令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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反撃開始

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四大公爵は顔を見合わせる。
長い沈黙の末に出された答えが決まった。


「ここで反対すれば我らは悪者ではありませんか」

「ええ…ここまで言われては」

国の為に私財を投げ売ったアレーシャを賛美しても非難することはできない。

反対に財をほとんど捨て、公爵を立てることができれば公爵家の面子を汚すことはしないと約束したことになる。


「我が国、初で女性に侯爵の地位を授ける!!」


王の宣言により拍手が送られる。


「女性で侯爵の地位だなんて」

「すごいわ…」

「でも私達にもチャンスがあるのではなくて」


貴族の一部は面白くない表情をするがほとんどが賛美しているので反対なんてすれば孤立するので黙っていた。


「旦那様!どういうことですの!」

「声を荒げるな。陛下のお言葉の前でみっともない」

「ですが…こんなこと許されるはずが!」

「許すも何も陛下のご意志だ。王命に逆らうのか」

「それは…」


ルクレチアは悔しそうに唇を噛み締める。


(あの女!姑息な真似を!)


給料明細は常に確認していた。
毎月の給料は根こそぎ奪っていたが、こんな事態になるとは思っていなかった。

今にして思えば王女の教育係にしては給料が少ないと思ったが、深く考えなかった。


アレーシャの能力が足りない所為だと馬鹿にしていたのだ。
普段着ているドレスも型崩れしており宝石だって古臭いものばかりだったからお金がないと思っていた。


(許せない…)


ルクレチアの隣でカテリーナも激怒していた。


「カテリーナ?」

「あんな女が‥‥許せない」


敵意を向ける表情は、まるで恐ろしい鬼のように思えてエリックは目を疑った。


「あんな女が…」

(なんで、そんな恐ろしい目で…)


今まで美しいと思っていたカテリーナ。
時折感情の起伏が激しいと思うこともあったが姉を見る目ではないと感じた。



「めでたい話がまだある。聞いてくれ」


笑みを浮かべながら王は視線を帰る。


「今日の舞踏会は我が弟の帰還を祝う為のものでもある。そしてこの場で弟の婚約が決まったことを皆に祝ってもらいたい」


「えっ?大公殿下が婚約!」

「今日のパーティーはお妃選びじゃなかったの?」

「どうなっているのかしら」


困惑する中王のそばに近づく一人の男性。


「この度は私の為に集まっていただき感謝します。弟のレオンハルトです」


凛々しい表情に周りの令嬢は見惚れるが一部絶句する人物がいる。


(あの騎士が大公殿下!?)


(嘘でしょ!!)


二人は目の前が真っ暗になった。
何故ならレオンハルトを散々罵倒し見下すような言葉を放ったのだ。


相手が大公殿下とは知らずに。


(いえ、でも…)

(あの方が大公殿下ならチャンスがあるわ)


二人はさらに悪だくみを考える。
ならば大公殿下を誘惑して妃の座に就けばいいと考えていた。


正妃の座はまだ発表されていない。
万一自分ではなくとも貴族が夫以外に恋人を作るのは珍しくない。

大公殿下の寵愛を貰えばすべてをひっくり返せると思ったのだ。


(天は私の味方だったようね)

アレーシャに勝てる!そう思った矢先だったが。



「レオンハルトの婚約者は先程侯爵の地位を得たアレーシャだ」


「「は!?」」


婚約者がアレーシャだと知り二人は素っ頓狂な声を上げる。


「レオンハルトが見初め、既に求婚をしている。なんとも情熱的なものよ」

「ええ…どこぞのヘタレと違って男らしいのぉ?」


「母上」


満面の笑みを浮かべる王に対してセラフィーヌの言葉に棘があったが聞き流す。


「アレーシャは実に聡明だ。王室に入りこれからも国の為に力を尽くして欲しい」


「もったいなきお言葉にございます」


膝をつき王自ら渡されるのは婚約指輪だったが‥‥



「そんなこと許されるわけないわ!!」


その最中にカテリーナが声を荒げた。





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