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前途多難なのです
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攻略本を読み切る頃には、もう日が暮れていた。
書かれていたことは膨大なのだが、ほとんどは好感度を上げるための選択肢である。アンリに関しては嫌な気分になりながらも全て読んだ。王太子や魔王やその他に関しては目が滑る滑る、何とか目は通したが覚えていられるかは自信がない。細かな設定や裏技は役に立ちそうだった。それから、ひとつ知ったことがある。
ハルファティカ姫はまぎれもないヒロインだった。
ユティカで全クリすると、ハルファティカ姫の立場で物語を遊べるらしいのだ。しかしこれは隠しキャラらしく、細かいところは攻略本でも伏せられている。
新しい情報としてはひとつ、ハルファティカ姫の物語だと序盤に北の塔を脱走したっぽい。それを匂わせる煽り文句があるのだ。
自由の先に掴む手はだあれ?
本当はゲームをやれたらもっと分かるんだろうけれど。私が選ぶ手は間違いなくアンリだわ。
それだけは胸に家路を急ぐ。学校をサボったの連絡いってないといいな。早く、早く眠りたい。
家につくなり、私は継母に張り倒された。
「学校を早退したのに、こんな時間まで何をしていたの?身体でも売っているの?そうでしょう!」
頭がおかしい。なんでそんな思考になるかもわからない。正直継母は狂人なんだと思う。
私のカバンから本が散らばる。
「こんな、いやらしい本ばっかり読んで!男好きなのね、汚らしい!」
騒ぎを見に来たユイカの顔色が私の本を見るなり変わる。継母は私の本を全て破ってゆく。
殴られた頬に熱を感じる、きっと腫れてる。口の中に血の味がするから、どこか切れたのだ。
父親の靴があるのに、リビングからは出てこようとはしない。この家は誰も私を愛していない。必要ともしていない。なのに何故縛りつけられてるのだろう。
破られた攻略本のカラーページ。さっきうっとりと眺めたアンリの絵姿だ。バイオリンを弾いているラフな姿、公爵らしい正装も美しい。破られてても、その優しい空色の瞳を見つめながら、時間が過ぎるのをただ待つ。
私は貝。殻を閉じれば誰も私を傷つけられない。
アンリの眼差しを思い出せば痛くない。怖くない。私は1人じゃない。お風呂で彼が口づけてくれた、身体のあちこち。大事な壊れ物のように扱ってくれた。
大丈夫。
何回も彼が教えてくれた。大丈夫。私は彼に守られている。今この瞬間も、きっと眠る私の身体はアンリの大きな身体で守られている。
痛くない。
あっちが現実だから、こっちが悪夢だから。
泣きもしない私に苛立った継母は、倒れた私の髪を掴み靴箱に打ち付ける。強かに頭を打った私は先月が玄関に滴るのを見た。そして静かに意識を手放した。
書かれていたことは膨大なのだが、ほとんどは好感度を上げるための選択肢である。アンリに関しては嫌な気分になりながらも全て読んだ。王太子や魔王やその他に関しては目が滑る滑る、何とか目は通したが覚えていられるかは自信がない。細かな設定や裏技は役に立ちそうだった。それから、ひとつ知ったことがある。
ハルファティカ姫はまぎれもないヒロインだった。
ユティカで全クリすると、ハルファティカ姫の立場で物語を遊べるらしいのだ。しかしこれは隠しキャラらしく、細かいところは攻略本でも伏せられている。
新しい情報としてはひとつ、ハルファティカ姫の物語だと序盤に北の塔を脱走したっぽい。それを匂わせる煽り文句があるのだ。
自由の先に掴む手はだあれ?
本当はゲームをやれたらもっと分かるんだろうけれど。私が選ぶ手は間違いなくアンリだわ。
それだけは胸に家路を急ぐ。学校をサボったの連絡いってないといいな。早く、早く眠りたい。
家につくなり、私は継母に張り倒された。
「学校を早退したのに、こんな時間まで何をしていたの?身体でも売っているの?そうでしょう!」
頭がおかしい。なんでそんな思考になるかもわからない。正直継母は狂人なんだと思う。
私のカバンから本が散らばる。
「こんな、いやらしい本ばっかり読んで!男好きなのね、汚らしい!」
騒ぎを見に来たユイカの顔色が私の本を見るなり変わる。継母は私の本を全て破ってゆく。
殴られた頬に熱を感じる、きっと腫れてる。口の中に血の味がするから、どこか切れたのだ。
父親の靴があるのに、リビングからは出てこようとはしない。この家は誰も私を愛していない。必要ともしていない。なのに何故縛りつけられてるのだろう。
破られた攻略本のカラーページ。さっきうっとりと眺めたアンリの絵姿だ。バイオリンを弾いているラフな姿、公爵らしい正装も美しい。破られてても、その優しい空色の瞳を見つめながら、時間が過ぎるのをただ待つ。
私は貝。殻を閉じれば誰も私を傷つけられない。
アンリの眼差しを思い出せば痛くない。怖くない。私は1人じゃない。お風呂で彼が口づけてくれた、身体のあちこち。大事な壊れ物のように扱ってくれた。
大丈夫。
何回も彼が教えてくれた。大丈夫。私は彼に守られている。今この瞬間も、きっと眠る私の身体はアンリの大きな身体で守られている。
痛くない。
あっちが現実だから、こっちが悪夢だから。
泣きもしない私に苛立った継母は、倒れた私の髪を掴み靴箱に打ち付ける。強かに頭を打った私は先月が玄関に滴るのを見た。そして静かに意識を手放した。
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