公爵様、これが夢なら醒めたくありません!

菰野るり

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大丈夫、きっと大丈夫。

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目覚めた私はアンリの腕のなかにいた。

怖かった。死んじゃいたいけど、本当は、痛くて怖かった。アンリにしがみつく。私を傷つけない、守ってくれる逞しく美しい身体。

私が誰かに殴られたりしたら、きっと助けてくれるね。きっと怒ってくれるね。

私にとってアンリはゲームのキャラじゃない、小説の登場人物でも夢の世界の人でもない。私の唯一の大事な人。この腕の中は唯一の居場所だ。

どうしよう。涙が止まらない。
もうどこも痛くないのに。

泣く私に気がついて、アンリは目を覚ます。
「どうした?何があった?」
「怖い夢をみたの…アンリがいなかった」
「大丈夫、俺はそばにいるよ」

その声に私は安堵する。
もう眠りたくない、あちらの世界に帰りたくない。
「アンリを愛してるの」

不安をかきけすように、私はアンリに伝える。
「ミア、怖い夢の内容を話せる?」
嫌だ、嫌だ。知られるのは嫌だった。
向こうの自分はこんなに美しくないから、愛されない。殴られていて助けてくれても、アンリは私に目を向けてくれないだろう

「いや…忘れたい」
「そうか、じゃあ忘れようね」

私のおでこに優しいキスをする。

「抱いて」

アンリは私をギュッと抱く。苦しいくらい。

「純潔なんていらない。抱いて。アンリのものになりたい」

不安を拭い去りたかった。それを解消するのが、行為かはわからなかったが、ふしだらと継母にののしられた恐怖を拭い去れるほどの強い抱擁が欲しかった。

「君は俺を嫌うかもしれない」
「そんなわけない」
「他に君を安心させる方法はないの?」

何故、彼が嫌がるのか分からなかった。
「抱いて」

私は再びねだった。

熱を帯びた舌が私の唇をこじ開ける。綺麗に並んだ歯列に彼が侵入してくるのが分かる。

求められるのは、すごく嬉しい。

こんなに綺麗な人が、私を求めて頬を赤く染めて、雄を滾らせて、理性を失おうとしている。
「ミア綺麗だ」
私の身体隅から隅まで口づけをくれる。

さっきまで殴られて痛かった身体が嘘みたいに、こんなに大事に扱われている。愛されている。

生まれてからずっと寂しかった、魂が彼の柔らかな愛の囁きを受け止めて喜んでいる。わたし、嬉しいんだ。

可愛いと褒められて、アンリに私を全部あげて、喜んで貰えて。破瓜する時、アンリに少し躊躇いを見た。

「私の目を見て、アンリ」
空色の目がこちらをみつめた。

どうなっても後悔はない。この愛された記憶だけで私は生きていくことができる。

「愛してる」

「ミア、愛してる」

私の名前はミア、彼が名付けてくれた大事な名前。

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