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89癇癪
しおりを挟むこの男に何の感情もない。
何を言われても気にならないし、どうなってもいいと思っている。
だって知ってしまったから。
愛されることを。
「私の居場所はもうあります」
「何を言っているんだ!良く俺を見ろ…」
「臭い」
「はっ?」
私に至近距離で近づくとするも私は三歩下がる。
「何なのこの異臭は…腐ったパン?いいえ、腐った魚の臭い」
「なっ…」
体に振りまかれた香水かしら?
「うっ…」
「アンリ、だ丈夫か」
「アレク、耐えられない」
ハンカチで口元を抑え込みアレクにしがみつく。
「何を言っている…アンリ」
「近づかないでくださる?人妻に…しかも妊婦に近づくなんて」
「は?」
気持ち悪くて死にそう。
臭いに敏感になっている私にとってこの異臭は最悪だわ。
「大丈夫か…可哀想に」
「パンデミック殿、貴方は何所まで非常識なのです。身重の女性を怒鳴るとは…本来なら彼女は同行させたくなかったのですが…最後に一度だけと思ったのですよ」
「子供…妊娠」
「腹の子はギョームの子だろう!でかした!」
うわぁー…
ありえない。
勝手に想像して勝手に喜んでいる。
「残念ですが、パンデミック殿は不妊です。鑑定士に調べさせましたが、他の女性と複数回による肉体関係を持っていても子はできなかったそうで?」
「何を!」
「これは鑑定書です。ちなみに妻の子は私の子である鑑定もしている。疑うなら自国の鑑定団体に問い合わせてみるといい…ちなみに処女ではない加護持ちとの性行為は男性側にリスクがありますから」
「嘘だ…そんな」
「信じるのは貴方しだいだ」
やっぱり知らなかったんだ。
でも、私と婚約中に堕胎効果のあるワインをガバガバ飲んでいたし。
他にも不妊になりやすい珍味を食べてるのを見かけたけど。
「ふっ…ふざけるなぁぁぁ!」
「アンリ!」
今度は逆上して来たギョームは剣を私に振り上げようとした。
王に関してはにやりと笑っている。
私の子供を殺す気かとも思ったが…
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好き放題を言いながら襲い掛かろうとした最中。
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地面に螺旋が描かれ、地面から電流が流れだす。
「ぎゃあああああ!」
私達は結界に守られ、尚且つギョームは剣を突き立てているので電流をもろに直撃した。
「ねぇ…これ何?」
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