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第四章幸福と不幸は紙一重
22.集う友
ちいの背に乗り現れるフレイアにフレディーはガタガタ怯えた。
「背後に巨大熊が…何で」
「ちいのお友達かしら」
「その割には様子が…」
目の色が血の色になっており、凶暴化した熊はどうみても肉食獣の如くだった。
「これは死人が出るだろうね」
「熊達が牙を見せて笑っているな。あれは腹ペコな証拠だ…絶対に内臓を食いちぎられるぞ!」
ジャンは狩りも趣味なのでよくわかる。
自身の持つ森で野生の熊に遭遇することは良くあるので、空腹時の熊の恐ろしさを嫌という程理解している。
「彼等は死んだな…血の海で染まるな」
「いいのか?お前の庭が血で汚れるぞ」
「しまった!それは困る」
「アンタら…」
ジャンとペトロが心配するのは、邸の周りが血生臭くなることだけで。
アイシャ達が食い殺されても興味がなかった。
「いいのかしら」
「いいんじゃないか?それだけの事をしたんだ」
不安げな表情をするアーデルハイドの肩を抱きながら、フレディーも助ける気はサラサラなかった。
「ハイジさん!フレディーさん!」
「先生?」
そこに馬を走らせながら入って来た女性が数名いた。
女医達だった。
「海岸沿いで騒ぎを聞きつけて…なんですの!」
「大工ギルドの皆様が化け物が出たと聞いて、急いで追いかけましたの」
「無茶じゃないか、先生」
女性だけで化け物を追いかけるなんて軽率過ぎると咎めるも。
「向かった先はブランターノ様の邸と聞いては黙っていられませんわ」
「そうですわ。ブランターノ様は私達を支援してくださる恩人ですのよ?それに島でおかしな侵入者がハイジさんを侮辱する発言をしていたと聞きましたわ…その者がこのお邸に連れていかれとなれば」
女医達は、自分の安全よりもアーデルハイドやジャンの安全を優先したのだった。
「申し訳ありません」
「まぁ、水臭いですわね。私達は同盟を結ぶ戦友ではありませんか」
「そうですわ。友人が危険ならば駆けつけるのが当然です」
付き合は短くとも彼女達との間にしっかりと友情が芽生えていた。
とても美しい光景なのだが。
その一方で、フレイアは笑い声を上げながらアイシャを締め上げていた。
「オーッホッホッ!!ここで会ったが百年目!今ここで殺してやるわ」
「ぐっ…やめ」
「本当に厚かましい女ね?よくハイジの前に現れることができたわね。アンタの所為でハイジがどれだけ屈辱的な目に合ったか…そうだわ。手始めに同じようにしてあげる」
そう言いながら懐からバリカンを取り出す。
「えっ…いやぁぁぁぁ」
「綺麗に丸坊主にしてあげるわ」
「やめてぇぇぇ!」
容赦のないフレイアは泣き叫ぶアイシャに動じることなく長い髪をバリカンで剃り、丸坊主にしていったのだった。
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