婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ

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第一章国外追放

15.豊穣の女神





アーデルハイドの働きかけにより、黒豚を増やす計画が進んだ。
それに伴い、新しい計画が進められていた。


「皆さん、忌々し事態です」

「議長」

「いや、何時から議長になった」


黒いマントを羽織るアーデルハイドに突込みをいれるフレディーだったが、一斉に睨む。


「静粛に、発言は後にしてください。では本題に」

「はぁー…」

既に島では確かな地位を築き上げているアーデルハイドは、新参者でありながら島の会議で発言権を得ていた。

そして現在、大きな問題を抱える島で話し合いをしていた。


「他国では輸入職人に頼りはじめています。我が国でも輸入を導入されれば大変な事になります」

「そうだ、稲作を中止されたら!」

「俺達は食べていけないぞ!」


最近、他国では安いから外国産の食品にたよる事が多くなっている。
カルフェオン王国ではまだ、その兆しはない。

だが、時間の問題だった。


「国産こそ最高なのです。外国産は品質が悪く、輸入する際に消毒をする。薬まみれの食品は健康を害するのです!」

「何だと!」


「私達は安ければそれでいいなんていう、悪徳商売と同化してはなりません!」


「ふざけやがって!俺達の仕事を馬鹿にしているのか」


「そうだ!」

元より農業を愛し、愛国精神が強い年配者は作物を作る大変さと尊さを理解している。

その為、外国産に頼り、農業を軽んじる行為は許されない。


「食こそ宝!そして、作物を作る人こそ人間国宝です!」


「「「「おおお!」」」


「我々決して外国産に負けず、国産を貫くのです!」


「「「そうだ!!」」」


全員一致で国産を貫く方針が決められた。


「島の住民がかつてないほど燃えているな。特に天のお呼びが近い老人が」

「ああ…」


島国では老人が多い。
特に足腰を悪くさせ、働くのも難しい老人が半分以上いる。

しかし、老人は行ける知識人だった。
アーデルハイドは有り余る力を存分に発揮してもらえれば長生きしてくれると思った。


そこで今回の計画を考えた。


「人生の先輩方!今こ若者に知恵を!稲作文化を広め、農業を増やしましょう!」

「「「「おおおお!!」」」


体が動かなくとも他は動くので、彼等に重大な役目を任せる。
老人達は頼られて嫌なはずが無いし、若者に尊敬されれば嬉しくないはずはない。

何より必要とされていると思えば心が動き、体が動くと考えたのだ。



島で置き去りにされた孤独な老人を救えるし、島は賑わう。

まさしく一石二鳥だっいた。



「それにしても、本当にホシヒカリは美味しい」

「おらも嬉しいだ」

ホシヒカリを作っている老夫婦は嬉しそうにする。
自分達が愛情込めて作った米を綺麗に食べてもらえるのだから、こんなに嬉しいことはない。


「でも、お米って太るんですよね」

「そうか?」

「そうそう、食べ過ぎると病気になっちゃうし。一番いいのは玄米なんですけど」


前世でも米の食べ過ぎは糖尿病になる。
大昔は脚気になってしまうこともあるので、白米だけ食べるのは良くなかった。

「でも玄米って硬くて美味しくないから…」

「なら、米と混ぜればいいだよ?そしたら美味いだ」

「混ぜる?」


この時衝撃が走る。
前世でも玄米は米と混ぜて炊いていた。

そうすれば食べやすくなる。


「玄米…発芽玄米だ!」

「は?」

「くくっ…新しい米だわ。これなら沢山食べられる」


ニヤリと笑いながら独り言をブツブツ言い始める。


「おい、ハイジがまた変な事を考えているぞ」

「ああ、きっとまた、食べ物だね」


フレディーとステラはドン引きしながら様子を見ていた。
アーデルハイドが笑みを浮かべて独り言を言う時は決まって食べ物を考える時だったが。


「おお、豊穣の女神様のお告げか?」

「ありがたや、ありがたや」


稲作をする老人達は、別だった。
アーデルハイドは数多のアイデアを出し続けたことで、彼等は豊穣の女神と呼びだし、天と対話をしていると勘違いを始めた。



「アイツの女神説が出てしまったな」

「だが、あながち嘘じゃないだろ?」


「確かに」


二人は女神ともてはやされるアーデルハイドに呆れながらも、すべては偶然ではないと思っていた。


実際、作物が豊作になり、米の出荷は昨年よりも良い。
気候も恵まれ野菜やフルーツも出来が良く、不作が続いた農家にはアーデルハイドが黒豚で稼いだお金を寄付したことにより、今では農業を増やして助かっている。


辺境地は貧富の差が激しいが、この島ではそれなりの暮らしができているのだった。


田舎では農作物を作ることに特化していても、老朽化した土地を救う手段を知る者は少ないが、経済学や領地経営の英才教育を受けたアーデルハイドにとっては容易かった。


しかし、情報の届かない僻地では神の手だと思われていた。


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