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第三章
15.付与衣
試合が始まる前に私はローレンツにマントを差し出した。
「これを」
「マント?」
「私のスキルで作りました。付与魔法を施してあります」
魔力の低い私が作った物ではたいした防御にはならないだろうけど、身を守る程度はできるはず。
とはいっても攻撃魔法を何度も受ければ意味がないのだけど。
「どうか、ご無事で」
「君に誓う。必ず陛下に君との婚約を認めてもらう」
「ローレンツ」
エイミールに負けるとは思っていないけど、不安が消えない。
どうしてこんなに不安になるの?
何か仕掛けてくるのではないかと疑心暗鬼になってしまう。
「アリア、どうしたんだ」
「エイミールが貴方に勝つとは思いませんが、何の策もなくこのような無謀な勝負に出るとは思えない」
ハント侯爵家が何か仕掛けてこないか心配でならない。
このタイミングで武道大会にエイミールを送ったというのであれば何か仕掛けてくるのではないか?そんな心配をしてしまう。
「そうだな。エイミール自身ではなく、ハント侯爵家が何かを企んでいるのは確実だ。だからこそ君は絶対に一人にならないでくれ」
「はい」
「試合中は君を守ることができない。シンシアの傍にいればそこまで危険はないだろう…」
何も起きないと思いたい。
でも、それ以上に気になったのは。
「シャロンの姿が見えないのです」
「え?」
「エイミールが参加しているのにシャロンの姿がないのです」
公の場であそこまで恋人前言をして、自分こそがエイミールの運命の相手だとも言っているのにだ。
「確かに、エイミールがこの大会に参加しているのであれば、ハント侯爵家も彼女の狼藉を許したと思うだろうが、妙だ…そもそもジョバンナもガーナ夫人もそんな甘い人間だろうか」
「だからこそ、これから何か起きないか心配なのです」
ハント侯爵家は今立場が危うい状況にある。
私達の婚約は表向きは解消になっていても、向こうに過失があるので実質、婚約破棄と受け取られているのですから。
当然の事なのですが、ハント侯爵家から抗議の声が上がっているとお父様から聞かされているし、婚約解消を解消したいと勝手な事まで言っているそうだ。
「今までやりたい放題して来たんだ。自分達がどれだけ危ない橋を渡っていたか気づいたんだろう」
ジョバンナ妃は側妃とはいえど、正妃になることは難しい。
だからこそ王族と婚姻して立場を上げなくてはならないかったのだけど、数々の失態で既にハント侯爵家の評価は堕ちる所まで堕ちていた。
ハント侯爵家を後ろ盾にしていたジョバンナ妃からすれば思わぬ事態だったはずだ。
だからこそ巻き返しを狙のだろうけど。
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