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第四章
1.踏み外した道~エイミールside
数ある貴族の中でも名門貴族の嫡男として生まれ、これまで多くの宮廷医師を輩出したハント家はただ名前だけの貴族ではなかった。
母方の姉のジョバンナ伯母上は若くして側妃として選ばれ、母も社交界では有名だった。
我がハント一族は皇族の親族に当たり、強い発言力を持っていた。
現在は第一帝位継承権は第一皇女殿下にあるが、女性が帝位に就くなど論外だ。
そうなれば俺が次の皇太子に選ばれる。
その為にも、後ろ盾が必要だった。
幼少期に婚約を結んだ相手は、血筋だけで言えば誰よりも優れているだろう。
しかし病弱な嫡男と、魔力も加護もない令嬢だった。
母上は哀れに思ったのか、嫡男に我がハント家の優秀な医師を紹介してやった。
度の道、長くは生きられないし。
それに、婚約者である俺が公爵家を引き継ぐことになるのだ。
だからこそ、最初は優しくしようとも思ったが。
幼くして領地にて静養していた、レイモンドは己の博識をひけらかすような男だった。
ベッドに横たわり暇を潰すのが読書だっただけにすぎないのに、そんな自慢をして愚かだと思った。
貴族の子息として学ぶべきことは他にもある。
成人式も出れず、婚約者もいないような男は一人前とは言えない。
にも拘らず俺の婚約者アドリア―ナは、兄を優先した。
婚約者よりも兄を優先するとは、やはり母親が早く亡くなり常識がないのだと思った。
婚約当初からも母上に良く言われていた。
「いいですか、エイミール」
「はい」
「アドリア―ナ嬢は、早くに母を亡くした故に、常識が欠けています。身分だけで言えばお前の方が下ですが、夫となるお前が教え導くのです。決して下に見られてはなりません…いいですね」
「かしこまりました」
皇帝陛下の姪というだけしか付加価値がないアドリア―ナに俺は、常識を教えるべく。
女がでしゃばることは恥ずべきことだと言う事を教えた。
最初は反抗的な目を見せるも、元より従順な性格だったので、次第に俺の言うことを理解するようになった。
そんな折、父の遠縁で俺の幼馴染であるシャロンがハント家にしばらく滞在することになった。
「シャロンの面倒を見てあげなさい」
「はい、母上」
幼い頃から一緒に過ごし、弱いシャロンを守ってやるのは俺の役目だった。
美しく少し、世間知らずな一面はあれど、俺しか頼る人間がいなかったのだから守るのは当然だ。
けれど、幼い頃の関係のままではなかった。
「エイミール…私は貴方が好きよ。幼馴染としてではなく」
「シャロン、これ以上は言ってはダメだ。俺は婚約者がいる身なんだ」
幼い頃からシャロンは俺を愛していた。
俺も友人以上の感情は持っていたが、この時からだろうか。
シャロンへの思いを自覚したのは。
しかし俺とシャロンは結ばれない運命になる。
そう思うと皮肉でならない。
だが、そう思えば、思う程に互いの思いは強くなり。
何時しか激しく愛し合う様になっていた。
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