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4章⭐︎学園編⭐︎
シンプルめんどくさくない?
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-side リアム-
「あっ!しまった」
ロキ様が学園地下にあるドワーフの里の存在を教えてくれたは良いものの、隠し通路がどこにあるか聞いていなかった!やらかしたー!
「どうしたんだい?リアム?」
「あっ、いや……大丈夫!別になんでもない」
「……?珍しいね。君が考え事なんて。年中惰眠貪って頭のお花畑がカビてそうなのに」
「う、うん。まあね。ん?……って、誰が頭の中カビたお花畑だ!」
「冗談だよ、冗談」
「そんな淡々と冗談言うなし……」
危ない危ない。あまりにノアがサラッと毒吐くから、危うく肯定しそうだった。
それはそれとして、俺たちは今、学園で授業を受けている。昨日、杖を作ったからそれを実践で使ってみるために色々教わっているのだ。
そんな授業を受けていたので、ちょうど昨日、ロキ様に作った杖をドワーフの里へ持っていくといいと言われたことを思い出してしまい、思わぬ見落としにも気づいてしまった。早く持っていきたいので、どうにかして見つけたいところだ。
……っと、今は目の前のことに集中しよう。
「この杖を使うメリットとデメリットを説明します。まずメリットは、魔法制御力が飛躍的に向上することです。実践するので見ていてください。“ウォーター”」
カーティス先生が杖を持って水の初級魔法を唱える。
すると、杖の先から水が出てきた。
「普段だったら、この水の形を変えることは非常に難しいです。形を変えるということは既に放出してある魔法に魔力を加えて変形させるということをしなければならないからです。しかし、この杖を使うと簡単に変形できます。このように」
カーティス先生が杖を振ると、水の形が立方体に変形したり、魚に変形したりする。
「「おおー!」」
すごい。普段生活用に使っているウォーターの形をこんなに簡単に変形できるなんて。立方体にして、水の温度を下げればあっという間に氷ができるし料理の役にも立ちそう。
「杖から放出された魔法は、魔力が完全に放出される一歩前の状態で保たれます。この性質を利用することによって、飛躍的に簡単に変形ができるのです」
なるほど。つまり、普段手から放出している水は完全に水と言う物質だけど、杖から放出している物質は魔力と水という物質の中間点だから変形しやすいのか。通常、水は温度によって固体から液体、液体から気体になるけれど、魔力という物質を通すと形が変形できるということは新しい発見だ。
「魔法の杖、便利すぎる」
「これがあれば、色々な技を生み出せそうだね」
これには、流石の俺とノアも大はしゃぎだ。
「……喜んでいるところ申し訳ないですが、デメリットもあります」
デスヨネー。カーティス先生。しっかり上げて落としてくる。
「まず、杖という物質を介して魔法を放つため、魔法の消費量が多いことと、魔法の威力が弱いことが挙げられます。戦闘で杖を使う際には二つをしっかりと考慮しなければなりません」
確かに、そりゃそうだよね。道具を使っている分、消費エネルギーが多いことやエネルギー分、魔法の威力が弱くなることはまあわかる。
「次に最大のデメリットを挙げます」
……ゴクリッ!もっとでかいデメリットがあるのか。それ次第で、今後戦闘で使えるかが分かれるな。
場は緊張に包まれる。
「それは、戦闘中使うのがシンプルめんどくさいということです」
「……」
「…………」
「………………それだけ?」
「ええ、それだけです」
――ドテドテドテ
「な、なんだ。それだけのデメリットでよかった」
カーティス先生が大真面目な顔で忠告しようとしてくるからなんだと思ったけど、全然大丈夫そうだった。というか、シンプル武器に対する悪口なだけだった。
「いいや、リアム。僕は全然良くないと思う」
「な、なんだよ。ノアまで、真面目な顔をして」
大体、武器を使うのが面倒だっていうのなら亜空間収納かなんかで取り出せばいいだけの話だ。
「いい?別に杖を使わなくたって、その気になれば杖を使っているのと同じような魔法を使うことはできる。むしろ、杖を戦闘中に出し入れしたり、持ち運びしたりは手間がかかる」
「うん、だろうね」
「だったら、いずれ魔法が上達した時、杖を持ち運ぶことや下手したら存在まで忘れるだろう?」
「確かに、かもしれないね」
何せ使わなくてもなんとかなりそうなものをわざわざいちいち覚えている必要は全くない。
事実、レオンもヘンリー様も魔法を使う際に、杖を使っているのを見たのは数える程度だ。
「にもかかわらず、今俺たちに杖を教えているのはなんでだと思う?」
「うーん、杖を使った方が強くなれる可能性がありそうだから?」
「うん、それリアムの杖の場合だけだね」
「そっか。じゃあ、基礎練習とか?」
「基礎練習だったら、別に他に方法いくらでもあるだろう?」
「た、確かに。うーん?なんだろう?」
他にこれといったことは思いつかない。
「もっとシンプルにさ、杖でしかできない事があるんじゃないかな?それも戦闘中や冒険中で。だから、普段使わないし、めんどいけれど、頭の片隅に入れとく必要があると思うから、めんどいということがデメリットとして挙げられている気がする」
「あっ……」
「流石、ノア様。その通りです」
そういうことか。しかし、戦闘中や冒険中でわざわざ杖を取り出して使うタイミングか。どんなタイミングだろう?
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あっ!しまった」
ロキ様が学園地下にあるドワーフの里の存在を教えてくれたは良いものの、隠し通路がどこにあるか聞いていなかった!やらかしたー!
「どうしたんだい?リアム?」
「あっ、いや……大丈夫!別になんでもない」
「……?珍しいね。君が考え事なんて。年中惰眠貪って頭のお花畑がカビてそうなのに」
「う、うん。まあね。ん?……って、誰が頭の中カビたお花畑だ!」
「冗談だよ、冗談」
「そんな淡々と冗談言うなし……」
危ない危ない。あまりにノアがサラッと毒吐くから、危うく肯定しそうだった。
それはそれとして、俺たちは今、学園で授業を受けている。昨日、杖を作ったからそれを実践で使ってみるために色々教わっているのだ。
そんな授業を受けていたので、ちょうど昨日、ロキ様に作った杖をドワーフの里へ持っていくといいと言われたことを思い出してしまい、思わぬ見落としにも気づいてしまった。早く持っていきたいので、どうにかして見つけたいところだ。
……っと、今は目の前のことに集中しよう。
「この杖を使うメリットとデメリットを説明します。まずメリットは、魔法制御力が飛躍的に向上することです。実践するので見ていてください。“ウォーター”」
カーティス先生が杖を持って水の初級魔法を唱える。
すると、杖の先から水が出てきた。
「普段だったら、この水の形を変えることは非常に難しいです。形を変えるということは既に放出してある魔法に魔力を加えて変形させるということをしなければならないからです。しかし、この杖を使うと簡単に変形できます。このように」
カーティス先生が杖を振ると、水の形が立方体に変形したり、魚に変形したりする。
「「おおー!」」
すごい。普段生活用に使っているウォーターの形をこんなに簡単に変形できるなんて。立方体にして、水の温度を下げればあっという間に氷ができるし料理の役にも立ちそう。
「杖から放出された魔法は、魔力が完全に放出される一歩前の状態で保たれます。この性質を利用することによって、飛躍的に簡単に変形ができるのです」
なるほど。つまり、普段手から放出している水は完全に水と言う物質だけど、杖から放出している物質は魔力と水という物質の中間点だから変形しやすいのか。通常、水は温度によって固体から液体、液体から気体になるけれど、魔力という物質を通すと形が変形できるということは新しい発見だ。
「魔法の杖、便利すぎる」
「これがあれば、色々な技を生み出せそうだね」
これには、流石の俺とノアも大はしゃぎだ。
「……喜んでいるところ申し訳ないですが、デメリットもあります」
デスヨネー。カーティス先生。しっかり上げて落としてくる。
「まず、杖という物質を介して魔法を放つため、魔法の消費量が多いことと、魔法の威力が弱いことが挙げられます。戦闘で杖を使う際には二つをしっかりと考慮しなければなりません」
確かに、そりゃそうだよね。道具を使っている分、消費エネルギーが多いことやエネルギー分、魔法の威力が弱くなることはまあわかる。
「次に最大のデメリットを挙げます」
……ゴクリッ!もっとでかいデメリットがあるのか。それ次第で、今後戦闘で使えるかが分かれるな。
場は緊張に包まれる。
「それは、戦闘中使うのがシンプルめんどくさいということです」
「……」
「…………」
「………………それだけ?」
「ええ、それだけです」
――ドテドテドテ
「な、なんだ。それだけのデメリットでよかった」
カーティス先生が大真面目な顔で忠告しようとしてくるからなんだと思ったけど、全然大丈夫そうだった。というか、シンプル武器に対する悪口なだけだった。
「いいや、リアム。僕は全然良くないと思う」
「な、なんだよ。ノアまで、真面目な顔をして」
大体、武器を使うのが面倒だっていうのなら亜空間収納かなんかで取り出せばいいだけの話だ。
「いい?別に杖を使わなくたって、その気になれば杖を使っているのと同じような魔法を使うことはできる。むしろ、杖を戦闘中に出し入れしたり、持ち運びしたりは手間がかかる」
「うん、だろうね」
「だったら、いずれ魔法が上達した時、杖を持ち運ぶことや下手したら存在まで忘れるだろう?」
「確かに、かもしれないね」
何せ使わなくてもなんとかなりそうなものをわざわざいちいち覚えている必要は全くない。
事実、レオンもヘンリー様も魔法を使う際に、杖を使っているのを見たのは数える程度だ。
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「あっ……」
「流石、ノア様。その通りです」
そういうことか。しかし、戦闘中や冒険中でわざわざ杖を取り出して使うタイミングか。どんなタイミングだろう?
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