自称悪役令嬢は嫌われるべく暗躍する!皆の幸福の為に嫌われるはずが、何故か愛されてしまいました。

ユウ

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第一章

9破天荒な婚約者

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物心つく前から多くを望まれた。
王太子である以上は仕方ないと思う様になったのは何時だったか解らない。


母に頭を撫でて貰った記憶はほとんどない。
王太子である以上は、仕方ないと思う酔いになった頃僕は全てに冷めていた。


何も望んでは行けない。
相手に望まれても僕は誰かに期待してはならないと思うようになった。



だけど、この窮屈な生活をぶち壊してくれたのはレティーだった。


「殿下!今日はぱぁーっと派手に楽しみましょう」

「お嬢様!」

「折角の誕生日なのに本ばかり読んでいては不健康です」


婚約者のレティシア・アシュリーは規格外の令嬢だった。
長らく辺境地に住み、僕との婚約の為に王都に移り住んだようだけど。


顔合わせの当初は、鼻血を出して気絶するという衝撃的なものだった。

しかし、後から毒殺未遂事件に発展していたと聞かされた。
巻き込まれたのは辺境伯爵の親族の令嬢を犯人に仕立て上げようとした。

無実の人間を罪に問えばアシュリー侯爵の立場が危ぶまれる。
そして辺境伯爵を完全に敵に回せば王家の立場も悪くなることは明白だったが。


彼女は父親を咎め、巻き込まれた令嬢を庇った。
高圧的に振舞おうとしていたが、あれは無理に虚勢を張っているように見えた。


手が震えていた。

庇われな令嬢は涙ぐんでいた。
その後に王家に乗り込んで来た辺境伯爵はレティーに恩を感じたのか、彼女を王太子妃に望んだ。


本人は自覚がない。


そう、まるで自覚がなかった。


「今日は乗馬で遠出ですわ!フレデリカ様が新しい特産物を考案されましたので食べに行きます!食べ歩きですわ」

「お嬢様、また旦那様に叱られます」

「フッ、お父様のお説教なんて日常茶飯事よ」


いや、本当にブレないな。
勝ち誇っていう事じゃないだろう?


「私は王都に来てからお父様に叱られない日はないわ!」

「威張らないでくださいませ。領地ならばともかく、王都では…」


これまで完璧を求められ続けた僕とまるで異なる彼女。
でも、彼女の行動は奇怪であれど、筋は通っている事が多かった。


「フレデリカ様のご実家が新たな特産物を作ったのであれば友人として宣伝しなくては!」

「食べたいだけでは?」

「食べたいわ」

「隠す事はしないんだね」


まずは考えてから行動する僕とは異なり彼女は本能のままに動いている。
いや、多少は考えているのだが、その考えが僕達の想像を超える所まで来ているのだが。


「それに殿下は王都を出た事がないと伺いましたの。これは大問題ですわ。一国の王子が外の世界を知らないなんて損ですわ」


誰からも羨ましがられて来た僕が損だなんて言った人間は彼女だけだった。
全てを知ったつもりでいた僕だけど。


この時からだった。
僕がどれ程狭い世界で生きていたか知るのは。

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