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第二章南の島開拓
6.異変
しおりを挟む結婚式の準備は着実に進んだ。
元髪結師でもあるステラに髪を毎日結ってもらうようになった。
「ハイジ、最近お洒落だな」
「ステラさんが、毎日ヘアアレンジをしてくださって」
緩い編み込みをしてもらい、清楚感がありながらも可愛らしい髪形だった。
「それに髪が光っているな…」
「リンスを使ったの。髪の毛を洗った後に潤いを出すの…この島のオリーブを使ったのよ」
「オリーブに、そんな使い道があるのか」
前世の記憶を余すことなく使ったが、この世界では髪を洗うのは石鹸で行い、艶出しに油を使ったり小麦粉で髪を整えたりするが、神の汚れをちゃんと落とすことはしていない。
なので髪に艶があるというよりも脂ぎっているのだった。
「毎日シャンプーして、その後に潤いを与えているから」
「花の香りがするな」
「成分に少し花を使ったんです」
香水をつけなくともいい香りがするので、他人にも不快感を与えることもない。
「石鹸は高価だが、代用品にトカの実を使っているからな」
「その成分は洗浄力があるけど、余計な油分も取ってしまうから、手がかさつくのよ。だから後で油をつけてるんです」
下級貴族では知らない知恵だが、寒い季節に薬草を肌に塗って保湿する方法を使っている貴族もいる。
「ハイジは物知りだな。そういえば牛の牧場を営んでいる奥さんが、手がカサカサして困っていたな」
「大変だわ、じゃあ…クリームを用意して持っていきましょう」
試作段階であるが作った物がある。
特には農業をするので手が荒れるから必要だった。
「冬になったら余計に乾燥するわ」
「ハイジ」
「どうしたの?」
フレディーは窓を閉め、表情を険しくする。
「静かに…侵入者だ」
「侵入者?」
フレディーは腕をかざすと手の甲に紋章が浮かぶ。
「この国の王族は魔力を体の中に封印している。緊急時以外は使わないようにするためだ」
「え?」
「だが、魔力を封じても結界を敷いたりすることもできるし、結界の中に侵入者が入れば解るんだ」
手の甲の紋章が揺らいでいるのは見える。
「この魔力は、かなり強い魔力だな…転移魔法を使っている」
「転移魔法…」
「しかもかなり強引な…島の中に入れたことは加護を受けているのか?」
フレディーは窓からそっと様子を伺おうとした時だった。
「ガァァァァ!!」
「ちいちゃん!」
「しまった、チーが庭で昼寝をして…」
ドォォォン!!
「わぁ!」
「ハイジ!」
床が揺れ、倒れそうになる。
「討ち取ったりー!!」
「「は?」」」
窓が開き、中を見るととんでもない光景が広がった。
巨大な魔熊のちいはひっくりかえされて、その傍には小柄な少女が腕を組んでふんぞり返っていた。
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