今日から悪役令嬢になります!~私が溺愛されてどうすんだ!

ユウ

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第一章逆行した世界

プロローグ

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サンチェス公爵家。
王族の親族に当たり、祖母は隣国の王女でもある。

我が国では貴族は魔族を魔力を持つ。
特に長女である姉は魔力が強く、社交界の華とも呼ばれている。

文武両道で見目麗しい公爵令嬢の名前はサングリア。
対する妹の名前はマリー。

姉とは違い平凡な少女だった。
美人ではないか愛らしい面立ちだったが、女神の様に美しいと持て囃される姉とは月とスッポンだった。

けれど、マリーは家族が大好きだった。
姉に劣等感を抱くことがなかったのは、幼少期から領地で好きに過ごしてきたことも理由の一つだった。

十歳で姉が王太子殿下の婚約者に選ばれて、世間体を気にした一部の王族はマリーを養女にするか嫁に出して追い出そうとするも優しい父は許さず、領地で過ごさせた。


そのお陰でマリーは豊かな心を育み優しい心を持ちながら育ったが…


幸福な時間はある日突然消えてしまった。


「は?婚約破棄…何言っているの?」


姉の結婚式が近いのでお祝いを兼ねて王都に向かったマリーに悪い報せが入った。

それは姉の婚約が白紙になったことだった。


「お父様、冗談ですよね?お姉様が婚約破棄なんて…あんなに頑張っていたのに」

「冗談ではない」

「本当なのよ」

顔色の悪い母を見る当たり本当だと思った。

「でも‥どうして?いきなり…」

訳が解らないでいた。
二人の婚約は政治的な理由もあって必要なのに何故今更?とも思ったが、今一番気にするべきことは一つだった。


「お姉様は‥」

「部屋に籠っているわ。お願いマリー」

「私達ではどうにもできないんだ。すまない」

申し訳なっそうにする両親にマリーは首を振った。


急いで姉の元に向かい部屋の前に立つ。


「お姉様、マリーです。ここをお開け下さい」

ノックをして姉に声をかけるも反応はない。

「お姉様…」


もう一度ノックをしようとすると扉が開く。


しかし、部屋から出て来たのは変わり果てた姉の姿だった。

「何の用?私を笑いに来たの?」

「えっ…」

「婚約破棄をされて哀れな私を笑いに来たんでしょ!最低だわ」

「えっ…そんな」


何時も厳しくも優しかった姉の姿はない。
公爵家の出来損ないとして罵倒されていた幼少期、姉のサングリアは良く庇ってくれていた。


なのに…


「本当は笑いに来たんでしょ?態々王都に気て…いい気味って思って!」

「痛い!」

壁に押し付けられ、爪が首に食い込む。


(お姉様…変な薬を!)

まるで麻薬をしたかのような目をしている。
婚約破棄がサングリアをここまで追い詰めてしまっているだと気づく。


同時におかしいと感じる。


「止めてくださいお姉様…私はそんなことを」

「うるさい!」

「あっ…」


突き飛ばされた拍子に階段から転落して行く。




「きゃああああ!」

「お嬢様!!」



その後の出来事はよく覚えていない。


ただ、使用人達の悲鳴が聞こえる最中、マリーは意識を失ってしまった。


そして頭を強く打ってしまい、顔に傷が残ったマリーはそのまま領地に返されることになった。

その数日後、サングリアが嫉妬に狂い事件を起こしたことを耳にし、国外追放の身となり公爵家は没落となった。


唯一無関係とされたマリーは温情をかけられ隣国にて祖父母と静かに暮らすことになったが、両親と姉と会う事はなく、祈りながら過ごしこの世を去った。


「お姉様…」

この世を去る最期の時まで姉を心配しながら18歳でこの世を去ったのだった。



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