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第二章.新たな婚約
21.完璧な家族
しおりを挟む私の名前はマリアナ・シャリエール。
名家の家柄で伯爵家の長女。
我が家は大恋愛の末に結婚し、社交界でも有名で完璧だった。
仲睦まじい両親に姉妹は仲が良かった。
ただ一つだけ完璧ではないのは、私のすぐ下の妹が出来損ないだったことだ。
我が一族にとっては汚点でもあるけど、私達は可哀そうなオリヴィアを蔑ろになんてしない。
だって完璧なのだから。
才能も美貌もなく、ただ努力するしかないあの子は本当に可哀そうな子だった。
優秀な姉と強い魔力を持つ妹の狭間で周りから罵倒を浴びせられて、本当に可哀そうだと思った。
だから庇ってあげた。
人前に出るのが苦手なあの子は社交性のかけらがないから家のことをさせて、社交界に出さなかった。
シャリエール家の娘が魔力が無い、出来損ないだったと知れば恥をかくし、オリヴィアも辛い思いをする。
全ては、あの子を守るため。
姉として妹を守って上げていた。
そんなこともあってか、社交界では妹思いの姉と思われるようになったけど。
何時からだったか、ベアトリスが可笑しなことを言うようになった。
「どうしてお姉様も一緒じゃダメなの?」
「今夜のパーティーは王族の方も参加なさるのよ?恥をかくじゃない」
「マリアナ姉様は、お姉様がいると恥だと言うの…酷い」
「ベアトリス、これはあの子の為なんだよ」
まだ幼いベアトリスは何も知らず思ったことを口にした。
ずっと病気で外に出ていなかったら教養が無いのは仕方ないけど、私はオリヴィアの為にしているのに、どうしてこんな酷いことを言うのかしら?
「そうよ、魔力がほとんどなく、奥ゆかしいあの子が粗相したらどうなるの?」
「お姉様はそんなことしないわ。だって…」
「何も知らない子供が知ったような事を言うんじゃありません!悪い子ね…オリヴィアは妹の面倒も見れないんて」
多忙な両親に代わり家の奥向きの事はオリヴィアに任せていた。
領地経営の勉強をしながら外に出れないベアトリスの面倒も見ていたけど、我儘に育て過ぎだわ。
「そんな…酷いわ。どうしてお姉様を苛めるの。マリアナ姉様はお姉様が嫌いだから何時も酷いことを言うのね」
「なっ…いい加減に!」
ベアトリスの言葉はあまりにも酷く許せるものじゃなかった。
私はオリヴィアの為にしてあげているのに。
大体人付き合いが苦手なのも、淑女として至らないのもオリヴィアが悪いのよ。
私は可哀そうなあの子を守って上げているのに。
ベアトリスは勝手に勘違いして私を侮辱した事が許せなかった。
我が家で最も強い魔力を得ただけで他には秀でたものがない癖に。
オリヴィアはまだ可愛げがあった。
あの子は自分の立場を弁えて大人しくしていたけど、幼いベアトリスは自分の立場を弁えていない。
だから、躾けなくてはと思った。
だって私達は完璧なのだから。
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