奴隷として生まれた天才

津本 なを

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一章 格差を広げるもの

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 ――前回のあらすじ――
 『伊藤裕司』に託された水晶は、未知の知識が詰め込まれた図書館に行くことが出来る不思議なものだった。その事実を目の当たりにした健はある決意をした。



「――健君!健君!良かった……、目が覚めたのね。心配したんだから……、もう……」
 ――俺は二日も図書室にいたことを考えてなかった。
「……あっそっか、あっちにいても時間は進むのか」
「なによ……、起きて早々。健、二日もピクリとも動かなかったのよ⁉」
 ――俺は気づいた時には病室に運ばれていて、真央が俺のベッドの前にいた。
「そっか。心配してくれてありがとう。でも、もう大丈夫。二日も学校休んだし……、学校行くか」
 青いネックレスは首にかかっていて、金の時計は腕にはなかった。
「いや心配するし……、今日は学校休みなさい。いきなり倒れて、二日も起きなかったのよ?様子を見た方がいいに決まっているわ」
 涙目の真央を見て、心配してくれていたんだと思って、その好意を買うことにした。
「――分かった。学校は休む。じゃあ……俺、真央の兄貴に会いたい。どうにかして連れて来れないか?」
 そういうと、真央の表情が一変した。
「ああ……そうね。健君……何も知らないのか……、寝ていたから」
 俯いて、暗い表情をする。
「ん?何を?」
「お兄さんとはもう会えないわ……。――これ読めばわかる。とにかく……今日はそこで安静にしていて!」
 そういって真央は俺に新聞を渡して、――今にも泣きそうな顔で部屋から出ていった。

 俺は少しの間、訳が分からず、唖然としていた。
 ――そして真央が置いていった新聞を見ると、その理由がすぐに分かった。
 新聞の一面には会見ホールの爆破された写真が大きく載っていて、『伊藤裕司、国家転覆未遂失敗し、自爆』とでかでかとした見出しがあった……。
 新聞によると、会見直前の原稿確認で、魔法使いを侮辱したような内容のスピーチであったため、会見を中止にしようとしたところ、伊藤裕司が反抗し、事前に持ち込んでいた爆薬で自爆したとの記事があった。
 ――俺はあいつに騙されたことが分かった。擦り付けられた。
 そう、すべてあいつは計画していたんだ…………。
 
『俺はどうすればいい…………。』
 ネックレスを伊藤裕司に返すと決めていた俺は、そう思った。
『こんな過去が無ければ』と俯、き更に憂鬱になってしまう。
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