34 / 44
私だけが、嘘つき
しおりを挟む
アンリの奏でる異国の旋律。
バイオリンの音色にシュヴァルツも耳を傾けている。
私たちは誰も父親と母親を持たず、ただ、今ここで寄り添っている。シュヴァルツがいつか魔王となり、私たち2人を喰らっても後悔はない。
アンリが過去を語って聞かせてくれたのに、私はハルファティカとしての物語しかアンリに語れないのが気にかかっていた。
この美しい髪も、透き通った白い肌も、長いまつ毛に形の良い鼻や唇も、全ては借り物。10人並みの容姿、もっさりとした黒髪の少女だったらアンリは拾ってくれただろうか。
ありのままの私を見てほしい、そして愛してほしいなんて究極のワガママだ。詐欺みたいなものじゃないか。須藤あかりは笑っても、こんなに、花開くような優雅で華やかな笑顔ではない。
幸せであればあるほど、入れ替わったハルファティカ姫が気になっていた。虐げられた彼女が得るべきだった幸せを私が盗んでいる気がして。
私が望めば、ハルファティカ姫は私に須藤あかりとしての人生を返してくれる。つまり、彼女は今の私に…
「どうしたの?」
心配そうに私を覗き込む空色の瞳に、真紅の瞳。
「大丈夫よ、ボーっとしていただけ」
疲れているかも知れないと嘘をついた私を、アンリは抱き上げ寝台に寝かせる。
私だけが嘘つき。
この暖かく柔らかく心地よい部屋で。私だけが本当は醜い。
なぜか頭の中で自分が罵る、須藤あかりが私を罵る。
あんたなんか愛されるわけない。
愛されているのはハルファティカよ。
「ミア、本当に具合が悪そうだな」
「お熱、あるの?」
ひんやりとした小さな手が私のおでこに当てられる。シュヴァルツは優しい子だ。
魔王を飼い慣らしたつもり?騙して都合の良い使うのね。
私の中の声が止まない。
違う、違うわ
みんなで幸せになりたいだけなの!
反論して叫んでる、声は虚空に吸い込まれる。
アンリを愛してるわ!
シュヴァルツが大好きよ!
須藤あかりの君が悪い顔が首だけ現れて私を罵る
「嘘つき」
バイオリンの音色にシュヴァルツも耳を傾けている。
私たちは誰も父親と母親を持たず、ただ、今ここで寄り添っている。シュヴァルツがいつか魔王となり、私たち2人を喰らっても後悔はない。
アンリが過去を語って聞かせてくれたのに、私はハルファティカとしての物語しかアンリに語れないのが気にかかっていた。
この美しい髪も、透き通った白い肌も、長いまつ毛に形の良い鼻や唇も、全ては借り物。10人並みの容姿、もっさりとした黒髪の少女だったらアンリは拾ってくれただろうか。
ありのままの私を見てほしい、そして愛してほしいなんて究極のワガママだ。詐欺みたいなものじゃないか。須藤あかりは笑っても、こんなに、花開くような優雅で華やかな笑顔ではない。
幸せであればあるほど、入れ替わったハルファティカ姫が気になっていた。虐げられた彼女が得るべきだった幸せを私が盗んでいる気がして。
私が望めば、ハルファティカ姫は私に須藤あかりとしての人生を返してくれる。つまり、彼女は今の私に…
「どうしたの?」
心配そうに私を覗き込む空色の瞳に、真紅の瞳。
「大丈夫よ、ボーっとしていただけ」
疲れているかも知れないと嘘をついた私を、アンリは抱き上げ寝台に寝かせる。
私だけが嘘つき。
この暖かく柔らかく心地よい部屋で。私だけが本当は醜い。
なぜか頭の中で自分が罵る、須藤あかりが私を罵る。
あんたなんか愛されるわけない。
愛されているのはハルファティカよ。
「ミア、本当に具合が悪そうだな」
「お熱、あるの?」
ひんやりとした小さな手が私のおでこに当てられる。シュヴァルツは優しい子だ。
魔王を飼い慣らしたつもり?騙して都合の良い使うのね。
私の中の声が止まない。
違う、違うわ
みんなで幸せになりたいだけなの!
反論して叫んでる、声は虚空に吸い込まれる。
アンリを愛してるわ!
シュヴァルツが大好きよ!
須藤あかりの君が悪い顔が首だけ現れて私を罵る
「嘘つき」
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
とある令嬢の優雅な別れ方 〜婚約破棄されたので、笑顔で地獄へお送りいたします〜
入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済!】
社交界を賑わせた婚約披露の茶会。
令嬢セリーヌ・リュミエールは、婚約者から突きつけられる。
「真実の愛を見つけたんだ」
それは、信じた誠実も、築いてきた未来も踏みにじる裏切りだった。だが、彼女は微笑んだ。
愛よりも冷たく、そして美しく。
笑顔で地獄へお送りいたします――
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
酔っぱらい令嬢の英雄譚 ~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~
ゆずこしょう
恋愛
婚約者と共に参加するはずだった、
夜会当日──
婚約者は「馬車の予約ができなかった」という理由で、
迎えに来ることはなかった。
そして王宮で彼女が目にしたのは、
婚約者と、見知らぬ女性が寄り添う姿。
領地存続のために婿が必要だったエヴァンジェリンは、
感情に流されることもなく、
淡々と婚約破棄の算段を立て始める。
目の前にあった美味しいチョコレートをつまみながら、
頭の中で、今後の算段を考えていると
別の修羅場が始まって──!?
その夜、ほんの少しお酒を口にしたことで、
エヴァンジェリンの評価と人生は、
思いもよらぬ方向へ転がり始める──
2月11日 第一章完結
2月15日 第二章スタート予定
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
侯爵令嬢の四十日間 ――均衡が国を変えるまで
ふわふわ
恋愛
婚約を解かれた侯爵令嬢。
けれど彼女は、泣きもしなければ争いもしなかった。
王都から距離を置いたその日から、国の流れはわずかに変わり始める。
事故が増え、交易は滞り、民の不安は静かに積もる。
崩壊ではない。
革命でもない。
ただ――“均衡”が失われただけ。
一方、北の地で彼女は何も奪わず、何も誇らず、ただ整える。
望まぬ中心。
求めぬ王冠。
それでも四十日後、国は気づく。
中心とは座る場所ではなく、
支える位置なのだと。
これは、復讐の物語ではない。
叫ばぬざまあ。
静かに国を変えた、侯爵令嬢の四十日間の記録。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる