3 / 117
第一章
2誤解
しおりを挟む聖女であるから過度な着飾りは必要ない。
数年前は素朴でありながらも美しさもあったのだ。
「あいつは聖女を誤解しているんじゃないか」
「申し訳ありません。私の不徳の致すところでございます」
現在公王女宮にて。
ワインを届けに来ていたのだが、最近の聖女の取り巻きを心配していた。
「テレサも何を考えているのか」
「はい」
最近は二人きりで会うこともない。
先日は魔物討伐に闇ギルドの摘発にも参加していたのだから。
「来週、王家のパーティーが行われるわ」
「パーティー?」
「遅くなったけど帰還パーティーを我が国で行うの」
隣国の勇者御一行が魔王軍の討伐を終えた後に復興活動に後始末に追われていた。
「現在我が国も魔物の影響でめやくちゃよ…先を読めない貴族が税金を増やせばいいと馬鹿な事を」
「それは無理でしょうね」
「ええ、なのに剣で脅そうとしているわ」
王女メティスは聡明な姫だった。
第一王位継承権を持ちながらも大臣からは公爵家を婿に迎えるべきだと言っているのだが。
「聖女にご執心なのは私の馬鹿婚約者もだけどね」
「殿下…」
「そうそう、取り巻きの一人が婚約者とのデートをすっぽかしてテレサに会いに行ったそうよ」
聖女として完全に目覚めてからはヘリオスをはじめ傍にいる貴族達はおかしくなった。
いかに聖女でも婚約者をないがしろにしていいわけではない。
「最近では真実の愛ブームらしいわ」
「最悪なブームではありませんか」
「ふふ…ロマンス小説では公の場で婚約者をつるし上げにするみたいね。本当にそんなことしたら破滅なのにね?」
騎士と姫君の物語が主流だったが、今では真実の愛のために何もかも捨てて生きていく物語が流行している。
「他国では婚約者を悪女に仕立て上げる鬼畜外道な真似をするそうね」
「殿下、そのような過激な」
「だって、情報を入手するのは必要でしょう?でも、狂気の沙汰ってこういうのを言うのね」
笑っているが目が笑っていない。
「食料に関しては我が領地の玄米に麦を配給いたします」
「助かるわ」
「ただ品質が…」
貴族が口にするには美味しくないのだが、食糧庫も危ないのでそんなことは言ってられない。
「飢え死にするよりいいでしょ?本当に惜しいわ…」
「はい?」
メティスの表情にキョトンとするソフィア。
「まぁいいわ。今度のパーティーはお酒よりも料理をたくさん出したいの。隣国の王女殿下はパイが大好物なのよ」
「珍しいですね」
「ええ、昔クラエス家の特産物のレモンパイを見せびらかしたのよ」
「何をされているんですか」
完璧な王女であるかが時々お茶目だった。
庶民的な思考を持ち合わせ、豪華な食事よりも手づかみの食事を好むのは国王の教育の賜物だった。
その為護衛騎士に宰相は胃薬を持ち歩いているのだが。
「よろしくね?」
「はっ…はい」
そして無茶ぶりも国一番だ。
しかしそのパーティーでとんでもない騒動が起きることになるのだった。
265
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜
有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。
「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」
本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。
けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。
おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。
貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。
「ふふ、気づいた時には遅いのよ」
優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。
ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇!
勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
追放された侯爵令嬢の幸せと、彼女を捨てた者たちの末路
桜塚あお華
恋愛
王太子の婚約者として王政を支えてきた侯爵令嬢であるセレスティア。
誇りと責任を胸に国政に尽くしてきた彼女だったが、愛人に溺れた王太子により婚約を破棄され、反逆の濡れ衣を着せられて国外追放されてしまう。
全てを失い、辺境の地で命を狙われたセレスティアは、一人の男――平民出身の将軍・カイに救われる。
彼は彼女の過去を知らず、ただ人としての強さと優しさを尊重し、愛し始める。
一方、セレスティアを追い出した王太子と王妃、貴族たちは、彼女のいない国を操ることに失敗し、ゆっくりと、だが確実に滅びへの道を歩んでいく。
これは、復讐しない令嬢が手に入れる、
真の愛と幸せな居場所の物語。
そして彼女を捨てた者たちが辿る、因果応報の末路の話である。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
妹に幸せになって欲しくて結婚相手を譲りました。
しあ
恋愛
「貴女は、真心からこの男子を夫とすることを願いますか」
神父様の問いに、新婦はハッキリと答える。
「いいえ、願いません!私は彼と妹が結婚することを望みます!」
妹と婚約者が恋仲だと気付いたので、妹大好きな姉は婚約者を結婚式で譲ることに!
100%善意の行動だが、妹と婚約者の反応はーーー。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる