、ノアが鑑定魔法を使えるため、判定は任せておけば、大丈夫だとは思うが、こちらはこちらで、冒険の途中で。何故毒が出回ったのかを、王国とは別の方法で調べる事になっている。
「ルーカス。転移魔法で一発で着いたりしない?」
『行けるとは思うぜ……!だけど、相手はヨルムンガルド、勝手に縄張りに入って、怒らせたら、めんどいかもしれないな。』
『交渉なら任せてほしい。兄弟の我が行くのが一番よかろう。』
「そうか。だったら、近くの山まで行って、そこから先は、シルバーに任せるのが良いかもな。」
『それがいいと思うぜ!』
『任せておけ。あいつとは、きっちり話をしてくる。』
「頼んだ。」
そう言って、ルーカスは転移魔法を発動する。行き先は、ヨルムンガルドがいる山の近く。鬼が出るか蛇が出るか……、大蛇《ヨルムンガルド》だけに。
『なんか、今背筋が凍った気がするんだが?』
「気のせいでは?」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「シルバー。任せた。」
『任された。』
山の近くに転移した俺たちは、目の前に広がる霧に包まれた広場に立っていた。
山々がこの霧の中に隠れており、道が見当たらない。ここはシルバーに任せるしかないようだ。
「それで、待ってる間、俺たちはどうする、ルーカス?この霧の中でどうやって進むのか、この場で待っていた方が良いのか。」
『この霧の中を歩いて、進むには、地形が分からないと危険だぜ!進むにしても、上空から見渡すしかないだろうな。』
「そっかー。」
ただ……、とルーカスは、いつの間に、魔法で可視化した、ここら辺の地図を見ながら続ける。
『いくら、霧が濃いといえど、このくらいの距離だったら、シルバーと俺はお互いの位置が100%分かっている。ヨルムンガルドの位置もな。』
「へー。えっ……!?……って事は、ヨルムンガルドに俺たちがきた事バレているってこと。」
『ああ。安心しろ。雑魚には興味ないから。』
「雑魚……。」
「俺たちが雑魚……ククク……。」
「ククク……!面白え!」
「あっ、父上、レオン絶対に喧嘩売る事はやめてね。どうなっても、知らないから。」
「「うっ……!」」
「バレバレだよ。」
全く、油断も隙もあったもんじゃないな。2人ともバトルジャンキーなんだから。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「なんだかんだ、ルーカスと離れなければ大丈夫そうか。だったら、暇な時間使って、この山の、魔物の素材とかが欲しいかな。」
「おっ……!良いねえ。この霧だと、人の手が入ってなさそうだから、変わった魔物がいそうだ。」
確かに、珍しい魔物の素材を国に提示できれば、今回の冒険も正当化出来るだろう。
それに、良い素材で出来た武器は、生存率も高める事ができる。
そしてなにより……。
「ふふふ……!飯!飯!」
『美味い飯!』
「美食三昧!」
「美味い飯!」
『お主ら、言ってる事全部同じだのう。』
頭の中は、飯のことでいっぱい。
俺たちは、美味い飯を求めて、霧の中を進みながら、山に向かって歩き始めた。
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