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第三章
19.沈む太陽
まだ昼前なのに一瞬で夜になるなんておかしい。
日食の日ではないのに、どうしていきなりこんな事になったのか。
「きゃあああ!」
「揺れる…地震よ!」
地面に皹が入り大きな揺れを感じる。
震災ではなく故意的に起きているようにも思えてならない。
「空が…」
「なっ…!」
暗くなった空を見上げると微かな灯が見えた。
見上げた空に多くの魔獣が空を飛んでいる。
「馬鹿な…そんなはずは」
「何故魔獣が!」
ありえない。
魔獣が一気に集中しているように見えた。
その時だった強い風が空を飛ぶ魔獣を抑え込んだ。
「この風は…」
「ディーノ!」
まるで結界が魔獣を抑え込むようにした風が私達を守ってくれた。
同時に声が聞こえた。
『国王陛下、並びに王侯貴族、騎士団に緊急事態を報告いたします。黒竜の逆鱗を持ち出した者がおります』
「何だと!」
ディーノ言葉に私は目の前が真っ暗になった。
黒竜とは破壊の神でもあり、遠い昔に封印された竜だった。
その逆鱗を使えば魔獣を凶暴化することできる。
一部ではその逆鱗を使って魔獣を従属させようとする人もいるけど、魔獣を完全に操る事など不可能だった。
何故なら黒竜の逆鱗により性格が凶暴化してしまうからだ。
『その者は武道大会に混乱を招き、皇族の暗殺を企てました。後に魔獣は暴走し、競技場を襲うでしょう。警備隊、魔導士団に告ぐ!速やかに皇帝陛下、並びに皇女殿下の警護を…そして観客の避難を行い臨機応変に対応せよ!』
「ディーノ!誠か!」
玉座に座る陛下が声を上げる。
そのような事をする者がこの神聖なる行事に乗じてするなんて信じたくなかった。
一体誰がこんんあ事を…
『皇帝陛下、残念ながら誠でございます。罪人の名はシャロン・ウィンドン伯爵令嬢でございます』
「シャロンですって!」
「なんという馬鹿な真似を…」
いくら何でもやり過ぎだわ。
何故こんな真似をしようとしたの?
どうして…何がそこまで貴女を魔に取りつかせようとしたの。
「アリア、今は」
「はい…すぐに陛下、皇女殿下の避難を最優先に行いながら結界の強化し、観客の皆様を最優先に批難していただきます」
悩んでいる暇はない。
怯えている暇はない。
立たなくては…。
今すべきことをするのよ。
怯え逃げる人達は完全に冷静さを無くしている。
今焦ってはならない。
「ディーノ結界とて長く持たない。なんとかして魔獣を鎮めなくてはならない」
「魔獣を鎮める…」
興奮状態の魔獣達の標的をこちらに向かわせるしかない。
「やめろぉぉ!来るな!」
考え込む間に魔獣は結界を壊そうとしている。
「致し方ない、アリアは結界の中に」
「ローレンツ!」
「大丈夫だ」
剣を抜きローレンツは魔獣の元に飛んで行ってしまう。
いくら何でも無茶だ。
だけど、私が今すべきことは決まっている。
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