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6.反撃の序曲~辺境伯爵夫人side
しおりを挟む陛下から国外追放をされたユーリとアイリスの事は心配であるけど、手は打ってあるわ。
表立って行動できないけど、きっと大丈夫。
「ビアンカ、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫ですわ」
夫が私を気遣うけど、まだ油断できないわ。
感情を表に出せば負け、だから私は最後まで哀れな貴族夫人を演じなくては。
息子を勘当し、国外追放の身になった哀れな母。
「ウィンディア辺境伯爵夫人、どう責任を取られるおつもりですか!これでは…これでは!」
愚かにも我が家だけを責め、ヒステリックに悲鳴を上げるなんて愚かね。
ここを社交場だと知っているのかしら?
なら利用させていただくわ。
「私の息子の不徳の致す事。私が無理矢理な婚約の入れ替えを何が何でも止めていれば…そうすれば二人は駆け落ちなんてしませんでしたのに。申し訳ありません」
「なっ…何を」
「幼い頃より私はアイリス嬢を大事にし、守るように厳しく言って聞かせました。それがこんなことになるとは」
「もう良い。お前だけが悪いわけではない」
「貴方…」
私に寄り添う夫は優しく抱き止める。
「我が家は代々、聖騎士を輩出して来た家柄だ。私も騎士の端くれだ。不義を行うな。一度愛した妻は最後まで愛せと教えて来たのだ。こうなる前に平和的解決もできただろうに」
「貴方!」
遠回しにイライザとの婚約を断れば良かった事をアピールよ。
「よく考えれば、ユーリ様はご自分の信念を貫いたのよね?」
「そうよね。さっきからウィンディア家を責めているけど。イライザ様はどうなのかしら?」
「妹の婚約者を無理矢理奪うんなて…」
「駆け落ちでもしないと無理矢理結婚させられたでしょうね…お二人共お可哀想に」
耳に入って来るのはステンシル侯爵家の非常識な行動と誹謗中傷だった。
対するウィンディア辺境伯爵家には同情の声が強くなっている。
「被害者なのはどう見ても…」
「被害者はウィンディア辺境伯爵家よね?なのに責めず詫びているなんて…なんて立派なの」
「流石、皇族の血を引く方ですわ」
既に貴族夫人の味方は我が家にあり。
自分の非は一切認めないで言いたい放題させ私が下手にでることで軍配は私に挙がったわ。
(フッ、ちょろいわ)
この私を誰だと思っているのかしら?
シメリス帝国の第二皇女でもある私を侮って貰っては困るわ。
私はシメリス帝国から降嫁したけど、外交官でもあるのよ。
高位貴族の妻でしかない女に私が負けるはずがない。
「ビアンカ様に引き換え、侯爵夫人の態度はどうなのかしら」
「そうよね、一方的にユーリ様が悪いなんて理不尽よ」
ヒソヒソ囁くもしっかりと聞こえる非難の声にようやく気付いたのか、自分達がどれだけ愚かな真似をしたのか。
「けれど、素敵よね」
「不謹慎だけど、地位も何もかも捨てて婚約者を選ぶなんて」
「私もあんな風に愛されてみたいわ」
若い令嬢は二人を羨んでいた。
こうなれば、数日の内にどうなるかなんて解りやすいわね?
私を怒らせた代償は甘くないわよ。
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