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第二章
15.兄の思い~レイモンドside③
私は直ぐに信頼の置ける使用人に手紙を送り、アリアの現状を伝えた。
言うまでもなく。
「何だと!お嬢様に虐待だと…クズ侯爵が!ぶっ殺してやる」
「いくら帝都内の薬草を管理していると言えど…こんな卑劣な事をするのが医師のする事ですか!人としても許しがたい事です」
「私のお嬢様にこのような無礼を…おかしいと思ったのです!お嬢様からここ何年も手紙が途絶えていましたし」
ばあやも不信に思いながらも何度もハント家を調べていたそうだ。
何処まで腐っているんだあいつ等は!
こっちが大人しくしていれば調子に乗って。
背後にジョバンナ妃がいるからやりたい放題して、私が形だけの跡取りと思って侮っているようだな。
敵国との外交問題もジョバンナ妃が仕組んだに決まっている。
あの女は外国との貿易を良く思っていないからな。
シンシア皇女派を失墜させ、尚且つ自分が皇后になろうと思っている。
だが第一皇妃でもない限り皇后の代わりは務められないし、元はただの側妃でしかない。
何よりあんな傲慢な女が皇后になれば終わりだ。
「既に調べさせている…ガーナは貴族派と通じて皇族派を潰すように動いている」
「ジョバンナ妃もグルでしょうか?」
「可能性は高いが、皇帝陛下はこれまで貴族派と皇族派の諍いが激しくならないように気を配っていた。故に私も強く出れなかったが…正当な理由を見つけた」
「では!」
少しばかり時間がかかったが、ハント侯爵家と我がセレンティア公爵家が完全に縁を切る手段が見つかった。
そして私自身も。
「アリアとあの屑を婚約解消させる。ただし…あくまで向こうの過失があったことを公に見せつけなくてはならない。そうすればアリアの傷は最小限で済み、尚且つジョバンナ妃を失脚させられる」
普通に婚約を解消してもジョバンナが自分のいいように捲し立て、しかもエイミールの不義をアリアに魅力がないとか言って婚約を続行させるだろう。
そうならないように先手を打たなくては。
あの女は非常に悪質な手を使って来るだろうし、それにハント家の医師から治療を受けている恩を仇で返すのかと言われてしまえばアリアは動けない。
「しかし、医師はどうなさいますの?」
「確かに…帝国内の医師や薬草はハント侯爵家とジョバンナ妃の手中にあります」
彼等との関係を断ち切ることは治療を続行できない事を意味していた。
「覚悟の上だ…」
「レイモンド様!」
「妹を犠牲にして生きる等できない。もしここで死ぬならば…いや、私は諦めない」
他に方法はあるはずだ。
とにかく今は早急にアリアを救う事を最優先に考えマミーやばあやを帝都に向かわせることにした。
そして二か月後。
私の元にある方が訪れた。
「ご無沙汰しておりますレイモンド殿」
「殿下…」
第一皇子のローレンツ殿下だった。
十年以上も疎遠状態になっておられたローレンツ皇子殿下の訪問に驚いた私だったが、更に驚かされることになるのだった。
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