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プロローグ
しおりを挟む人生とは長いようで短い。
だから、その人生を悔いのないように生きて。
最後は良かったと思えたらそれは幸せだった事だと大姑が教えてくれた。
「人生、辛い事の方が多いわ。でも真面目に正直に生きて間違いなんてことはないの」
「はい」
「貴女は確かに器用ではないし、抜き出て優れているわけではないけど…人様を幸せにできる素敵な贈り物を神様にいただいているの。それを忘れないでね」
私が結婚して嫁いだ時に義祖母が言ってくれた言葉だった。
姑である義母とは毎日が戦いだった。
だからこそ、精神的に辛いときは大姑である義父母が間に立ってくれて私は救われていたと思う。
だから、大姑である義祖母が介護状態になった時、お世話を任された時は快く受け入れた。
ずっとお世話になったし、恩を感じていた。
「私は反対だわ」
「私もよ」
けれど、長男の嫁である私でも他人であることから義母と義姉は断ったのだけど夫が断固として譲らなかった。
「何でだよ?家族だろ?」
「私が言いたいのはそうじゃなくて…」
「お義母様は…」
義母は色々と厳しい人であったけど、義姉まで反対して来たので、正直私がダメな嫁だからなのかと思った。
だから精一杯頑張った。
けれど、介護と育児と家事に追われた私は日々の余裕は無くなり。
「おい今日の飯はなんだよ!作り立てじゃないのか」
「昼間からお義祖母様のリハビリの付き添いをしていて」
「何の為の専業主婦だよ!家にいて楽している癖に!」
専業主婦は何もしなくて楽。
何時の日か夫はそういうようになり、言葉も減って行くようになった。
私も疲れていたから家事を疎かにしてしまったのがいけなかったのか。
この時は夫の変化も気づいていなかった。
「ママ?」
「起こしちゃった?ごめんね」
まだ二歳の娘はキョロキョロあたりを見渡す。
「ばーばは?ばーばとねんねする」
「ごめんね?ばーばは今お泊りしているの」
私が泊りでお世話をする日が多かったので娘も一緒に連れて行くことが多くなった。
それからだろうか。
夫が出張だと言って頻繁に家を空けるようになったのは。
そして余命一年と言われていた義祖母は十年間生き。
最終は杖歩行ではあるが、一人で歩けるまでになって回復はしたけど病気の完治は出来ず家族に見守られる形でこの世を去った。
そしてその葬儀が終わった数日後。
「この家から出て行ってくれ。離婚しよう」
三行半を突きつけられてしまった。
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