令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

ユウ

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反対

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王が指輪を差し出そうとした最中カテリーナが声を荒げる。


「そんなの認められないわ!!」


公衆の面前カテリーナが異論を唱える。



王の言葉を遮り、あろうことか大公殿下の婚約に異論を唱えるカテリーナに批難の目が行く。


「何処の令嬢じゃ」

不機嫌そうに王が問うた。

「私の娘にございます」

遅れてルクレチアが言葉を放つ。

「セルジオの後妻か…」

ちらりとセルジオを見ると頭を深く下げる。


「申し訳ございません陛下!カテリーナ控えよ。無礼であろう」

「ですがお父様、お姉様を大公様のお妃にするなど王族に対する最大の無礼です!」

セルジオの言葉も遮りキッと睨みつける。



レオンハルトは今にも大暴れしそうな勢いだったがエンディミオンがなんとか抑え込んでいた。


「姉は貴族の令嬢としての気品や美しさが欠落しております。侍女の仕事も満足にできないで王室に入るなど…資金運営はたまたま上手行ったにすぎません」


「それで?」

「それに元はここにおられるエリック様の婚約者でありました。傷物の女性を娶れば大公殿下が恥をかいてしまいますわ!ですから私が…」




これ見よがしにアレーシャを侮辱し傷物であることをアピールする。
王は黙って聞いているが顔を顰めていた。


「そなたはグランツ家に嫁ぐのだろう?」

「陛下の御命令であれば私はお受けしますわ!」


健気さをアピールするが他の貴族達は軽蔑の眼差しを送る。


「なんて恥知らずなの…」

「婚約者がいる身で大公殿下に嫁ぐなど」

ヒソヒソと聞こえる声。
どれもカテリーナを否定する言葉だった。



「無礼な!陛下になんて口の利き方をするんですの!」

「王女殿下は黙ってください!子供は口を挟まないで!」

サーシャが非難を浴びせるもカテリーナは睨みつける。


「無礼な…!私の妹を侮辱するのはやめていただきたい」

「私は今陛下に意見を申し上げているんです。黙っててください!」

「なっ!!」


サーシャを侮辱され咎めるが今度は王太子であるルーファスにまで暴言を吐く。


「何処まで馬鹿なのですか」

「言うな俺も頭が痛い」

ユリアはカテリーナの馬鹿さ加減にあきれ果てていた。
エンディミオンは隣でいつ暴れるか解らない兄を抑え込むのに必死だったが遠い目をしている。


「場を弁えよ!申し訳ありません陛下。私の教育が至らないばかりに!」

セルジオは深々と頭を下げるがルクレチアはさらに爆弾を投下した。

「ですが、カテリーナは王族を、国を思って申し上げたのです。どうかご理解下さいませ」


全ては国の為王族の為と言い自分達に非はないと言い放つ。


「ほぉ?王族の為とな?」

「はい!」


「ではカテリーナ嬢の意志はグランツ家の意志というわけか」

王は冷たい表情でグランツ侯爵と夫人に視線を向けた。


「この狼藉はそなた達の差し金か」

視線はカテリーナからグランツ侯爵に向けられた。

真っ青な表情をするグランツ侯爵に対してカテリーナは状況を理解していなかった。


「え?何を…」



何故グランツ侯爵と夫人が責められるのか、王はどうしてあんな冷たい目で見ているのか解らなかった。

そこに沈黙を守っていたセラフィーヌが発言する。


「プライム伯爵夫人、そなたは娘にどういう教育をしているのじゃ」

「え?」

「いくら何でも許容の限度がある。なんと無礼な…私を馬鹿にしておるのか!」

扇を握りしめバキッと音がする。


「王の言葉を遮り、婚約の祝を妨害し、あまつさえ我が息子に恥をかかせるとは。なんと恥知らずな」

「お控えなさい。無礼者!」

セラフィーヌが怒りを露わにする。
最初こそは大人しくしていたが堪忍袋の緒が切れた。


「そなたはアレーシャとは違うと言ったが、国の為に何か貢献したのか?社交界で着飾るだけで宮仕えしてないそなたが…何をした?」

「それは…」

「アレーシャは王女と王太子の教育係を務め王族に貢献しておるわ。してその娘は自身でなにかしたのか?申してみよ」

「私は貴族令嬢として…」


カテリーナはセラフィーヌの圧倒的な威圧感で委縮し始める。


「そのような言い方はあんまりでございます!」

「ほぉ?王太后である私に意見する気か?いつから王太后は下に見られるようになったのかのぉ?」

「そっ…そのようなことは!」


本来許しなく言葉を発言することは無礼にあたる。
不敬罪として罰せられてもおかしくないのだが、さらに追い打ちをかける。


「カテリーナ。そなたは侍女に暴力を働いたそうじゃな」


「なっ…しておりません!」

「そうか?だが、宮廷でそなたらしき令嬢に暴行を加えられた証言があるが…しかも姉の給料を根こそぎ奪って贅沢三昧をしていたそうじゃな?」


「誤解です…姉が私を妬んでそのようなことを」

涙を浮かべて訴えるが、どちらが真実か解り切っていた。



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