【本編完結】婚約者には愛する人がいるのでツギハギ令嬢は身を引きます!

ユウ

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第三章

38.両親~シャロンside①




調度品もない、窓があるだけの部屋。
部屋の向こう側には常に私を見張る警備隊が私を見張っていた。

両親との面会も許されず、会えたのは警備隊に拘束されたあの日だけ。



――武道大会の日。


パァン!


「この馬鹿者!」

「シャロン!貴女って子は!」


お父様に殴られ、お母様には軽蔑の眼差しを向けられた。

「貴女はなんて事を…公爵令嬢に無礼を働き、あまつさえ暗殺まで企てるなんて。なんて恐ろしい子なの!どうしてそんな恐ろしい娘に育ったの」

「あれ程注意したはずだ。いくら親族と言えど、エイミール様は侯爵家のご子息でアドリア―ナ様の婚約者だと幼い頃から言ったはずだ…それを」

「どうして!私とエイミールは愛し合っていたわ。後から卑怯な手で奪ったのはあの女よ」

「シャロン!」

パァン!

「きゃあ!」

今までお母様に殴られることはなかった。
なのにどうして?

「ガーナ夫人の好意で貴方をハント家に預けたのが間違いでした。貴女を可哀想だと憐れんでくださったからこれまで甘えさせていただきましたが」

「最初から間違いだったのだ。領地から出すことなく、成人した後は修道院に入れるべきであった。どうせ嫁ぐことはできないのだから」


「何を言っているの?」

私は幼い頃からエイミールと相思相愛だったのよ。
真実の愛で結ばれていた私達は、一時は別れていただけに過ぎないわ。

「お前は子供のままごとをずっと続けるつもりだったのか?本当にお前が侯爵夫人になれると思ったのか?後ろ盾もなく、学校にも通えないお前が…」

「社交界の噂に踊らされ、貴女はどれだけの恥を晒したか…若い世代はもてはやすが、真実の愛など恥さらしだ。我ら貴族は皇帝陛下の許可なしに婚姻は許されない。あの方は陛下の姪であり、前皇女殿下の唯一のご令嬢だ。そのご令嬢を幼少期から侮辱し続けていたなんて」

「公爵家から手紙を頂き、アドリア―ナ様から頂いたと言っていたドレスは無理矢理奪った物だと聞かされた時の私の気持ちが解りますか…本来なら不敬罪で済まないのを情けをかけていただいたのよ」


無理矢理なんて奪ってないわ。
いいじゃない、沢山持っている内の一着ぐらい。

「あんな古臭いドレスぐらい…」

「そのドレスの中に母君の形見もあったそうよ。一着で島一買えるぐらい。いいえ、お金の問題じゃないわ。貴女はアドリア―ナ様と母君の思い出の品を無理矢理奪ったのよ」

「返そうにも、既に処分したとエイミール様からも聞かされている。何処まで腐ったのだ。成人した後にすぐにでも領地に連れ帰れば良かった…こんな恥さらしに育ちぐらいなら」

「私達は罪を償う為に、裁判が終わった後は一生償うつもりです。領地も財もすべて返上するつもりよ」

「そんな!」


どうして私を責める事しかしないの?
ドレスだってまた買いなおせばいいのに、形見だって言えば、無理に奪わなかったわ。

あんな古臭いドレス。

大体、ここまでするなんてなんて最低な女なの?
私を友人だと言ったんだから許してもらえるように働きかけなさいよ!

私は悪くないのよ。

ちょっとした意地悪をしただけなのに!


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