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さよなら現実、おかえり甘美なる夢
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須藤あかりは、とりたてて目立った特徴の無い少女だった。成績が悪いわけではないが、秀才とはいえない。
いじめられてはいないが、友人と談笑する姿を見かけることは珍しい。無口で地味な高校2年生。
須藤さん?そういえば、クラスにいたよね。部活も委員会もわからないけど。下の名前なんだっけ?
夏休み前だというのに、数ヶ月過ごしたクラスメイトの認識はそんな程度。須藤あかりは、誰にも気を留められない孤独をかかえた少女だった。
やぼったい膝下丈のプリーツスカートから伸びる足取りは重い。あかりは出来るだけ学校で過ごしていたかった。
少なくとも平和だからだ。
図書委員のあかりは、休み時間も放課後も図書室で過ごすことが多い。司書さんの本の修復やビニール張りの手伝いをする。週に3回来る司書の紅柳さんは美人で、色んなオススメを教えてくれる憧れの人だ。月曜日、水曜日、金曜日の委員会活動はほんのり嬉しいひとときだ。
しかし、どんなに遅く残りたくとも学校は18時半には閉門してしまい、どんなにトボトボ歩いても19時には家に着いてしまう。
徒歩で通える距離の公立高校にしなさい。
それが高校進学の条件だった。この高校は県下では頭が良い高校の部類に入るが、塾や家庭教師もなく合格し、良くも悪くもない成績を維持できているのだから、あかりは決して馬鹿ではないし、努力家ですらある。しかし、父親も継母もそんな事に興味はない。どうだっていいと思われている。
褒められたことなんて、ない。
別にあんな人たち、どうだっていいけれど。それでも間近に「愛されている妹」を見るのは苦痛だった。
帰りたくないし、なんならこのまま死んじゃいたい。
それでもあかりの足が向かう先は家しかなく、重い家の扉を開くとカランコロンとドア鈴が鳴った。
リビングからは灯りと談笑が漏れ聞こえる。
1人は高い声が妹、母親の違う妹ユイカの声。
ドア鈴が鳴ろうと出迎える人も、声をかけてくれる家族もいない。
いやだなあ。
お腹はすいているけど、リビングに行くのは嫌だ。
このまま部屋に帰ろう。
あかりは逃げるように二階に向かう。
二階の半分物置になっている冷たい部屋があかりの唯一の居場所だ。机やクローゼットはない。狭いパイプベッドがガラクタの隙間に置かれているだけ。
ふわふわのぬいぐるみやクッションに彩られた妹の部屋の柔らかいダブルベッドとは全然違う。
明確な格差。
それは物心ついたときから、ずっと受けてきた扱いだった。冬は毛布が一枚。夏も同じ。寒くて眠れない日は制服のコートを着たまま、毛布をかぶる。
どうせ、リビングにいったところで私の分の食事はない。小中学の時は給食で飢えを凌いだし、今は母方、本当のお母さんのお父さんが内緒でくれたお年玉やお小遣いで何とか食べ物を買っている。しかし有限だ。
今夜はこのまま寝よう。
お風呂は彼らが寝静まるのを待って、こっそり浴びている。まずは目を閉じて、耳を塞ぎ、静かに時が過ぎるのを待つのだ。
いじめられてはいないが、友人と談笑する姿を見かけることは珍しい。無口で地味な高校2年生。
須藤さん?そういえば、クラスにいたよね。部活も委員会もわからないけど。下の名前なんだっけ?
夏休み前だというのに、数ヶ月過ごしたクラスメイトの認識はそんな程度。須藤あかりは、誰にも気を留められない孤独をかかえた少女だった。
やぼったい膝下丈のプリーツスカートから伸びる足取りは重い。あかりは出来るだけ学校で過ごしていたかった。
少なくとも平和だからだ。
図書委員のあかりは、休み時間も放課後も図書室で過ごすことが多い。司書さんの本の修復やビニール張りの手伝いをする。週に3回来る司書の紅柳さんは美人で、色んなオススメを教えてくれる憧れの人だ。月曜日、水曜日、金曜日の委員会活動はほんのり嬉しいひとときだ。
しかし、どんなに遅く残りたくとも学校は18時半には閉門してしまい、どんなにトボトボ歩いても19時には家に着いてしまう。
徒歩で通える距離の公立高校にしなさい。
それが高校進学の条件だった。この高校は県下では頭が良い高校の部類に入るが、塾や家庭教師もなく合格し、良くも悪くもない成績を維持できているのだから、あかりは決して馬鹿ではないし、努力家ですらある。しかし、父親も継母もそんな事に興味はない。どうだっていいと思われている。
褒められたことなんて、ない。
別にあんな人たち、どうだっていいけれど。それでも間近に「愛されている妹」を見るのは苦痛だった。
帰りたくないし、なんならこのまま死んじゃいたい。
それでもあかりの足が向かう先は家しかなく、重い家の扉を開くとカランコロンとドア鈴が鳴った。
リビングからは灯りと談笑が漏れ聞こえる。
1人は高い声が妹、母親の違う妹ユイカの声。
ドア鈴が鳴ろうと出迎える人も、声をかけてくれる家族もいない。
いやだなあ。
お腹はすいているけど、リビングに行くのは嫌だ。
このまま部屋に帰ろう。
あかりは逃げるように二階に向かう。
二階の半分物置になっている冷たい部屋があかりの唯一の居場所だ。机やクローゼットはない。狭いパイプベッドがガラクタの隙間に置かれているだけ。
ふわふわのぬいぐるみやクッションに彩られた妹の部屋の柔らかいダブルベッドとは全然違う。
明確な格差。
それは物心ついたときから、ずっと受けてきた扱いだった。冬は毛布が一枚。夏も同じ。寒くて眠れない日は制服のコートを着たまま、毛布をかぶる。
どうせ、リビングにいったところで私の分の食事はない。小中学の時は給食で飢えを凌いだし、今は母方、本当のお母さんのお父さんが内緒でくれたお年玉やお小遣いで何とか食べ物を買っている。しかし有限だ。
今夜はこのまま寝よう。
お風呂は彼らが寝静まるのを待って、こっそり浴びている。まずは目を閉じて、耳を塞ぎ、静かに時が過ぎるのを待つのだ。
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