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1.こじらせていることは自覚してます
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改めて、自分の置かれた状況を理解する。
「わ、わ~~! 玖堂ってば、朝からセクシーだなぁ」
俺は動揺を隠しながら、ヘラヘラと笑った。
ゆるゆるTシャツは、襟の部分が伸びきってだるっとしている。鎖骨から胸元がバッチリと見える。
玖堂が、少しずつ顔を近づけてくる。
「な、なん……」
さすがにビビる。
まさか、キスしようとかしてないよな?
そんなわけないと思いつつ、でも玖堂の美しすぎる顔面は近づいてくるわけで。
「ひょえーーー!」
俺は、情けない悲鳴を上げた。
その瞬間、玖堂の動きが止まった。
「なんだ、宮下か……」
寝起き特有のかすれた声だった。
玖堂が上体を起こす。その瞬間、ベッドがぎしりと音を立てた。
「だ、誰かと勘違いした……?」
「そうじゃない」
「じゃあ、何だよ」
「誰だろうと思って」
玖堂が、乱れた前髪をかき上げる。その仕草も妙に色っぽかった。
「どっから見ても、宮下響くんだろうが」
「俺、目がわるいから」
「あ、そう……」
普段はコンタクトらしい。
「でもさ、約束したじゃん。朝、迎えに来るって」
ベッドから起き上がりながら、俺は抗議の声を上げた。
「わすれてた」
目をこすりながら、玖堂が言う。
「忘れないでくれる!?」
俺は、いつもより早く起きて! 身支度を整えて! わざわざ、玖堂のこと起こしに来てやったのに~~!
心の中で文句を言いまくる。直接訴えないのは、玖堂の前でも外面を崩したくないからだ。
「……おこってる?」
そう言って、玖堂が俺の顔を覗き込んでくる。
一瞬、完璧な俺の外面が見破られたのかと思った。そろり、と玖堂の表情をうかがう。
相変わらず無表情で、考えが読めない。
「なんで、俺が怒ってると思うんだ?」
「なんとなく」
そう言って、玖堂がゆっくりと瞬きをする。
怖ろしいくらいに長い玖堂の睫毛を見ながら、「バレてなさそうだ」と俺はひとまず安堵する。
それにしても、寝起きの気だるさMAXの玖堂はすごい。
なにがすごいって、それはもちろん色気の話。ちょっとなまめかしいが過ぎて、俺は目のやり場に困った。いい加減にTシャツ一枚でいるのはやめて欲しい。
ここは玖堂の部屋だから、どんな格好をしていようと彼の勝手なんだけれども……。
俺は、ふいと視線を外した。視界から玖堂の姿を排除する。
「すぐに準備するから」
「うん」
「だから、おこらないで。ね?」
懇願するみたいに、玖堂が言う。かなりの至近距離で。
「玖堂」
「なに」
「触れそうだ」
「ふれる……? なにとなにが?」
「俺のぺちゃっとした鼻と、玖堂の高い鼻が」
見ようによってはドラマのラブシーンだ。
玖堂の相手が俺なので、まったく画面は映えないのだが。
「宮下の鼻はきれいだよ」
いきなり玖堂が意味不明なことを言い出す。
「どこがだよ」
「目立たないから」
「それって褒めてんの? 確かに、俺の顔面パーツは地味で目立たないけど」
ゆえに俺はモブ顔なのだ。
「宮下は、忘れ鼻ってしってる?」
「何だよそれ」
俺は首を横に振った。
「印象に残らない鼻が最近のトレンドらしい」
「はぁ?」
「令和美人の条件だって。なにかで見た」
いや、なにかってなんだよ? ずいぶん適当だな。
「だから、宮下は美人」
思わず、俺はふき出した。
「ばか。俺が美人なわけないだろ」
俺が美人なら、この世の人間はみんな美人だ。
それを言うなら、玖堂のほうが美しい。今だって、寝起きのくせに圧倒的美貌を誇っている。
寝起きは顔がむくんでいるし、髪だってボサボサになる。誰だって多少はブサイクになるのに、玖堂は目を開けた瞬間からキラキラしている。
……いや、寝ているときからきれいだったな。こいつは。
まったく不公平な世の中だ。俺は理不尽を嘆きながら、玖堂を急かした。
「俺が美人とか意味不明なこと言ってないで、早く準備しろ。さすがにこのままだと遅刻する」
「わかった」
玖堂はうなずいて、のんびりと行動を開始した。
相変わらず、動きが緩慢だ。玖堂を早く動かせるリモコンがあれば、俺は奪い取ってでも手に入れると思う。そして連打しまくる。
しかし、実際にはそんな都合の良いものは存在しない。
仕方なく、俺は玖堂を見守ることにした。のそのそと顔を洗って、ゆっくりと制服に袖を通す。
幼い子どもを見守っているような心境になった。制服を自分で着ているだけでエライ。制服を着崩していることについては、目をつむる。
俺は、のほほんとした気持ちで玖堂を眺めていた。
ゆるゆるTシャツを脱ぎ始めたときだけは、ちょっとビビったけど。パンツ一枚の玖堂(ほぼ裸体といって良い)を拝んでしまった。
びっくるするほど神々しい物体だった。そして美しい。美術館に収蔵されている彫刻作品のようで、思わず見惚れるくらいだった。
「わ、わ~~! 玖堂ってば、朝からセクシーだなぁ」
俺は動揺を隠しながら、ヘラヘラと笑った。
ゆるゆるTシャツは、襟の部分が伸びきってだるっとしている。鎖骨から胸元がバッチリと見える。
玖堂が、少しずつ顔を近づけてくる。
「な、なん……」
さすがにビビる。
まさか、キスしようとかしてないよな?
そんなわけないと思いつつ、でも玖堂の美しすぎる顔面は近づいてくるわけで。
「ひょえーーー!」
俺は、情けない悲鳴を上げた。
その瞬間、玖堂の動きが止まった。
「なんだ、宮下か……」
寝起き特有のかすれた声だった。
玖堂が上体を起こす。その瞬間、ベッドがぎしりと音を立てた。
「だ、誰かと勘違いした……?」
「そうじゃない」
「じゃあ、何だよ」
「誰だろうと思って」
玖堂が、乱れた前髪をかき上げる。その仕草も妙に色っぽかった。
「どっから見ても、宮下響くんだろうが」
「俺、目がわるいから」
「あ、そう……」
普段はコンタクトらしい。
「でもさ、約束したじゃん。朝、迎えに来るって」
ベッドから起き上がりながら、俺は抗議の声を上げた。
「わすれてた」
目をこすりながら、玖堂が言う。
「忘れないでくれる!?」
俺は、いつもより早く起きて! 身支度を整えて! わざわざ、玖堂のこと起こしに来てやったのに~~!
心の中で文句を言いまくる。直接訴えないのは、玖堂の前でも外面を崩したくないからだ。
「……おこってる?」
そう言って、玖堂が俺の顔を覗き込んでくる。
一瞬、完璧な俺の外面が見破られたのかと思った。そろり、と玖堂の表情をうかがう。
相変わらず無表情で、考えが読めない。
「なんで、俺が怒ってると思うんだ?」
「なんとなく」
そう言って、玖堂がゆっくりと瞬きをする。
怖ろしいくらいに長い玖堂の睫毛を見ながら、「バレてなさそうだ」と俺はひとまず安堵する。
それにしても、寝起きの気だるさMAXの玖堂はすごい。
なにがすごいって、それはもちろん色気の話。ちょっとなまめかしいが過ぎて、俺は目のやり場に困った。いい加減にTシャツ一枚でいるのはやめて欲しい。
ここは玖堂の部屋だから、どんな格好をしていようと彼の勝手なんだけれども……。
俺は、ふいと視線を外した。視界から玖堂の姿を排除する。
「すぐに準備するから」
「うん」
「だから、おこらないで。ね?」
懇願するみたいに、玖堂が言う。かなりの至近距離で。
「玖堂」
「なに」
「触れそうだ」
「ふれる……? なにとなにが?」
「俺のぺちゃっとした鼻と、玖堂の高い鼻が」
見ようによってはドラマのラブシーンだ。
玖堂の相手が俺なので、まったく画面は映えないのだが。
「宮下の鼻はきれいだよ」
いきなり玖堂が意味不明なことを言い出す。
「どこがだよ」
「目立たないから」
「それって褒めてんの? 確かに、俺の顔面パーツは地味で目立たないけど」
ゆえに俺はモブ顔なのだ。
「宮下は、忘れ鼻ってしってる?」
「何だよそれ」
俺は首を横に振った。
「印象に残らない鼻が最近のトレンドらしい」
「はぁ?」
「令和美人の条件だって。なにかで見た」
いや、なにかってなんだよ? ずいぶん適当だな。
「だから、宮下は美人」
思わず、俺はふき出した。
「ばか。俺が美人なわけないだろ」
俺が美人なら、この世の人間はみんな美人だ。
それを言うなら、玖堂のほうが美しい。今だって、寝起きのくせに圧倒的美貌を誇っている。
寝起きは顔がむくんでいるし、髪だってボサボサになる。誰だって多少はブサイクになるのに、玖堂は目を開けた瞬間からキラキラしている。
……いや、寝ているときからきれいだったな。こいつは。
まったく不公平な世の中だ。俺は理不尽を嘆きながら、玖堂を急かした。
「俺が美人とか意味不明なこと言ってないで、早く準備しろ。さすがにこのままだと遅刻する」
「わかった」
玖堂はうなずいて、のんびりと行動を開始した。
相変わらず、動きが緩慢だ。玖堂を早く動かせるリモコンがあれば、俺は奪い取ってでも手に入れると思う。そして連打しまくる。
しかし、実際にはそんな都合の良いものは存在しない。
仕方なく、俺は玖堂を見守ることにした。のそのそと顔を洗って、ゆっくりと制服に袖を通す。
幼い子どもを見守っているような心境になった。制服を自分で着ているだけでエライ。制服を着崩していることについては、目をつむる。
俺は、のほほんとした気持ちで玖堂を眺めていた。
ゆるゆるTシャツを脱ぎ始めたときだけは、ちょっとビビったけど。パンツ一枚の玖堂(ほぼ裸体といって良い)を拝んでしまった。
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