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第二章
25.美の伝道師
どうしてこんなことになったんだろうか。
「きゃああ!なんて可愛らしい方!」
「もう!アンディーったら独り占めは許さなくてよ!」
現在私は女性の装いをした男性に囲まれている。
体は男性、心は永遠の乙女を豪語する方達はファッション界でも有名な方達でもある。
「皆さん、お相手は公女様で…」
「結構よ。ここは私のサロン。ルールは私よ」
ああ、シシィー様。
女王様を発揮して、無礼講を命じていらっしゃる。
「流石シンシア様ですわ。なんて美しい髪なのかしら?」
「いやん、真珠のような肌」
「「きゃあああ!」」
私に逃げ場はなかった。
宮廷一の髪結師、ハリス・フィール。
愛称ハリー様。
女性の髪を美しさせることにかけては彼女の右に出る者はいない。
ちなみに女性というのは本人が乙女だと言っておられるかららしい。
その隣で化粧箱を取り出すのはレニオル・ダ二―様事、愛称レニー様。
彼女もまた、宮廷一番の化粧師であることで有名だった。
性別は男性であるが自称乙女で二人は美の女神様とも呼ばれている。
「なんて素敵なの…憧れのシャイン皇女様のようだわ」
「あの方は私達の憧れ。私達の女神様」
うっとりした表情でお母様の事を話す二人に驚く。
「お二人は元は母君の側近よ。まぁ、何を間違えたのか、あそこを切り落として宦官になったのかは知らないけど」
「世の中知らない方が幸せと言う事もありますから」
聞いてはいけない気がした。
うん、私は何も聞かなかった事にするのが賢明な判断だと思った。
「なんて美しい御髪なのかしら」
「理想的だわ。完璧だわ!」
何が完璧なのか。
二人は何やらヒソヒソ話しているけど何を話しているのかしら?
「私いい事を考えましたのよ?」
「奇遇ですわ殿下、私も」
「私もですわ」
「全員一致ですわね」
何故だろうか?
ものすごく嫌な予感がした。
「、この後大規模な舞踏会に参加する予定ですの。招待客はそろって高位貴族から下級貴族まで参加しますわ。派閥も関係なく…しかも我が帝国の同盟国も参加してますのよ」
「はっ…はぁ」
「そこで考えましたの。謎の美女が颯爽と舞踏会に参加して、殿方の視線を奪うのですわ」
「ええ!」
嬉しそうににっこりと笑顔を見せるけど、その笑みは幼少の頃から悪戯を思いついた時のものだった。
「シシィ様、いくら何でも無謀です」
「やって見なくては解らなくてよ?この際だからちょうどいいですわ。皆さんよろしくて?」
「「「お任せを!」」」
お任せをじゃない!
何故かドレスを見せるアンディー様にハリー様は櫛を取り出す。
そして私は逃げる術もなく仕立てられてしまった。
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