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第一章
13.見つけた君~ローレンツside
通常の仮面舞踏会は如何わしい場所であるが、若い世代も参加するだけあって健全だった。
警備が数名いるので、会場内で狼藉を行えばすぐに拘束されるだろう。
「いいか、慎重に行動しろよ」
「心配しなくても社交界で僕の顔を知っているの人間は少ない。なんせ幼少期の頃の僕しか知らないんだからな」
「念のためだ。令嬢に襲われそうになったら逃げるんだぞ」
ディーノ。
君は俺の母親か?
これでも自分の身は自分で守れるんだがな。
「お前は中世的な顔をしているから心配なんだ。世間は美少年好きな質の悪い男が多いんだ!お前はアホ貴族達と違って奥手だからな」
「頼むからそれ以上言わないでくれ…切なくなる」
確かに夜遊びも経験していない僕を心配するのは解る。
駆け引きもできないような初心だから大公様にも散々心配をかけているけど。
「はぁー…お前を見ているとアリアお嬢様の事を思い出すよ」
「アリアお嬢様?」
「ああ、お前が尊敬する聖女様の息女だ…だが、あの方は高貴な立場でありながら周りから酷い噂を流され、あげくの果てに聖女様が早く亡くなられたのは彼女の所為だと馬鹿なことをいう者がいる」
なんて酷いことを!
聖女様がお亡くなりになったのは元より強大な魔力を持つがゆえに寿命が短いのもあるがそれだけではない。
「魔力を持たない子が生まれ、兄君は体が弱い事で馬鹿共は徹底的に彼女を攻撃した。公爵閣下も最初は噂を消すべく奔走したが、過度に庇い過ぎて更に令嬢を攻撃しようとする馬鹿が出て来たんだ」
何故だ?
公爵令嬢で、元皇女殿下のご令嬢ならばそんな無礼は不敬罪だ。
「一部で噂が流れているんだ…彼女が妾腹の子ではないかと」
「なっ…」
「根も葉もない噂だが、貴族派がその噂を利用したんだ。アリアお嬢様自身も幼少期は領地で過ごされたこともあり、当初は宮廷貴族とのやりとりに慣れていなかったと思う。幼い頃から病弱の兄に代わり執務を代行していたからな」
悪い条件が揃い過ぎていた。
本来ならば母と一緒にパーティーやお茶会に参加しながら学ぶはずだったが、それもできず。
偽りの噂を流された裏には黒幕がいるようにも思える。
皇族派でありながらも穏健派を突き通すセレンティア公爵を邪魔に思う者達がまずは娘を潰したいと思うはずだ。
噂を消そうにも過度に庇えば、更に状況は悪化する。
だが、本人はどう思われているのだろうか。
「アリアお嬢様にも問題はある。あの方が戦う意思を持たなくてはならない…美貌や才能などの云々以前に。戦う覚悟ない者は殺されるだけだ」
「ディーノ…」
「彼女自身が受け身では何も変わらないさ」
ディーノ言っている事は正しい。
そしてその言葉は僕自身にも言われているのではないかと思いながらダンスホールに向かった。
複雑な感情を抱きながら仮面をつけながら周りを見渡した後。
外の空気を吸いたくてバルコニーに向かうと夜のように美しい髪を靡かせる少女が空を見上げていた。
この時僕には解った。
彼女だと。
運命の女神は僕に微笑んでくれたのだと思った。
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